【データ】 総合指標について その1

  • DIME
    2006年12月20日 04:54 visibility173

このあたりは当たり前のことの確認です。

ただ自分でもたまに悩み始めるところなので困ったときの確認の為に書いておきます
当たり前じゃんと思う人はてきとーに読み飛ばしてください。

※以下の内容はひとまずDH制度に関しては除外しておくことを先に断っておきます※

 

○選手の成績は何をもって評価されるか。

 

野球というスポーツはどういうスポーツか。手元の小さな国語辞典では以下のように定義づけされている。


「野球:九人ずつ二組に分かれ、投手の投げるボールを打者がバットで打って得点を争う競技」

 

これをもっと削れば「2つのチームが得点を競う競技」とまでいえるだろう、そこまで削ると他のスポーツと区別が付かないが。

何が言いたいかというと、野球選手を評価する究極的・根本的な指標の手がかりはこの文章にある。
「味方チームの得点を増やし(=得点増加)」「相手チームの得点を減らす(=失点減少)」の2点だけが野球の根本でありつまり選手にとって最も根本的な評価となるということだ。
もちろん得点という結果は1つのプレイだけで発現するとは限らないので正確には1つのプレイにおいては得点増加“確率”を増やしたり、失点減少“確率”を減らしたりするということになる。

ただそうだと言っても、得点との関連性こそが選手の成績をもっとも的確に評価する方法であるといえることはわかって頂けると思う。

逆説的に言うと、たまに「点に関係しないプレイ」が重要だという指摘があるがあれは正確には「点に関係していることが一見わかりにくいが実際は大きく関係しているプレイ」であり本当の意味で点に関係していないのであれば野球の定義上重要であるはずがない。

 

○野手の成績をどう評価するか

 

■野手とはなにか■

野球には9つの守備位置があり、大まかに4つのポジションに分類されている。投手・捕手・内野手・外野手である。このうち投手以外を野手と称する。
捕手を野手と別枠で考えるかについては議論の余地があるかもしれないが私の中での野手の定義は以上のようなものだ。たぶん世間一般とそうずれていないと思う。

つまり野手というのは野球においてもっとも大きな枠組み(つまり2分割)で選手を区分したときの2分の1であるといえる。
では投手と野手の区分はどこから生まれているのかといえば先に書いた2点の評価の比重の違いであり、これは彼らが野球というスポーツで果たす役割が違ってくることから生まれている。具体的に言えば投手に関しては「失点減少」への貢献度がより重く、野手に関しては「得点増加」への貢献度がより重く比重を持たされている。もちろんこれは「投手は得点増加を考えなくてもいい」ということでも「野手が失点減少を考えなくてもいい」ということでもないが。

この比重の違いについては明確な理由があるわけでなく経験則的にそうなっているだけではあるが、実際の野球というスポーツを考えればこの経験則が間違っているとは思わないのでここではそこの追求はしない。

■野手の評価方法とは■

野手を評価するには先に述べたように「得点増加」と「失点減少」の2点で評価すればいい、とはいってもそうそううまくは行かない。

 

まず「得点増加」に関して言えばこれはあまり問題にならない。なぜかというとサッカーやバスケットボールのような連続性をもった行為の積み重ねによって得点が生まれるスポーツと違って、野球というのは打席という独立した行為の積み重ねの結果に得点が生まれる理由のほとんどが含まれているので、打席結果というデータを積み重ねていけば100%ではないにしろそのほとんどを評価できる。
問題は「失点減少」の方である。失点をするときにその要因の多くは投手が占めていると思われるが、守備という行為で参加している以上四死球・本塁打などの一部の結果を除いて野手側の失点要因はゼロにはならない。ただ同時に失点減少に野手がいったいどれだけの比率で責任を持っているかを追求するのは非常に困難でもある。

 

しかし我々は“経験則的に”野手を評価する場合に失点減少より得点増加への貢献度をより重要視したほうが良いというのは知っている。
例えば野手を評価するときにその野手が出場した試合の失点数なんていうものを通常は評価に含まない(捕手においてはその関連性を考えられることがあるがこれは捕手が投手の投球に対して関連性をもっているからであり、例外といえる)。
野手の評価と出場試合での失点とに関連性を持たせていないのは経験則的にそれを重要視した評価より、打席結果を重要視した評価の方ががより「野手の正確な評価」に近しいと知っているからである。

しかし客観的に野手において得点増加と失点減少の比率はXX対YYであるというのはまだ答えが出ていない。XX>YYであるまでしかわかっていない。

とは言えこの野手の評価において得点増加と失点減少の比率がどれぐらいのものであるかというのはそう簡単に答えが出るものではないのでひとまず置いておく。

 

ここではひとまずまずは比率が高いと信じられている(そして実際それが正しいと思われる)「得点増加」に絞って考えてみる。
幸いにも野球の打席という独立した事象が積み重ねられた結果として攻撃が存在するという特性によって「得点増加」と「野手の打席結果」との関連性は客観的に評価しやすい。そのような考えのもとで野手を評価してみようとする指標が存在している。


○チラシの裏

先にわざわざこんな文章を書くのは何故なのか。
それはあくまでこれから紹介する指標というものの限界を先に知っておいて欲しいからです。
現在あるような打率・本塁打・打点のような打撃三冠といわれる指標に比べればこれらの指標による評価はより選手本来の得点増加への貢献度に近しくなっています。
ただあくまでこれらの指標は、野球選手中の野手におけるしかも攻撃者の面のみに特化した指標です。それがこれから紹介する指標の強みであり逆に限界でもあります。メリットもデメリットもある特徴なのです。
もちろん攻撃者の面の比率が野手においては大きいとは言え野手には守備者の面が存在します。存在する以上はそれだけでは野手の全てを評価するには足りていません。

これから紹介するような指標の認知度が最近上昇していますが、どうも世間でのそれらの評価がまるで最終兵器かなにかのように扱われているきらいがありますのでそこを誤解してほしくありません。

 

また逆に「○○は攻撃者能力が高いけど守備が下手なのに守備の部分を評価していない」とか「△△は攻撃者能力は低いけど守備が上手い事を評価していない」とか指摘されても困ります。
こういう指標を紹介すると、意識的に除外しているということが理解できていないのか上記のような指摘をしてくる人が結構多いんです。
もともと想定から外しているのですから当然そんなことはわかっていて、たとえ野手における一部分にしか過ぎなくてもまず打撃者能力だけでも客観的な評価に近づけてみるのは有益なことであるという意図の下にあるのがこれから紹介する指標です。
抜けてるんじゃなくて抜かしてるんです。あくまでその部分だけに関してを評価してみようという指標なので他の部分=守備力他が抜けてるとか言われても対応に困ります。
これは例えば「どんな外国人でも取れるとして誰が欲しいか」とかいうバカ話をしていて、ジーターがほしいとかプホルスがほしいとか言っている所に「そんな選手が取れるわけ無いじゃん」と言い出されるようなものです。
1つの前提の下に成り立っている考え方に対して前提を取っ払うのは無意味な行為です。まぁ簡単に言うと空気読めってことですね。

今後関連した文章の中で「打者」と言う場合は基本的にこの「攻撃者」の部分を指すものと思ってください。

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