社会人右腕・土本恭平に期待するジンクス打破
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舎人
2009年11月07日 08:27 visibility361
今日も引き続きドラフトの話・・
今年のドラフトは1位指名が社会人3年目の長野に始まり、
3位に社会人2年目の土本、4位も社会人2年目の市川と、
やたらと社会人の選手の指名が目立ちました。
巨人が1つのドラフトで社会人を3人以上指名するのは1999年以来のこと。
ここ10年で巨人は70名の選手をドラフトで指名してきましたが(育成を除く)、
その内訳は高校生31名、大学生28名、社会人10名、独立リーグ1名
これを見ると今年の社会人3人というのはいかに多いかが分かります。
これは何故か?巨人は元々社会人出身の選手と相性が悪く、
なかなか戦力になってこなかったという歴史があるのです。
過去30年間(1980年以降の入団)の選手が、
どれだけチームに貢献したかをランク付けしてみました。
(巨人在籍期間内の成績を基にランク)
大成功
投手(100勝以上もしくは400試合登板、※セーブは0.5勝)
高校 槙原、斎藤、桑田
大学 上原
社会人 なし
打者(1000安打以上もしくは1500試合出場)
高校 駒田、川相、松井
大学 原、清水、高橋由、二岡、阿部
社会人 仁志
成功
投手(30勝以上もしくは250試合登板、※セーブは0.5勝)
高校 水野、香田、木田、岡島
大学 河原、木佐貫、久保
社会人 宮本、高橋尚、内海
打者(250安打以上もしくは500試合出場)
高校 吉村、村田真一、緒方、後藤、元木、斉藤宜之、鈴木、坂本
大学 亀井
社会人 なし
一応戦力化
投手(10勝以上もしくは50試合登板、※セーブは0.5勝)
高校 橋本、條辺、真田、林、西村、山口
大学 木村龍治、三沢、越智
社会人 広田、西山、入来、野間口
打者(50安打以上もしくは200試合出場)
高校 村田善則、
大学 矢野
社会人 勝呂、吉原、川中、脇谷
この基準については異論のある人もいるかと思いますが、
とりあえず、傾向を見ていただけたらと思います。
このとおり、巨人は社会人選手がなかなか戦力になっていません。
大成功が仁志1人、成功が左腕3人、一応戦力になったのが8人といった感じです。
全部で12人です。元々指名した人数が少ないこともありますが、
それでもこの30年間で42人もの社会人選手を受け入れているのです。
その中で特に心配なのが社会人右腕。
広田ら4人が一応戦力になっていますが、成功した投手が皆無。
前評判はもの凄い投手が、なぜか期待に応えるような活躍が出来ません。
過去30年間(1980年〜)の社会人出身右腕投手の成績 ※(括弧内は巨人時代の成績)
1982年 D2位 岡本 46試合 3勝2敗 防御率3.55
1985年 D2位 広田 342(159)試合 29勝19敗30セーブ(18勝9敗19セーブ) 防御率3.00
1986年 D2位 水沢 一軍登板なし
1988年 D2位 松谷 59(39)試合 4勝4敗1セーブ(3勝4敗1セーブ) 防御率5.06
1989年 D2位 川辺 17(0)試合 1勝3敗1セーブ(一軍登板なし) 防御率4.89
1992年 D3位 西山 207試合 24勝18敗12セーブ 防御率4.11
1996年 逆指名D1位 入来 215(173)試合 35勝35敗3セーブ(27勝24敗) 防御率3.77
1997年 D6位 中村 一軍登板なし
1998年 D6位 玉峰 一軍登板なし
1998年 D7位 進藤 一軍登板なし
1999年 逆指名D2位 谷 2試合 0勝0敗 防御率37.80
1999年 D4位 内薗 26(22)試合 0勝0敗(0勝0敗) 防御率5.50
2004年 自由枠 野間口 84試合 11勝10敗1セーブ 防御率4.64
2005年 D2位 栂野 25試合 0勝0敗 防御率5.66
誰1人として入団前の期待に応えた投手はいません。
下位で指名された選手が結果を出せないのはある意味仕方ないにせよ、
ドラフト上位で指名された選手がこうも見事に結果を出せないのは、
なんだか本当に不可解です。
野間口なんかその年のトップアマ、ダルビッシュよりも上の評価でした。
それが未だに一本立ちできないまま、ダルビッシュに大きく水を開けられています。
そんな中での土本のドラフト指名!?
過去に社会人出身者がなかなか成功しないのを分かって指名したかどうか・・
土本はタイプ的に入来と似ている気がするので、
数年は中継ぎのコマとして重宝がられるにせよ、
便利使いされて大成しないのではないかと心配になってきます。
なぜ巨人は社会人出身の選手がなかなか大成しないのでしょうか。
スカウトの目が狂っていたのか?
それとも巨人の水は社会人出身者になかなか合わないものなのか?
1967年に山内新一という社会人出身の投手が入団したのですが、
ドラフト2位入団ながらなかなか芽が出ず、4年間でわずか14勝止まり。
それがトレードで南海へ移籍すると、なんといきなり20勝!
あれよあれよという間に南海のエースになり、
通算で143勝も上げた大投手になったそうです。
左腕ですが、1988年にドラフト1位で入団した吉田修司、
巨人時代は5年間でわずか6勝1セーブが、
ダイエーに移籍すると左の中継ぎの柱として大活躍です。
王監督の時代のホークスの中心投手の1人になっていました。
どうやら、スカウトの目に狂いが合った訳ではなく、
水が合わなかったってことかもしれません。
私の仮説ですが、甲子園や大学球界のスター選手を
次々と入団させてきた巨人という球団は、
社会人出身者にはなかなか華というものを求めず、
いぶし銀の地味さを求めてきた感じがします。
したがって、レギュラーやエースとして育てることよりも、
縁の下の力持ち的な役割を求めてきた。
それが、社会人出身者に水が合わなかったり、
大成した選手が少ない原因のような気がします。
社会人出身右腕のことをさらに遡って調べてみると、
巨人はドラフト制が始まって以降、
1人だけ成功した社会人出身の右腕投手がいました。
1971年にドラフト6位で入団した小林繁です。
江川の代わりに阪神に移籍させられた悲運の投手。
通算成績で139勝のうち62勝が巨人時代に上げたものでした。
どうやら悪いジンクスはこの時から始まっているようです。
ということはジンクスの正体は江川事件の呪い!?
何はともあれ、土本にその悪しきジンクスを破ってもらいたいものです。
- 事務局に通報しました。
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