キリンチャレンジカップ2006 日本代表-ガーナ代表「チョコレートの美味さは苦さで決まる」
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おかき
2006年10月05日 01:15 visibility100
ワールドカップで決勝トーナメントに進出したガーナとの対戦。
ワールドカップの結果だけで、その国がアフリカ1やアジア1という事は
組み合わせもあって比較するのは難しいが、現状のサッカー界を
考えればガーナはアフリカでもコートジヴォアールやカメルーンと
並ぶ強豪に位置するだろう。
また、彼らガーナ代表選手の多くはUEFA圏内のチームに所属している事から
少なくとも個人能力の高さは評価されている。特にアフリカ人特有の
身体能力の高さと柔らかいボールタッチを初めとする個人技の高さは
誰もが知るところだろう。
この様な強い国とどの様に戦うのかというのは、日本代表が今
世界のどのレベルにあるのかという位置を測るにはもってこいだ。
お互い国内組の招集に止まったトリニダード・トバゴ、突破を決めたとは言え
アジアという自分達の大陸の相手と戦っても自分達の位置は定められない。
試合は序盤からめまぐるしく展開が変わる試合となった。
日本は巻がスペースに飛び出すなど、ガーナのスペースを突いて
序盤から攻勢に出る。ボールを持たされているという感はあったが、
ボールと人は動いている印象はあった。
中でも印象的だったのは、佐藤が2列目に下がる様な形でボールを捌いていたシーン。
前線は巻きだけになり孤立する可能性もあるが、
中盤でエシアン、アッピアー、ムンタリらを擁するガーナの網目を
かいくぐる様にボールを受けていたのが記憶に残る。
ガーナは接点で強く、日本代表の多くの選手は殆ど1対1で勝てなかった。
勝てなかった分を佐藤が下がるなど、全体的な組織で補おうとする動きが、
結果としていい方向に流れた。動きに連動性があり、ボールと
選手の足が動いた。しかし、彼らに足りなかったのは最後のインパクト。
上手くボールを運ぶ事はできるが、最後の部分を仕上げられなければ
形にならない。日本代表のサポーターに徒労感が多かったのはこの点だ。
上手く運べる、しかし、決められず上手く繋がれてピンチを向かえる。
そのガーナ。競り合いでは殆どのシーンで勝ち、中盤でエシアンと
アッピアーがバランスを保つ。彼らの足元の技術も非常に高いので、
日本代表の選手がプレッシャーを掛けてもボールを奪う事が出来ない。
パスを捌くだけではなく、機を見て縦へドリブルを仕掛けてチャンスを作る。
その二人がしっかりしているから左右の選手が自信を持って飛び出せる。
高い技術でボールをコントロールし、突破を図る。
前線のFWギャンらには突破に物足りないものを感じたが、中盤で圧倒する
チームカラーなのでどこにストロンゲストポイントを持ってくるのかを
考えれば致し方ない事なのだろう。
流れの中から得点がなかったのはガーナも同じだが、日本代表の守りは
身体を張ったという言葉が当てはまる位、余裕がなく奮闘していた。
ただ、一点後半28分のシーンを除いては。そしてこの一点でゲームは決まった。
ガーナの特産は「カカオ」だ。カカオはチョコレートの原材料。
チョコレートの本当の美味しさは甘さではない。その甘美な甘さに包まれた
自分の舌を戒めてくれる苦味だ。この苦味こそがチョコレートの本当の
美味しさなのだ。
ガーナに喫した一点はただの一点ではない。恵まれた環境にあり、
この日も多くの観客が足を運んで後押しをする中であってもまだ
世界との差は大きい、それを痛感させられる「苦味」だったに違いない。
その苦味を感じて、次にどんなデザートを作る事ができるかそれが、
今日本代表に課せられた試練なのであろう。
エシアンはやはり技術と身体能力の高さは群を抜いていた。
アッピアーもまだまだ健在
開始4分の巻の突破もゴールには結びつかなかった。
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- 事務局に通報しました。
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