【巨人】　門倉獲得報道

獲得するかどうかに関しては現時点で非常に懐疑的である。球団代表の発言を見る限り獲得すると言っているわけではないし、現時点で獲得すると言っているのは（希望的観測もこめて）逸った報道であると思う。

っていうか獲得するんだとすれば超のつくほどの

バカ

である。 

理由は小笠原獲得の件でも書いたとおり、人的補償があまりに痛すぎるからということになる。

門倉の場合は今年の年俸が7500万、人的補償分の40%はたったの3000万にしかならない。これは下位指名の選手の契約金の半額ぐらいである。どうかんがえても1名取りに来るし、こんな金額の変わりに1名とられてしまうのは誰がどう見ても大損だ。

どこからどう見てもこんな選択をするのは

アホ 

である。

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一つ断っておくが、門倉の能力が劣っているとか門倉の価値は低いという意味ではない。

現在の巨人の状況（若手右腕飽和の編成）と門倉の年俸（人的補償を考えれば逆に低すぎる）と門倉の実績を換算したときに「相対的に」価値が低いだけである。

私としては横浜球団が彼に出している評価はあまりに低すぎると思うし、FAの人的補償さえなければ1億以上は出す価値は十分すぎるほどあると思っている。 

全ての条件をなくして門倉は巨人に必要か不要かと言われれば必要以外の選択肢は無い。2年連続Bクラスに終わったチームにとってどんなものであれ戦力を増加させることが悪いはずが無い。

ただ問題はメリットとデメリットのどっちが多いかという話だ。

むしろそれだけの好投手がFA市場にいて、人的補償を考えても取った方がメリットの高い球団はそれこそ３つか４つぐらいありながら、それでも手を上げない球団のほうがよっぽど救いがない。

必要な金を出さない球団よりはちょっとでも必要ならぽんぽん金を出す球団のほうがよっぽど本当の意味で球団のことを考えている球団であるのは言うまでもない。

まぁつまりありていに言えば、巨人より救いようのないバカ球団が世の中にそれぐらいあるという嘆かわしい事態がプロ野球界の現状なんだな。 

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ただひとつ確認しておきたいのはこんなことを言い出したど阿呆は誰かということです。

どうもMixiコミュニティなどで確認する限り巨人ファンでさえ多くはこれをフロントの仕業だと思っているが、状況から見てどう考えても違うだろう。 こんな馬鹿げたことを言い出したのはだれか、現場である。

この話が出てきたのはいつか、フロントと現場とが全員集まって行う納会の次の日である。

もともと人事権を握っているフロントが門倉獲得を決めるのであればこのタイミングで話が出る必然性はない、もちろんこのタイミングで出てもかまわないのだが。

逆にもともと人事権を持っていない現場が門倉を獲得して欲しいとフロントに言い出すために、全員で集まる日である納会はうってつけであろう。 

報道も振り返ってみよう。ただ報道というのは鵜呑みに出来ないので難しいところであるが。

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中日スポーツ

清武球団代表も同市内で取材に応じ、門倉に関して「メジャーに行くと思っていたので、日本に残る意思があるかどうかという部分も含めて調査している」と説明。「人的補償を伴うのでやみくもに獲得とはいかない」としながらも、現場から投手補強の要望もあり「少しでも層を厚くしたい。（門倉は）力があるのは間違いない」と話した。

デイリースポーツ

同（清武）代表は前夜の球団納会で滝鼻オーナーや原監督らと補強ポイントを会談。「監督も尾花投手総合コーチも少しでも層を厚くしたい、先発も中継ぎも枚数を強化したいという考え」と確認した。

スポーツ報知

清武代表は横浜からＦＡした門倉に興味を抱いていることを明かした。「調査はしますよ。そういう（巨人に移籍する）意思があるかどうかは分からないので」とコメント。さらに「ＦＡには人的補償という痛みを伴うのでやみくもに獲得とはいかない。現実にメジャーから（オファーが）来てるんでしょ。でも関心がないと言えばウソになる」と現状を口にした。

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読み込んでみれば現場からの獲得要請であるのは、想像に難くない。 

ただ現場とはこのように短期的な視野からの補強は言い出すものである。

なぜなら彼らは来季の優勝を目指しているからだ、彼らは長期的な成功も短期的な成功もどっちも追いかけろといわれているわけではない、現場は短期的な成功を求められる役割だし、求められるべき役割でなければならない。

なぜなら長期的成功と短期的成功は往々にしてバッティングし、共存できないものであるからだ。それを無理矢理同時に追い求めさせるのは難しい。ならば監督という役職では短期的な成功の実現に専念させ長期的な成功に関しては別途役職を設けたほうが建設的である。

現在の成功しているプロスポーツのほとんどでは（MLB,BFL,欧州各国サッカーリーグetc）その意識が浸透して短期的成功を求める役割と長期的成功を求める役割が分離されているのが一般的であり、NPBもそこまでではないにしろ短期的＝現場、長期的＝フロントというのが一般的な役割となっている。

ここで巨人側に求めたいのは短期的な観点から要求をしてくる現場側に対して、「人的補償が痛すぎる」という長期的な観点からフロント陣が断固拒否し、獲得に動かないことである。 

なぜなら球団全体で考えれば短期的な成功というのはあくまで長期的な成功を追い求める中での１つの手段であり、長期的な成功＝全体の成功のなかの１つとして短期的な成功がある。そういう視点から考えれば長期的な成功が短期的な成功に優先されるのは言うまでもなく、長期的な観点から考える側の意見が優先されなければならないからだ。

ただ問題なのは日本プロ野球の悪しき伝統として、現場の意見というものが必要以上に偏重される傾向にあることである。

最近の巨人はフロント能力の強化によりこの傾向が排除されつつあるがまだ必ずしも当然のことを当然として徹底しているとは言いがたい。

正直に言って、現場側が自分たちが持つべきである（それ以上持っていてはチームに不利益をもたらす）権利のラインを過去の間違った慣例に惑わされて見失い、それを越えた要求を強行に押し通しかねないと思う。

もしこれで門倉獲得ということにでもなったら、これは巨人という球団の経営正常化が何十歩も一気に後退するような出来事である。

これは門倉が必要かどうか、或いは門倉が獲得した後に活躍するかどうかという問題ではないのだ。もっと言ってしまえばもし仮に獲得した後に門倉が5年連続20勝とかしようが、人的補償に考えが及んでないのであれば球団にとってこの選択が間違いなのは変わらないのだ。

球団に対して誰がどこまで権利を持っていて誰が最終決定権を持っているのかという、健全な企業として当然守らなければならないルールを守れているかどうかの問題なのである。

もちろん獲得に関してフロント側が獲得すべきだという結論を下すという可能性もあるけれど、そうであるならば既に動いているはずである。そしてこれまでのフロントの行動を見る限り私は今のフロントの判断基準なら門倉獲得に動くことはないという予想に自信がある。 

（2007/3/9追記）
この一文に関しては完全に私の予想が間違っていたことをここに謝罪する。
結果的に門倉健を獲得して、工藤公康を放出するという形になったわけだが、この工藤公康を敢えて餌として若手放出を防ぐという策は、書いた当時の私には思いつかない奇策だった。
これならば長期的な観点から見た時にも、どちらにしても長期的（５年以上）戦力として計算しづらいベテランであり、最悪でもプラスマイナスゼロといったところ。
これならフロントとして考えなければならない長期的戦略を損なうこともなく、同時に短期的強化を求める現場の要求にもこたえている。
フロントの深謀遠慮に敬意を表し、球団経営の正常化はむしろ順調に進んでいると訂正させていただく。
（追記終了）

もし門倉を取ることとなればまず何よりこんな事を言い出した現場がバカである、ただ現場は極論を言えば短期的な補強を要求するのはその職責として当然であり、長期的な視野から見ればバカとしか言いようのないことであっても短期的な視野から要求しているのはまだ理解できる。

もっとバカだとすれば、フロントの方であろう。短期的なバカ要求をしてくるときに「そんなもんできるわけないだろ」とはじき返すのがフロントの仕事の1つでもあるのだから。ただここにも問題があって、フロントが現場の要求を拒否するなんて何事だということを言うバカが日本野球界には多いのだ、こういう人間に押し切られてしまったのだとするならフロントにも同情の余地はあろう。

じゃあ一番バカなのは誰か、声を大にして言いたい。

フロントより現場の方が優先されるべきだとか今回の獲得報道についてフロントが無能だと言い出すファンが一番バカである。 

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門倉を獲得すべきだと主張するファンは別におかしいとは思わない、その人がその人なりの視点で現在の巨人を評価し判断した上で右腕投手の獲得が必要だと判断するという行為に何の問題も無い、むしろ素晴らしいことだ。

それと私個人の結論とがバッティングするのは極論を言えばどうでもいい、百人いれば百通りの答えがあってもおかしくないぐらい、野球というスポーツにはまだまだ正解がないのだから。

その人なりの筋を通した考えでそういう結論を出している人がいればそれは尊重に値する考えである、自分の意見と真逆であろうとも傾聴するべきものだ。

別に意見を戦わせて相手を論破してどっちが正しいかなんてのを導き出す必要もない、野球というスポーツはまだまだ解明が終わっていない、私が生きている間に解明は終わりそうもない。だったら多くの考えがあって多くの考えのどれが正しかったかを後から見直せるほうが建設的である。

ダイスをふったら偶数だったので獲得すべきとか、こっくりさんのお告げなのとか言い出したらさすがに殴りたくなるけど。 

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私が名指ししたいのは誰が悪いか内部のどこで間違いが発生しているかを見極めたうえで適切な批判をしていないタイプだ、往々にしてこれまで批判してきたステレオタイプに補強＝悪、育成＝善という単純二元化を好む思考停止人間に多い。

実際に起きていることを冷静に見極めて判断できていなければ、その間違いはいつまでたっても改善されないのだ。どこに問題が起きているのか、そしてそれを改善しようとしているのは今の巨人の中で誰なのか、フロントだ。にもかかわらずフロントを批判するのはお門違いもはなはだしい。

そういうバカを抑えきれないファンも同罪である、つまり私が一番バカだ。あぁ情けない。