ちょっと振りむいていただけの異邦人(福島ユナイテッド3-福島プリメーロ0)

 9月20日。


 利根川を渡る手前から降り出した雨は、宇都宮では本降りになり、那須塩原では横殴り。新白河でも降りやまなかったものが、福島の手前では上がっていました。


 新幹線を下り立つと、そこを吹き抜ける風はとても心地よいもの。東海地方のうだるような暑さとは違います。さすがにTシャツ一枚では肌寒く思わずアンダーを着こみました。白河の関を越えるのは今年2度目。今日のお目当ては福島ユナイテッド戦観戦。オフィシャルのホームページで購入した深紅のTシャツを着ての観戦です。


 


 試合会場の「あづま陸上競技場」は郊外の台地の上にあります。駅からバスで30分と、なんでこんなところに造ったのかと思わず愚痴のひとつもこぼしたくなるような場所。それでもメインから見る阿武隈山地の山並みはきれいなもの。スタジアム自体の設備も比較的新しいため及第点。


 


 さて、ゲームと言えば、最初から得点を狙いにいくユナイテッドが積極果敢に攻め続けます。ただ、最後の詰めが甘いのか、いい位置でシュートを放つもゴールマウスを割ることができません。また、プリメーロのキーパーの堅守も光ります。最初の20分程度は一方的な攻撃に終始しましたが、この間に点を上げられず、徐々に一進一退に。


 プリメーロの攻撃を4バックのラインデフェンス陣が跳ね返します。前日のJ2のふがいないDFを見ていただけにこのチームのDFはきちんと仕事をこなしています。


  


 後半も一進一退の攻防は続きます。それでも、久野の上げた浮いたボールを時崎が頭で合わせ、最後は片原のシュートで待望の1点目。片原は選手交代後すぐに仕事をしてくれました。


 その後も両者の攻防は続きます。CKでのセットプレーでも危ない場面も。それでも90分を前にして待望の追加点。アデッショナルタイムでは久野の小気味良い突破で自身がドリブルでシュートして3点め。そしてゲーム終了のホイッスル。


  これで福島ユナイテッドはリーグ首位に。2位とのグルージャ盛岡とは勝ち点3差。最終節は直接対決。勝つか引き分ければリーグ優勝。負けると得失点差で2位に後退。


 


  ホーム最終戦でもありチームは観客5000人を目指しましたが、結局入場者が2100人にとどまりました。それでも赤を着こんでいた観客も多く、一時代前のJ2リーグを思いだします。


 最後には選手がスタジアムの退場口で観客をお見送り心地よい演出です。


 


 奥州福島まで出向いた理由、それは私のトップの写真でもわかります。駐車場では、彼のお母様とも話をすることもできました。


 ただ、いくら深紅のTシャツを着てタオルマフラーを振ってもきちんとチャントを覚えていませんし、まだ観戦2試合のみ。チームはスタジアムに足を運んだ福島市民・県民のもの。私はただ、信夫山の麓に足を運んだ観光客。


 


 久保田早紀のフレーズが頭の中に思い浮かびました。


 


 子供たちが空に向かい
 両手をひろげ鳥や雲や夢までも
 つかもうとしているその姿は
 昨日までの何も知らない私
 あなたにこの指が届くと信じていた
 空と大地がふれあう彼方
 過去からの旅人を呼んでる道
 あなたにとって私ただの通りすがり
 ちょっとふり向いてみただけの異邦人


 


 Jに駆け上がろうとしているその夢をつかもうとしているこの地の人たち、私はただの通りすがりのまさに異邦人


  

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