巨人現有戦力評価 2007 Ver.L 捕手
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DIME
2007年09月24日 18:37 visibility122
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追加編集したところエラーが出たので3つにわけました。
投手についてはこちらになります。
内野手&外野手、そして結論についてはこちらになります。
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■捕手■
・伊集院峰弘
・星孝典
--------------------25歳
・加藤健
・實松一成
・阿部慎之助
--------------------30歳
・村田善則
阿部の固定とともに原監督の希望でもあった捕手2人制の目処がたったシーズンでした。この傾向はこれからも続くと思います。
さて、ここで先日ちょっと触れた部分について改めて考えてみたいと思います。現在の捕手状況に
対する評価についてです。
例えば「野球小僧10月号」においては、「慢性的に心配な点をあげれば結局は阿部が一人で頑張っている捕手。控えが薄すぎる状態だ」と、評しています。
しかし私はこの評価については間違っていると思います。
もちろん、ここで指摘されているとおり、「阿部が1人で頑張っている」のは事実です。とうぜん大きな怪我などで阿部慎之助が一発退場なんてことになったら大惨事です、しかしそれは捕手という職業を有する野球と言うスポーツの構造的な問題であり、解決のしようがないことなんです。
「優れたエース格の捕手が固定される」、これは現代野球において、V9の森、西武の伊東、ヤクルトの古田、ダイエーの城島・・・連綿と続く常勝軍団形成の兵法です。
しかし、優れた捕手が固定されることは同時にそれだけその捕手が離脱した場合のリスクが大きくなることでもあります。つまり「優れた捕手で固定されれば固定されるほど、主力捕手が離脱したときのリスクは高くなる」わけです。
つまり「捕手を固定する」ことと「主力捕手が離脱するリスクを軽減する」という2つの命題は二律背反したアンチノミーの命題なのです。どちらも十分な妥当性があります、しかしどちらも同時に解決することは矛盾を内包しているので不可能です。
この解決方法には2つしかありません、どちらかの命題を達成せずともよくするということです。
たとえば現在のMLBでは「複数捕手制」というのが敷かれているところがあります、これは先の命題をそもそもの定義から覆すことで解決を図っているわけです。
もう1つの解決方法とすれば、「離脱しないような主力捕手を育て上げる」ということです。これでもまた命題の定義をひっくり返しています。日本に続く名捕手の歴史はほぼこちらです。
ではどちらを選ぶべきか、これはもう選択の余地がありません、後者です。なぜならば、前者を選ぶためには阿部慎之助に見劣らない捕手を少なくとももう1名用意する必要があります。が、これが非常に難しく実現可能性が実質的にゼロだからです。
阿部の捕手としての評価はいろいろあるでしょうが、少なくとも日本代表候補に選ばれるなど一定の評価はあると思います。つまり絶対的な評価はさておき、相対的に言って阿部に比肩するだけの捕手は日本プロ野球の中ではそう何名もいないと言えるでしょう。それだけの捕手を獲得することが可能か、という事です。
どれほど優れた捕手(最近では古田や城島)でも、プロで一人前になるためには数年間の育成が必要でした、つまりドラフトから直接比肩する捕手の獲得は不可能(仮に獲得したとして、その後にプロ経験をつまなければ比肩するまでは成長しないので意味が無い)です。
となると、他の選手獲得手段はFA、トレード、外国人しかありませんが、現実のところそれらの手段で優れた捕手が他球団移籍した実例はほとんどありません。
また、阿部に比肩しない捕手を用意すれば、結局は勝利を多く得るために阿部ばかりが出場するようになる。逆に能力差が確実であっても比肩しない捕手を併用すれば、それは勝利に対する最善手を使わないことになる。「捕手が離脱するリスクを避けるために、チームの勝率を下げる」、本末転倒もはなはだしいでしょう。
以上から巨人が選ぶべきは、「阿部慎之助を絶対的な捕手として固定し、彼ができるだけ長く固定できるように休養などを考慮する」という選択肢しかありません。
現在の阿部慎之助は28歳、と選手としてはもっとも脂の乗っている時期、特に問題がなければ今年の阿部慎之助のようにほぼシーズンフル出場を続ける事が何にもおかしくない時期です。
例えば、古田が28歳と言えば1992年のヤクルトになります。城島が28歳と言えば2004年のダイエーになります。まぁ城島の場合はFAという問題がありましたけど、FA移籍しないと言う前提に立てば、現在は「阿部慎之助というエース格の捕手を固定することで安定期入ってくる一番余裕のある状態だ」、というのが正しい評価だと私は思います。
そのような前提でいれば、控え捕手に求められるのは大勝・大敗などの試合状況で休養する時の代役であったり、数試合程度の離脱があったときの代役であったりなので、レギュラーとしての能力評価をする必要はありません。これは現在の加藤健あたりの控え捕手陣もレベルとしては十分です。
ちょうどタイムリーに加藤健が名をあげてくれたので、判っていただけるかと思いますが、別に加藤健は今年あれだけの捕手になったわけではなく、もともとあれぐらいの潜在的能力、特に打撃能力は持っていたと私は前々から評価していたのはこちらの日記でも示したとおりです。巨人には少なくとも中日と等しいぐらいの2番手捕手が既にいます。星孝典や實松一成にしても加藤とそう差があるとは思っていません、そう考えれば2番手捕手として可能性のある選択肢は既に十分あると思います。
そんな状態で、優れた捕手を上位で指名に行くと言うのは馬鹿げた行為です。もちろん捕手と言うのは何名候補がいてもいいわけですから、獲得すること自体は賛成です。これからも毎年1名以上は獲得し続け、テストし続ける必要があるでしょう。
しかしやってはいけないのは「上位指名で」ってとことです。「上位指名枠」というのはチーム強化における限りある資源です。これをチーム全体の編成も考えずに、いい投手がいるから投手に、いい野手がいるから野手に、なんて使っているとチーム編成がいびつになってしまいます。
そして上記で述べたように、現時点での捕手の獲得の必然性はあまり大きくないので、ここで限られた資源を使うべきではありません。阿部がこのまま順調に推移すると仮定した場合、阿部にFA移籍の可能性があるなら彼がFA権を得る2〜3年前ほどから、もしFA後も残留が確定的ならば、今から7〜8年後ぐらいに本腰をいれるぐらいでちょうど良いぐらいです。
中日や阪神を見れば明らかです。ベテランに差し掛かっていつダメになってもおかしくないからと言うことで毎年のように貴重な「上位指名枠」を使っていますけど、結果的にはベテランが主力をつとめるまま代わらず。
私に言わせればこれは当然です。先にも書いたように、主力となるには単純に力があるだけではなく、阿部慎之助の最初の時のように我慢して起用しなきゃ変われないんですから。
良い後継捕手が生まれて、世代交代ができるという順番ではないのです。世代交代をムリヤリでもさせて経験を積ませてはじめて良い後継捕手が生まれる可能性が出てくるのです。
同じ轍を踏まないためには、阿部慎之助の「賞味期限」をぎりぎりまで見極めること、それに伴うリスクを覚悟することです。現時点で、指名する可能性があるとすれば、そうやって我慢して起用するだけの価値があるような、阿部を軽く凌駕するのが明らかな捕手が現れたときだけです。
捕手の指名はするべきですが、絶対に上位では指名するべきではありません。少なくとも上位クラスであっても囲って下位で指名すべきです。
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追加編集したところエラーが出たので3つにわけました。
投手についてはこちらになります。
内野手&外野手、そして結論についてはこちらになります。
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- 事務局に通報しました。
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