巨人の2010年ドラフトを振り返って

  • 舎人
    2010年10月31日 07:47 visibility4298






日本シリーズが始まったというのに、まだ澤村指名の余韻が残っている感じです。


その印象がまだ残っているうちに、


今年も巨人のドラフトについて振り返ってみたいと思います。


彼らの評価はどうだったのか?血液型は兄弟型は?


そして、彼らの今後の活躍の予想は?


 


今年の本ドラフトにおける巨人の指名は4人だけでした。


これは12球団中最も少ない数字です。


一説によると中日が2人で指名を打ち切るというウワサがありましたが、


ふたを開けてみれば巨人の方が少ない指名に終わりました。


ドラフトにおける指名人数とは、当然支配下枠との兼ね合いがあり、


指名した分だけ戦力外にしなければならなくなります。


それがドラフト前に戦力外の発表がされていた選手は、


日本人では村田、深田のみ、発表はなくても確実視されていたのは、


大道、藤田、小林雅、豊田の4選手


これに外国人のクルーン、エドガー、グライシンガー、李といった感じです。


豊田やグライシンガーの正式な報道はありませんが、


これらを合計すると10名減になります。


巨人は支配下枠めいいっぱいの70人だったので、これで60人になる訳です。


これを昨年の開幕時と同じ67名で迎えるためには、


代わりの外国人補強と今回のドラフト指名の合計で7人が限度でした。


私が予想するに外国人補強は投手が2人、野手が1人の計3人だと思います。


こう考えると今回の本ドラフトは4人しか指名できなかったのです。


それ以上指名するには残留させる方針だった選手を、


さらに振るい落とさなくてはならなかったという訳です。


当然欲しいと思えた選手も残っていたことでしょう。


しかし、現在保有している選手と天秤にかけた時、


そこまでして欲しいと思える選手はいなかったのではないかと私は考えます。


もっとも、以前清武さんは開幕時を65人で迎えることがベストと言っていたので、


まだ戦力外の発表のない豊田やグライシンガーの他に、


2名程度追加の戦力外発表か、金銭トレードによる移籍があると予想されます。







 巨人ドラフト指名選手


[本ドラフト]


1     澤村拓一     22歳 投手(右・右) 中大   


2     宮國椋丞     18歳 投手(右・右) 糸満高


3     田中太一     17歳 投手(右・右) 大分工高


4     小山雄輝     21歳 投手(右・右) 天理大


[育成ドラフト]


1     和田凌太     18歳 内野(右・右) 広島工高


2     岸敬祐      23歳 投手(左・左) 四国・九州IL愛媛


3     福泉敬大     22歳 投手(右・右) 関西独立・神戸


4     荻野貴幸     22歳 内野(右・左) 愛工大


5     財前貴男     23歳 内野(右・左) エイデン愛工大OB BLITZ


6     成瀬功亮     18歳 投手(右・右) 旭川実高


7     川口寛人     25歳 内野(右・右) 西多摩クラブ


8     丸毛謙一     22歳 外野(右・右) 大経大


 


今年のドラフト候補生の特徴は投手が大豊作だったと言うことでした。


特に大学生の投手は過去20年間でも最も粒ぞろいとの前評判で、


澤村を巨人が単独指名できたのも、無理して澤村に特攻しなくてもいい事情があったからです。


しかし、巨人は澤村の後に2位3位で高校生投手を指名します。


2人とも有望ながらどちらも今年に入ってケガをして評価が微妙になっていた投手でした。


それがなければ2人とも外れ1位の候補に十分なりえる潜在能力を評価されていました。


このようなケガ持ちの高校生を指名できたのも、澤村が疑うことのないほどの素材であり、


来季の戦力に間違いなくなると踏んだ余裕によるものでしょう。


もしも、澤村が抽選になりそのクジを外し、


ワンランク落ちる投手を代わりに1位で指名していたら、


2位でも保険的な意味で大卒社会人の即戦力投手を指名していたことと思います。


4位の小山の指名も同様の理由でしょう。


この投手は大学生とはいえ素材型の投手です。


ここで素材よりも実績に拘らなかったのは、


澤村をすでに確保できていた余裕がなせる業だったと思います。


もっとも巨人の4位指名の前の日本ハムの順番まで、


外れ1位との声もあった榎下という九州産業大の投手が残っていました。


もしも、榎下が残っていたら小山ではなく、そちらに向かっていたかもしれません。


 


このように右投手ばかり4人のややバランスの悪いドラフトでしたが、


投手が豊富な年に何も野手に向かうことはありません。


過去数年間と向こう数年間を合わせた中でバランスが取れた指名ができれば良いのです。


2005年 投手8人 内野1人 捕手1人


2006年 投手4人 内野3人 外野1人 捕手1人


2007年 投手3人 内野1人 外野2人


2008年 投手3人 内野2人 外野1人


2009年 投手2人 外野1人 捕手2人


2010年 投手4人


巨人のドラフトが変わったのは坂本の指名があった2006年からです。


それまでは投手の上位指名がほとんどで、


野手は人数合わせのような下位指名がほとんどでした。


それが2006年の坂本以降、2007年の藤村、2008年の大田、2009年の長野、鬼屋敷と、


立て続けにドラフト上位で野手を指名しているのです。


これは故根本さんが西武の黄金時代を築いた時と同じパターンで、


チーム作りはまず野手を固めることからという発想に倣ったものと思われます。


昨年までの巨人はそういった将来のスタメン候補生を数多く指名し確保してきました。


すぐに結果は出てきませんが、数年先に間違いなくこの野手を上位で指名したことが、


チーム作りにおいて間違っていなかったことと証明されるでしょう。


その野手の仕込みがすでに完了していることが、今年の投手4人指名に現れているのです。


 


投手4人の指名だけだった本ドラフトとは違い、


育成ドラフトにおいて巨人は12球団最多の8名を指名します。


来年はジャイアンツ球場にナイター設備が完了し、いよいよ第2の二軍が本格化しますが、


この8名という人数はただ単に本ドラフトで指名できなかった


野手や左投手を補う意味合いだけでなく、


この第2の二軍構想に基づくものなのだと思われます。


現在はロッテや他のイースタンチームとの混成で、


フューチャーズやシリウスを結成して戦っていますが、


これを今後は巨人単体でも戦えるようにして行く方針なのでしょう。


この8名がすんなり入団すると巨人の育成選手は、


退団する西村や竹嶋を除いても20人に達します。


未知の外国人投手をテストしている話もあるので、


この人数はさらに増えることも予想されます。


これらの育成選手を競わせて支配下選手に刺激を与え、


さらには一軍戦力の足りない部分にコマとして送り込む、これが第2の二軍構想です。


清武さんの長年の夢であり、当たり外れの大きい外国人選手の補強に取って代わる、


他球団に先駆けた大いに意義のある試みだと思います。


指名されたメンバーはテストなどをパスした聞いたことのない選手がほとんどです。


しかし、6位指名の成瀬など本ドラフトで指名があってもおかしくない選手もいます。


高卒の育成選手でも一昨年の杉山や昨年の河野のように、


本ドラフトの選手にひけをとらないほどのアピールをした選手もいます。


成瀬にもそれを期待したいと思います。







さて、今年の巨人のドラフト指名選手の前評判を振り返ってみたいと思います。


小僧=野球小僧(◎→○→△→無)


ア野=アマチュア野球(AA→A→BA→B→C→無)


日ス=日刊スポーツ(特A→A→B→C→無)


スニ=スポーツニッポン(A→B→C→無)


サス=サンケイスポーツ(A→B→C→無)


デイ=デイリースポーツ(特A→A→B→C→無)


東中=東京中日スポーツ(特A→A→B→C→無)



巨人ドラフト指名選手評価


[本ドラフト]


1位 澤村 小僧 ◎ ア野 AA   日ス 特A   スニ A    サス A    デイ 特A     東中 特A   


2位 宮國 小僧 ◎ ア野 B      日ス A      スニ A     サス A    デイ B         東中 A


3位 田中 小僧 ◯ ア野 無     日ス A      スニ A     サス A    デイ B         東中 B


4位 小山 小僧 ◯ ア野 B      日ス A      スニ 無    サス B    デイ B         東中 C


[育成ドラフト]


1位 和田 小僧 △ ア野 無    日ス C       スニ 無    サス C   デイ 無       東中 C


2位岸  小僧 無 ア野 無    日ス 無   スニ 無  サス 無  デイ 無     東中 無


3位福泉 小僧 無 ア野 無 日ス 無    スニ 無  サス 無  デイ 無  東中 無


4位 荻野 小僧 無 ア野 C     日ス C       スニ 無    サス C  デイ 無  東中 無


5位 財前 小僧 無 ア野 無    日ス 無      スニ 無    サス 無 デイ 無     東中 無


6位 成瀬 小僧 △ ア野 BA   日ス B      スニ C     サス C    デイ B      東中 C


7位 川口 小僧 無 ア野 無    日ス 無     スニ 無    サス 無   デイ 無      東中 無


8位 丸毛 小僧 △ ア野 無    日ス B       スニ B     サス C   デイ C       東中 C


 


これを見てみると、1位の澤村はいずれの雑誌・新聞でも最高評価を受けています。


この評価の高さは野間口の時以上、上原まで遡らなくてはならないほどのものです。


特に澤村は157キロの球速ばかりが一人歩きしていましたが、


ドラフト前の四年生の秋に変化球を巧みに使い、緩急の新境地に達しています。


したがって逆指名がなければ、四年次にやや球威を危ぶまれた大石や、


東大戦で結果が出ず、投球フォームに苦しんだ斎藤よりも、指名が競合したかもしれません。


この評価通り活躍するかどうかは分かりませんが、球威といい変化球といい、


アウトローへのコントロールといい、持っている武器が多いので、


戦力としてかなりの確率で成功するものと予想します。


 


宮國は甲子園で優勝した沖縄興南の島袋投手の好敵手として、


下級生の頃から知る人ぞ知る好投手だったようです。


しかし、今年の春に右肩の不調を訴え、


一時期は格下の高校に打ち込まれるなど生彩を欠いていました。


それを夏の甲子園に向けて調整し、沖縄県予選の決勝まで戦い抜いたことで、


一気に今ドラフト注目の投手として騒がれるようになりました。


ストレートのMAXは147キロとも149キロとも言われていますが、


持ち味はスライダーを中心とした硬軟織り交ぜた投球にあるとか。


指名の予想された一ニ三投手を回避してまで指名した投手です。


将来の先発ローテションの柱として期待が膨らみます。


評価は4誌で最高評価、2誌も次点での評価をしています。


小関先生のアマチュア野球のみがやや低い評価、紙面でも何のコメントも書いていません。


いずれにしても例年なら1位で消えていてもおかしくない評価の投手です。


週刊ベースボールでは投手タイプを巽(ソフトバンク)、


野球小僧では未来予想図を岸(西武)としています。


 


田中も今年の4月に肘を痛め苦しんだ投手です。


しかし、そのような投げ込み不足の中でも必死で甲子園にまで出場しました。


どうやら県予選で最高のピッチングをしたものの、その酷使のせいか、


肝心の甲子園では本来のピッチングができず一回戦で敗退してしまいました。


スリークォーターからMAXは148キロの快速球を投げ込むそうですが、


田中も宮國同様変化球にその持ち味があるようです。


早くも独特のスラーブを“太一ボール”と名付けた話が出たりしています。


思い切り肘のしなりを使って投げる投球フォームに再発の一抹の不安が残りますが、


無事に成長すればリリーフタイプの投手としてチームに欠かせなくなる予感がします。


評価は素材の良さは認めるものの、ケガの分を差し引いて中位がほとんどです。


しかし、日刊スポーツなどは高校生のA評価を一ニ三と宮國とこの田中にしか与えていません。


見る人が見たら素晴らしい投手なのでしょう。


週刊ベースボールでは投手タイプを中田(中日)としています。


 


小山は187センチの長身から繰り出されるMAX149キロのストレートと


落差の大きなカーブ、フォーク、スライダーが特長とのこと。


なんでも大学一年生の時は内野手をやっていた異色の経歴だとか。


アマチュア野球の談話の中で氏原さんは、フォークでストライクが取れると評しています。


また、野球小僧の中で安倍さんは、四年生になってからの小山の成長に触れ、


投球フォームについてテイクバックがコンパクトに改善されていることや、


フォーク、チェンジアップ、スライダーを駆使した


自在の投球をしているとレポートしています。


あまり知られてはいない投手ながら、今年になって急成長した投手と言う事なのでしょう。


広島が上位で指名するなんて話もありましたが、評価はまちまち。


小僧や日刊スポーツではまずまずの評価をしているものの、


後は下位指名がやっとといった評価です。


三年次までの実績が少ないのでこれは仕方ないでしょう。


評価の低さはプロに入ってから見返しさえすればいいのです。


週刊ベースボールでは投手タイプを平野(オリックス)としています。







育成1位の和田は西日本屈指の大型遊撃手とのことです。


一年生の時まではスイッチヒッターだったのを、二年生以降は右打ちに専念したのだとか。


そのために、選手名鑑の中には右打ちではなく、両打ちと紹介されているところもあります。


週刊ベースボールでは選手タイプを寺内(巨人)としていますが、


守備の名手として期待されているのでしょうか。


足も速いとのことなので、チームに欠かせないコマの1つになって欲しいと思います。


 


育成2位の岸は一説によると東京ドームで150キロを投げたことがあるとかで、


左のパワーピッチャーのようです。報知紙面ではセットアッパーを目指しているとのこと。


今年指名された唯一の左腕だけに注目してみたいと思います。


 


育成3位の福泉は関西独立リーグからの指名。MAX147キロを投げ込むとのことです。


愛知学院大を中退した経緯があり、澤村たちと同世代とのこと。


同い年の選手たちへのライバル心で支配下登録を目指して欲しいと思います。


 


育成4位の荻野は俊足で好守の遊撃手だとか・・課題は打撃のようです。


育成5位の財前はクラブチームからの指名のようですが、


どこを探してもそんな選手は載っておらず正体不明の内野手。


 


育成6位の成瀬は今年の夏に甲子園に出場し、2番手投手ながらリリーフ登板し、


MAX145キロを記録した右の本格派投手です。


武器はストレートとカーブ、スライダーとのこと。


評価はこの順位にしては意外に高く、小関先生は宮國や田中よりも上に評しています。


澤村も高校生のときは2番手3番手の投手でした。数年で一気に評価が逆転するかもしれません。


支配下登録はもちろんのこと、


宮國たちよりも早く一軍で登板することを目指して欲しいと思います。


週刊ベースボールでは投手タイプを桑原(横浜)としています。


 


育成7位の川口はクラブチームからの指名。テスト入団です。


なんでも双子だそうで、その弟も今回のドラフトで楽天から育成3位の指名を受けたそうです。


2人とも強肩の内野手だとか・・


 


最後の最後、育成8位で指名された丸毛は関西六大学リーグ大阪経済大の三塁手です。


俊足強打でチームの4番打者だそうですが、高校は大阪桐蔭で日ハムに行った中田の控えだったとか。


それが大学に入り急成長でドラフト候補生にまで昇り詰めたのだそうです。


その成長曲線をプロに入ってからも維持できたら面白い存在になるかもしれません。







次に、昨年同様ドラフト指名選手たちの血液型・兄弟型がどうだったかです。


何の科学的根拠もありませんが、スポーツ選手の活躍や将来度は、


血液型や兄弟型が関係していると言われています。


 


定義


スポーツ選手の血液型の優劣 B>O=AB>A


スポーツ選手の兄弟型の優劣 末っ子(兄弟の数は多ければ多いほど良い)>中間子>


長男>一人っ子


 


巨人ドラフト指名選手


[本ドラフト]


1     澤村拓一     血液型 A型  兄弟型 末っ子(2人兄弟・姉)   


2     宮國椋丞     血液型 B型  兄弟型 中間子(4人兄弟・兄、妹2人)


3     田中太一     血液型 O型  兄弟型 末っ子(2人兄弟・兄)


4     小山雄輝     血液型 O型  兄弟型 末っ子(3人兄弟・姉2人)


[育成ドラフト]


1     和田凌太     血液型 不明 兄弟型 不明


2     岸敬祐      血液型 AB型  兄弟型 不明


3     福泉敬大     血液型 A型  兄弟型 不明


4     荻野貴幸     血液型 O型  兄弟型 不明


5     財前貴男     血液型 不明    兄弟型 不明


6     成瀬功亮     血液型 A型  兄弟型 長男(3人兄弟・弟、妹)


7     川口寛人     血液型 A型  兄弟型 不明(双子の兄)


8     丸毛謙一     血液型 A型  兄弟型 不明


 


 


今年の本ドラフトの投手4人はほとんど問題がないと思われます。


特に宮國には最も可能性を感じる血液型・兄弟型です。


育成選手のほとんどは不明なのですが、成瀬はやや心配。


 


他球団を見回してみても巨人の血液型・兄弟型はまずまずでした。


兄弟型で12球団を見回したところ一番心配なのは阪神で、2位の一ニ三、5位の荒木がいずれも一人っ子です。


少子化でそんなことも言っていられないのでしょうが、どうなるのか気になるところです。


 


最後に総評として、巨人のドラフトは澤村が取れただけで100点だったものの、


さらに有望な高校生投手を2名も獲得できたという点で150点の感想です。


もちろん斎藤に行くべきだったとか、何でPLの観野が残っていたのに選択終了だったのだとか、


色々不満は残りますが、それを踏まえても


目的のしっかりした素晴らしいドラフトだったと思います。


しかし、この評価が3年先5年先まで続くものではありません。


失敗と言われていたドラフトの時の選手が主軸になって大成功だったなんてこともあるのです。逆もしかり。


 


ともあれ、早くも3月の教育リーグが楽しみです。


今年指名された選手たちがどんな成長の軌跡を描き、感動させてくれるかを、


想像を膨らませながらオフシーズンを過ごしたいと思います。


































































































































































































































































































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