かわいそうなウェールズ代表

ヨーロッパでは、２０１２年のＥＵＲＯ出場に向けて、激しい予選が行われているわけですが、グループＧに所属しているウェールズ代表は、先週行われたブル
ガリア戦、今週に行われたスイス戦に破れてしまい、これで０勝３敗の最下位という、最悪に近いスタートとなってしまいました。



もともと予選突破の有力チームでもなく、イングランド、スイス、モンテネグロといった格上のチームばかりが相手であるという現状を考えると、今回の結果も
仕方ないのかもしれませんが、できることならプレーオフ進出の期待を抱かせてくれるようなスタートを切ってほしかったです。



ただ、現在のウェールズ代表の現状を考えると、致し方ないのかなとも思います。



一番痛かったのは、アーロン・ラムジーの離脱でしょう。

ヨーロッパでは中堅以下のクラスに入るウェールズ代表は、原則として格上相手に戦うことが多いため、守備的なサッカーになってしまうことは仕方ないわけで
すが、そのなかから、わずかなチャンスを掴んで得点を取るために欠かせなかったのが、アーセナルに所属しているテクニシャンの彼です。



予選前の親善試合で、なかなか攻撃がうまくいかない攻撃陣に対して、当時監督だったトシャックさんが「ラムジーさえいれば・・・」というコメントをしてい
た記憶がありますが、全くそのとおりなのでしょう。それくらい彼の存在は、今のウェールズ代表にとって必要不可欠でした。



ところが彼は今年の初めに、試合中に受けたタックルにより重傷を負ってしまい長期離脱。結局EURO予選には間に合いませんでした。



そして開幕戦を落としたあと、今度はトシャック監督が辞任してしまいます。



ウェールズサッカー協会としては、マンチェスター・ユナイテッド所属のギグス選手を（おそらく選手兼任の）後任監督として呼びたかったようですが、断られ
てしまい、その後も色々と監督候補が出ながらも、なかなか有力な人材がみつからなかったようで、最終的には、Ｕ－２１ウェールズ代表監督を務めているブラ
イアン・フリンさんが代行監督を現在務めています。そして、未だに後任監督が見つかっていないのが現状です。



ただでさえ格下チームであるにも関わらず、こういった色々な不運が重なってしまっている現状ですから、現在最下位であることも残念ですが納得してしまいます。どこかでチーム浮上のきっかけを掴んで欲しいのですが・・・



ラムジーが戻ってくれば、守ってカウンターというサッカーがうまくいくようになるのか？ギグスが監督になればウェールズ代表への世間からの関心が高まり、強いチームになっていくのか？いずれにせよ、ウェールズサッカー協会の今後の努力に期待したいと思います。



ただ、個人的に感じるのは、ウェールズ代表が、かわいそうだなと思ってしまうのは、ウェールズ人のウェールズ代表に対する関心の低さです。



先週のEUROの予選のブルガリア戦はホームで開催された試合なのですが、２６０００人収容のスタジアムで、１４０００人しか集まりませんでした。予選前
に行われたホームでの親善試合(対ルクセンブルグ)では、１５０００人収容のスタジアムで４５００人と、ウェールズ人のウェールズ代表への関心の低さを感
じられずにはいられません。



調子が良く、ＥＵＲＯ初出場まであとわずかとまで迫ったＥＵＲＯ２００４の予選では、７万人収容のミレニアムスタジアムが満員になっていたのですが、もう遠い過去の記憶となってしまいました。



今では、おそらくほとんどのウェールズ人が、ワールドカップにしろ、ＥＵＲＯ予選にしても、「どうせ負けるよ」という気持ちで試合を見ているのだと思いま
す。残念ながら、これが現在のウェールズ代表の現状なのでしょう。ラグビーの代表が強いだけに、そっちの方へ関心がいきがちというのも理由かもしれません
が・・・



おそらく、民族的な感情から、来年３月に行われるイングランド戦だけは満員になると思います。ただ、その後は空席の目立つスタジアムのなか、今後も彼らは戦うことになるのでしょう。



ネガティブなことばかり書いてしまいましたが、なんとか頑張って欲しいです！



過去には国際Ａマッチデーにも関わらず、マッチメークがうまくいかないのか、財政的な問題なのかわかりませんが、チーム強化にとって必要だと思われる親善
試合を行わないくらいだった彼らですが、今年からカーリングネーションズカップという大会に参加するので試合経験を増やすことが可能になりましたし、若い
選手も多いので、彼らの成長に期待して、EURO２００４予選の頃のような興奮をもう一度味あわせてもらいたいと思っています！