巨人の前半戦を振り返るー捕手・野手編その2(個別選手編)
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元大阪爺
2012年07月26日 00:31 visibility341
後半戦が始まってしまいましたが、捕手・野手の個別寸評を書いてなかったので日記に残しておきます。長文お許しください。
まずは「枢軸」の4選手から評価します。ポイントについては、この日記を参照してください。
・阿部(ポイント174,打率307、本塁打12、打点47、四球42、出塁率414、長打率502、OPS916、得点圏打率348)
すばらしい成績で、捕手・野手では前半戦の貢献度NO1だろう。チャンスで、気負いのないスイングで適時打を飛ばす姿にはうならされる。走塁で時折手を抜いているのは故障予防のためだろう。
・坂本(ポイント173、打率304、本塁打8、打点39、四球23、盗塁8、出塁率358、長打率459、OPS817、得点圏打率333)
阿部と同様にすばらしい成績である。昨年の不振から脱却した。原監督に強要された「すり足打法」をやめ、昨年終盤に自らが編み出した「蹴り足打法」に戻して成績をあげているところが頼もしい。例によって、守備ではポカもあるが、それを上回る守備範囲の広さでチームに貢献していて、オフでのヤクルト:宮本選手への弟子入りの効果が出ている。ピンチでは、(昨年までの小笠原に代わり)積極的に投手に声をかけている姿が目立つ。また、走塁でも、今年は盗塁に意欲的な姿勢が見える。攻守走においてチームを引っ張る姿勢が見えるのが頼もしい。
捕手:阿部とショート:坂本は、本来、守備優先のポジションであるにもかかわらず、強打者でもあるということが、巨人にとって最大の強みではあるが、他方、この二人がケガをしたとき代替選手がいないということで大きな弱みにもなる。坂本・阿部の腰痛とケガが巨人にとっては、最も恐い出来事だろう。
長野(ポイント177、打率274,本塁打11,打点37,四球38,盗塁13,出塁率350 ,長打率428 ,OPS778 ,得点圏343 )
私の貢献ポイントでは、僅差ながら阿部・坂本を抑えてトップである。打率がやや物足りないが、(本来、初球を打ちたいタイプであるにも関わらず)四球をよく選んで出塁率が350、また、13盗塁を決めて1番として立派な成績である。長野1番、坂本3番としてから巨人の調子が上がってきた。チャンスで初球からどんどん振りにいく彼の傾向は、時にはマイナスにもなるがそれが「長野」なのだろう。他球団の2度の指名を拒否して巨人に来てくれた彼に感謝したい。
村田(ポイント139,打率273,本塁打5,打点35,四球18,出塁率 0.323,長打率372,OPS695,得点圏258 )
つなぐ4番に徹しすぎているためか、チームトップの5犠飛は光るものの、打での貢献度は「枢軸」の他の3人に比べて低い。本塁打も少ないし得点圏打率も低い。他方、3塁守備での貢献が非常に大きい。何度も難しいゴロをさばいて、ピンチを救ってくれた。後半は、もう少し彼本来の豪快さを前に出してもよいと思うが、巨人1年目ということで気を遣っている分難しいか。
*続いてそれ以外の選手。
高橋由(ポイント135,打率257,本塁打6,打点32,四球33,出塁率358 ,長打率369 ,OPS727 ,得点圏298 )
併殺数11とチームトップの併殺王なのは困るが、枢軸の4人につぐ貢献ぶりを示している。好不調の波が激しいが、天才:高橋らしい打撃を要所で見せ、チームを救ってくれた。年齢と腰痛の持病があるのでフル出場は難しい。彼をいかに休ませながら使っていくかというのが後半戦のポイントだろう。
谷(78ポイント,打率,267,本塁打2,打点,14,四球9,犠打10,出塁率302,長打率314,OPS616,得点圏261)
守備での衰えが目立つが、打撃での「ベテランの味」が捨てがたく、10犠打を決める献身ぶりからも原監督が1軍に置くことは理解出来る。「これで打てなければ谷も2軍落ちか。」と思うような所でしぶとくヒットを重ね2軍の若手外野手の壁として君臨し続けている。若手ファンとしては、加治前あたりに谷への引導を渡してほしいのだが、なかなかそこまでは行かないようだ。
ボウカー(ポイント55,打率192,本塁打2,打点7,四球16,出塁率278,長打率285,OPS563,得点圏打率111)
助っ人としては完全に落第の成績だが、年齢が29才とまだ若いこと、(巨人にはすくなくなった)左の強打者タイプであること、選球眼が悪くないこと、外野守備は並以下だが1塁守備は並~並以上であること、性格が良いといったことから、現状の2軍の強打者タイプの若手(大田・中井・田中大等)より「育ててみたい」と原監督が考えることは理解出来る。選球眼において大田・中井を上回り、長打力において田中大を上回るからである。広島の堂林選手、DeNAの筒香選手、阪神の伊藤選手、中日の高橋周選手、ヤクルトの松井選手に対して、巨人はボウカーというのはちょっと悲しいが、1塁手兼外野手として、バリバリのメジャーリーガーを引っ張ってくるよりは、ボウカーを育てることを私は支持する。
寺内(ポイント62,打率274,本塁打1,打点5,四球9,犠打8,犠飛2,盗塁6,出塁率333,長打率347,OPS,680,得点圏194)
寺内の打率が2割7分を越え、出塁率が3割3分を越えると聞けば、多くの巨人ファンが「嘘!」というのではないだろうか。だが、厳然たる事実である。前半戦は、左投手専用で先発で使われたが、左右の投手で打率に差はない。打撃でも選球眼でも守備の安定度でも藤村を上回っており、走塁でも6盗塁と結果を出している。後半は、相手先発の左右に関わらず寺内を使うべきである(実際、25日のDeNA戦では、相手先発が右投手の国吉投手だったにも関わらず寺内が先発だった)。寺内の練習風景を見た人は同意してもらえると思うが、体の切れがよく、バットスイングも速い。ただし、実戦では悲しいくらいにバットに当たらないのが寺内だった。今年、寺内の成績が上がっているのは、橋上コーチに狙い球の指示をもらえているからではないかと密かに思っている。
藤村(ポイント55,打率230,本塁打0,打点1,四球5,犠打13,盗塁8,出塁率260,長打率262,OPS522,得点圏087)
去年盗塁王となり、今年の飛躍が期待された藤村だが期待を裏切っている。インコースに明瞭な欠点をもっていて非力なので、投手としては非常に攻めやすい打者だろう。得点圏打率の極端な低さがそれを表している。たぶん、精神的なものが原因と思うが、守備も不安定で、それが走塁にもでてしまって、代走としても切れを欠いている。2軍で鍛え直すべきと思うが、原監督は、「守備固め、代走のコマ」としての藤村を必要と考えているみたいで1軍に置かれている。
エドガー(ポイント65,打率280,本塁打3,打点17,四球 11,出塁率336,長打率424,OPS760,得点圏382)
事実上働きだしたのが6月以降であることを考慮すると、このポイントは、高橋由や村田に匹敵する貢献度を示す。メジャーの3Aを解雇された選手が、ここまで活躍できるのだから、日本野球向きという外国人選手はいるのだろう。2010年の巨人在籍時は、長打力があることを示していたが、統一球に対しても長打が打てるかどうか疑問だったがそれを解消してくれた。選球眼もあり、得点圏打率4割弱というのは助っ人としてふさわしい。元来2塁手なので、1塁手としては打球を追いすぎたり、ワンバウンド送球の捕球が下手といった守備の欠点が出場当初は認められたが、試合を重ねるにつれてそのような欠点もなくなり守備でもチームに貢献している。出戻りとはいえ、立派な「巨人が自前で発掘した」外国人選手である。
亀井(ポイント35,打率259,本塁打2,打点9,四球3,出塁率292,長打率447,OPS739,得点圏200)
2009年の優勝の立役者の一人だが、この2年は、原監督の「贔屓起用」にも関わらず結果を出せず、7月初めにようやく打撃が戻ってきたかとおもったらケガで2軍落ち。どうもツキがない。調子の悪いときにもう少し四球を選んでくれたらなんとかなると思うのだが、とにかく調子が悪くなると早打ちして凡退を繰り返す。外野の守備は一級品で、1・3塁も守れ、左の代打で長打も打て、足も遅くはないと「控えのコマ」としては非常に有用性のある選手である。年齢とキャラからボウカーのライバルとなる。ケガが治ってきたときに、ボウカーが1軍に定着しているかどうかが、彼にとって重要なポイントとなるだろう。
小笠原(ポイント20,打率164,本塁打0,打点4,四球,4,出塁率,205,長打率205,OPS410,得点圏,150)
かつての小笠原を知るものにとっては信じがたい数字が並ぶ。今のボウカーの数字すら下回っている。フルスイングするだけに統一球にアジャストできないのか、2011年以降の不振から回復しない。現在、故障で2軍落ちしているが、故障前の数字でも上記の通りである。年齢も39才で、年俸:4.3億円の2年契約の最終年が今年でもあり、ファーストはエドガー・ボウカー・亀井といるので、このまま引退となる可能性が高いと思われる。
加治前(ポイント25,打率250,本塁打0,打点7,四球3,出塁率281,長打率283,OPS564,得点圏273)
選球眼が向上し、地味ながら食らいつく打撃で4月8日以降、1軍の控え外野手・右の代打として1軍に定着している。よく頑張っているが、最近の打席ではやや精彩を欠き、同じキャラの谷と矢野が1軍にいることもあり、そろそろアピールしないと降格の可能性がある。外野守備に今一つ安定性を欠くのも不安材料ではある。
古城(ポイント17,打率167,本塁打0,打点3,四球6,出塁率265,長打率214,OPS479,得点圏111)
原さんが大好きなユーティリティープレーヤー。内野はすべて守れるし、しかも、どこを守らせても並以上の守備はする。左の代打としても意外性のある打撃をする。ただし、守備や走塁でときどきとんでもないミスをやらかす選手。今年はケガで出遅れたが、しぶとく上がってきた。ただ、いくらユーティリティープレーヤーとはいえ、もう少し打撃の数字をあげないと駄目だろう。
松本哲(ポイント5、打率125,本塁打0,打点0,盗塁3,出塁率125,長打率125,OPS250,得点圏111)
打撃は悲惨な数字が並ぶが、足を上げるのをやめたとかで少し上昇の気配がある。外野守備は一級品で、前半戦の最後の方の試合では好守備を連発した。足も速い。ただ、守備固めと代走は3名もいらないと思うので、鈴木・松本哲・藤村のだれか一人は、いずれ二軍に落とすと思う。
矢野(ポイント11,打率250,本塁打0,打点2,四球0,犠打3出塁率280,長打率292,OPS572,得点圏286)
絵になる選手でファンの人気も高いがケガの多い選手。今年も、開幕1軍は確実だったのに、直前でケガをして2軍落ち。6月下旬にようやく1軍に上がって主に代打で結果を出している。ただ、バントをするだけの代打として使われる場合もあり、ファンとしては悔しい。プレーは真摯だが、野球以外の部分でどうも首脳陣に嫌われている節がある。谷・加治前・矢野と右の代打兼外野手が3人1軍にいるというのは希有な状況であり、いずれ、この中の一人が降格すると思われる。
鈴木尚(ポイント7,打率000,本塁打0,打点0,得点10,盗塁7,出塁率083,長打率000,OPS083,得点圏000)
巨人の生え抜きでは、高橋由(37才)の次に「年寄り」の選手(34才)。年齢と共に、走塁と守備には円熟味が増したが、打撃は悪化した。原監督のアドバイスで、スイッチをやめて右打席に専念してからさらにひどくなった気がする。まあ、この選手はいくら打てなくても1軍に置いとくでしょう。得点10が示すように、代走として使ったときに本塁に戻ってくる可能性が非常に高い選手なのだから。
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