どうしても触れておきたいのがあったので。
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DIME
2007年12月01日 19:38 visibility90
さっきの今ですが、書いておきます。
基本的に夕刊紙の記事というのは信憑性の観点や論理的矛盾が多くて見る必要性を感じないんですが、こういう「事実」だけを切り抜いただけで「意見」や「思想誘導」がないのは歓迎。
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バレンタイン、日本球界におっカネ〜“口”撃
マネーゲームに勝つためには?! 今オフも米メジャーの大資金攻勢の猛威に主力選手の大量流出の危機に直面している日本球界。そんな現状に、ロッテ・バレンタイン監督がかみついた。
11月30日の成田空港。ロッテでの日程を終え、帰国の途についたバレンタイン監督が、今オフも多く誕生しそうな日本人メジャーリーガーについて、持論をブチあげた。
「米球界が向こうの選手より(日本人選手を)高く認めて受け入れている。米国の方が経験豊富な選手の価値を理解できているということ。それは日本球界が米国に匹敵したレベルにあることを証明しているんだ」
指揮官が力説するように広島・黒田、中日・福留にメジャー数球団が超高額オファーでラブコール。また、ロッテでの“教え子”である小林雅がインディアンス、薮田がロイヤルズへ移籍するなど、日本人メジャーリーガーの誕生ラッシュの様相を呈している。
だが、「野球ビジネスの面でもレベルを高く上げる必要がある。選手が残りたいと思う環境をつくらないといけない」。
バレンタイン監督は、その顕著な例が薮田だと言う。薮田はロイヤルズと2年600万ドル(6億6000万円)の大型契約を結んだが「ロイヤルズは、どこをどう比べても、ロッテより劣る。観客動員も少ないし、選手のタレントもロッテの方が上。それでも薮田に対し、ウチの倍以上の提示ができる。MLBが収益を各球団にシェアするシステムがあり、それが獲得資金を生み出している」と力説するのだ。
この現状に日本球界はどうか。「日本のメディアは中継のためにMLBに50億円も払っている。本当ならこのお金は日本球界の資金力を高めるものになるべき。こんなクレージーな状況は改善するべきだ」とバッサリ。
さらに、来季行われるメジャー開幕戦についても「パ・リーグの開幕後に行われる。これはシーズンの妨げになること。パ・リーグはMLBから代償を要求するのが当然だよ」と野球機構側の姿勢にも大苦言だ。
守勢一方の日本球界だが、バレンタイン監督の提言をどう聞くか−。
ZAKZAK 2007/12/01
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一部を除いて基本的に賛成です。
特に「日本のメディアは中継のためにMLBに50億円も払っている。本当ならこのお金は日本球界の資金力を高めるものになるべき。こんなクレージーな状況は改善するべき」のあたりなんて全く持って賛成です。
まぁ民放各局はね、商売ですから客が求めるもの、つまり日本人が興味のあるほうを選ぶというのは仕方が無いというか当然のことなので構わないのですが、NHKが毎日のようにMLBを中継しているのはどう考えてもおかしい。
電通が6年契約で2.75億ドル、1年当たり4500万ドルで放映権料を持っていますから(バレンタインのいう50億の数的根拠はこれでしょう)、電通に対してNHKが払っている金額はどう考えても数十億はくだらない。いくら日本人が活動しているからといって、そのために何億も他国に資金を流失させているのはあまりにも馬鹿げています。MLBで活躍する日本人の姿じゃないと日本の野球文化は発展しないとでも思っているのか。
NHKというのは「公共の福祉」のために事実上の税金である受信料を徴収してその原資としている訳です。であるならば、スポーツ放送についても日本のスポーツ文化の発展を第一義に考えるべきでしょう。
別にプロ野球をもっと放送しろというわけでは有りません、Jリーグ、トップリーグ、Vリーグ、Xリーグ、JBLにBJリーグ、日本で発展していくためにももっと多くの資金が欲しいスポーツは幾らでも有ります。これらのリーグは億どころか数千万の収入が増えるだけでも資金繰りが劇的に変わるでしょう。
具体的な例で言えばたとえば先日行われた四国ILとBCLとのグランドチャンピオンシップの放映権料を数千万ぐらいで買う、これだけで独立リーグの収支にどれだけの価値があるか、各チームに分配すれば収支の改善に大きく寄与するでしょう。
MLBなんかに払う金があるなら、日本の中に対して再投資は行われていくべきです。
昔のようにMLBの方が、露出拡大を狙ってほとんどただのような値段で放映権を売っている頃ならば別に放送は構わなかったと思います、ただそういう導入期を過ぎ、投資資金の回収を狙って放映権料を爆発的に上げてきたところでNHKは絶対降りるべきだった。
今からでも遅くは無いです、今の値段ならNHKは放送をやめるべき、来シーズンから朝の時期にBSでMLBが流れなくなることを願ってやみません。
NHKに対してはこのあたりの介入さえ出来ないんですかねえ。文部科学省関連の国会委員会で真面目に議論されるべきことだと思うんですが。
「MLBが収益を各球団にシェアするシステムがあり、それが獲得資金を生み出している」
半分賛成、半分反対ってところかな。90年代初頭には1200億円前後で市場規模がほとんど同じだったNPBとMLBだったわけで、それがこうも差が出てしまったのは市場拡大の差と考えるのが妥当でしょう。
実際にシェアするシステムがありそれがロイヤルズの収支改善に寄与しているのは確かですが、獲得資金を生み出しているのはそれよりもむしろ、MLB全体のマーケットの拡大によってという部分が大きい。
全体のパイの大きさがNPBとMLBでは違いすぎるから、たとえ小さなパイしか得られないとしても絶対的な大きさはNPBの球団と違ってきてしまうのです。
それが最大の理由であり、収益分配システムを主な理由とするのは間違いでしょう。たとえパイを分け合えるようになったとしてもそのパイが小さければ結局は太刀打ちできない。。
それとはちょっと違う話ですけど、今の日本球界で仮に収益を分配するシステムがあったとして、各球団の補強方針などを見る限りそれが獲得資金のほうへ正しく流れていくかは疑問ですがね(笑)
「米国の方が経験豊富な選手の価値を理解できているということ」
これも賛成。日本人的感覚というのでしょうかねえ、お金以外のものに無理矢理価値を植えつけようとするというか、お金というのがその選手の評価であると認めることが何か汚いものとでも思っているというか。
前にも書きましたけどね、お金を多く出していると言う事はそれだけその選手を評価しているということです、価値を高く見ているということです。
それがあった上でその先にお金以外の評価があるんですよ。評価していないにもかかわらず、他の部分で評価をしているからいいじゃないかっていうのはおかしいですよ。
「パ・リーグの開幕後に行われる。これはシーズンの妨げになること。パ・リーグはMLBから代償を要求するのが当然だよ」
これは前にも書きましたよね、この日程を決めたのはパ・リーグです、連盟じゃない。パ・リーグがその代償を求めるのは良いというか、商売なんですからそれぐらいのしたたかさがあってしかるべきだと思いますが、そもそもそんなことになったのはパ・リーグの自業自得。
来季日本開催があるかもしれないというのは結構前の段階から出ていた話です、開催されるかもしれないと先に想定してみれば、パ・リーグの開幕にした3月第三週より前、つまり3月第二週にMLBの開幕試合を持ってくるというのはタイムスケジュールからいってどう考えてもありえないでしょう。
それがあるかもしれないから、3月第三週じゃなく第四週にしておく、或いはMLBの方が確定するまで日程を確定させない、そのぐらいの対策は打てたはずです。この視野の狭さが一番の原因。
「野球ビジネスの面でもレベルを高く上げる必要がある。選手が残りたいと思う環境をつくらないといけない」
これは球団だけでの問題では有りません、報道機関もですし何よりファンがそういう意識を持たないと。プロ野球はプロスポーツはビジネスですよ、「夢を与えるもの」とかいうのは商売文句ですよ、もちろん幻想として絶対に守らなければいけないものですが。
ただ、ビジネスとしての方向性というのはバレンタイン監督と私の考えは真逆を向いていると思います。バレンタイン監督の主張は報道などで伝え聞く限りではいわば「MLBの丸写し」です、あちらの制度が優れているのだからそれをするべきって感じですね。
私はそういう丸写しは反対です。そもそもMLBの制度が全く問題の無い優れた制度だとは思っていませんし、それに加えて日本の特性やMLBの存在など、おかれている条件を考えればあぁいう閉鎖型になっていくよりも開放型になっていく方が生き残れると思っています。
また、仮に丸写しをしたとしてMLBに対抗できるようになるとはとても思えません、それは単純に日本とUSAのスポーツビジネスの市場規模が違うからです、同じ事をしたら市場規模の大きな方が勝つのは当然です。
だからビジネスとしてやるにしても違う方向性を見ることで、「“日本にしかない”残りたいと思う環境」を整備していくという形を目指す必要性があると思います。追いつくことで戦うのではなく「差別化」をすることで戦うのです。
とりあえず、ファン1名1名が野球はビジネスだと言うことも認識して欲しい。それは私がブログを書いている理由の1つでも有ります。
まぁ巨人首脳陣の言動がなんであっても「巨人のわがまま」にしか見えないような色眼鏡をかけていては絶対に無理なことですが(笑)。巨人の主張って結構巨人に不利なことが多いですよ、この前の人数枠についてもそう、あんなものしれっと少なくした方が巨人からすれば得です。
巨人の活動は必ずしも自球団の利益だけを求めているものではなく、プロ野球のあるべき将来、あるべきビジネスモデルが一般に多く見られる考えと違うためにそう見えるだけです。極々個人的な意見を言わせてもらえれば自球団の利益だけを求めていないそういう思考が甘いと言うかビジネスとして割り切れていないというか、非常に不満を感じてはいます、巨人は巨人のことだけ考えていればいいのに、と。
話し戻しますが、その差があることを認識していないから「球界全体のために」動いている事が分からない。ただそれは巨人がその違いをこれまでしっかり主張し、示してこなかったのが一番悪いんですが。このあたりは書き始めると長くなるのでまたいつか書きます。
結構今の日本プロ野球ってのっぴきならない状態にあると思うんですけどねえ。
そういう危機意識を持っている球団があまりに少なすぎるし、危機意識を持って活動している球団の活動は正しく認識されてなさすぎる、なんでこうもおかしいんだろうと思うと一般に伝わる時の報道があまりにも大衆に迎合しすぎているのも一因かなと思うんですが、これはスポーツに限った問題じゃないですしねえ。
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