CL、バルサとユナイテッド

  • えつこ
    2011年05月31日 02:12 visibility120

ボールを保持してパスを回すバルサに対し、ユナイテッドは無理にはプレスを掛けず、数人でパスコースを閉ざしながらラインを作って守っていた。無理なプレッシングは大きなスペースを与えてしまうし、体力の浪費にも繋がり、相手の思うツボだからだ。

ユナイテッドは攻めるバルサからボールを奪うと一気にロングパスを出し、ルーニーとチチャリートが残る前線へ。とっさの反応に、たまに難があったピケではあったがマスチェラーノ、バルデスと共に切り抜けていく。その状況が続きながら、先制したのはバルサ。
イニエスタとシャビのゆったりしたパス交換でユナイテッド選手陣が一瞬、足を止める。その瞬間、シャビがスルーパスを出すと、その先にペドロ。ニアサイドへ蹴り込んだ。足が止まっていた所でCBの間にメッシも侵入。それでは名手ファン・デルサルも手出ししようもない。

先制したバルサが2年前と同様に完全にペースを握ろうとしていたが、数分後、ユナイテッドが追いつく。
バルサのスローインからのボールを奪うとルーニーがギグスのワンツーで前進。そのままシュートをゴール左隅に叩き込んだ。

前半は1-1で終了。
追いついたユナイテッドだが、試合の流れはバルサにあった。ボールが基本的にバルサの物になっていたので、攻撃を形作れない。
ボールを持ってもキャリックのパスが通らないし、バレンシアもサイドに張り付かされていた。

後半、バルサが支配を強める。ユナイテッドにとって序盤、効果的だった前線へのロングフィードが、ルーニーが下がってボールに絡むことが増えてチチャリート一人が前線に
残る形になり、利益を生まない。
チチャリートは、ボールを最終ライン裏近くで取れば決めることが出来るが、周囲を動かすタイプではない。バルサCBに囲まれ、身動きも取れなかった。
ベルバトフなら楔を受けてボールキープをしたり、ルーニーと入れ替わってパサーとして振る舞うことも出来たかもしれないが、ベンチにすら入れない状況にあったので、どう言いようもないが。

そうこうしている内にバルサが差を広げる。
イニエスタがピッチ中央からメッシへパス。フリーで受けると、瞬時にコースを見極めシュートを放つ。それがゴールネットに突き刺さった。この更なるビハインドで焦るユナイテッドは出足が遅くなる。後手に回ってファールが増えていく。カードも増え、それが積極性も奪っていった。
現状を打開する策として、ユナイテッドはナニを投入。彼の突破力で逆転への足掛かりを作ろうとしたが、その直後に試合を決定づけるバルサの3点目が。

左サイドに流れたメッシが駆け上がり、中央へクロスを出す。なんとか対応しようとしたが、ナニがクリアし損ねてしまう。ちょうどそこにブスケがボールを取ると、ビジャへパス。ビジャがユナイテッドDFの真上を通す巻いたシュートで、得点した。

3-1…絶対的リードを得たバルサの完全な支配が始まっていった。ユナイテッドにボールを奪われバイタルエリアまで近づかれても、バルサは人数を揃えて守った。

そしてバルサにとって歓喜の笛、ユナイテッドにとって悪夢のような笛が鳴った。


バルサの3得点中、2得点がイニエスタとシャビが加速させた攻撃を敢えて一度止めることで、ユナイテッド選手陣の足も止めさせて生まれたスペースを生かした物だった。

通称MVP、メッシ、ビジャ、ペドロの決定力などは確かに見事だし、守備陣の対応も見事だったと思うが、それを最大限活かしたのはイニエスタとシャビだ。
彼ら無しで圧倒的ポゼッションや流動的プレーは出来ない。世界最高と賞賛されるメッシも、彼らに生かされているからこそ、周りも生かせる選手だとも言われるのだ。
しかし彼を過小評価する気は毛頭ないため、勘違いしないでいただきたい。

結果論なのかもしれないが、ユナイテッドはキャリックよりもスコールズを初めから起用した方が良かったと感じる。確かに90分間動き回る運動量は無いが、中央の選手には運動量を求めず戦っていたのだから問題無かったはず。
中盤を飛ばして攻撃していたとは言えバルサに対応するには、彼らと同様に中盤でボールを維持してそこから展開することも必要。

(実例を出すなら、南アフリカW杯後のアルゼンチン対スペイン、アルゼンチンが大勝した試合。カンビアッソが中盤でチームを操り、ボールをスペインに持たせなかった)

ともあれ、今回もバルサが圧倒的な力を見せた。これによって、またサッカーの潮流が「バルセロナ」となっていくのだろう。
もちろん様々な形のサッカーが生き続けることも変わらない。

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