函館放浪記つづき~有力私学なのか?
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仲本
2017年09月30日 21:38 visibility757
路面電車の始発に乗って函館駅へ。駅前の朝市で朝食をとった後、五稜郭へととんぼ返りし、とりあえず五稜郭タワーに登って上から眺める。歴史にはあまり詳しくないのでちょっと寄るだけでいいと考えていたが、それでも小一時間滞在してしまった。やむを得ずタクシーをつかまえることにする。
「近くて申し訳ないが、オーシャンスタジアムまで!」
車で走って10分足らずで木立の向こうに照明塔が見えてきた。しかしこれは同じ公園内にある陸上競技場のものだ。外周をぐるりと回りこむ格好で球場に近い側の公園入口に到着する。
この日は秋の高校野球・函館支部予選が行われていた。北海道は広いため、まずは全道を10地区に分けた支部単位で予選を行う。函館支部は連合チーム1つを含めた19チームが参加。A・B二つのブロックに分かれて予選トーナメントを行い、それぞれのブロックの優勝校が全道大会に出場するということだ。わたしが観戦した日はBブロックの準決勝にあたる。話の都合で第二試合から。
ひときわ大きな緑の旗は函館ラ・サール。鹿児島にある超進学校とは兄弟校にあたる(鹿児島のほうが創立が早い)。全校生徒約500人。対する函館水産は、海洋技術科など4つの学科を持つ道立の学校で、全校生徒は約450人。球場でもらったメンバー表によれば、今年の秋の函館支部はベンチ入りメンバー上限の18人に満たないチームが19チーム中10チームとなっているが、両校は18人そろえてきた。初戦、函館ラ・サールは函館西に2-1、函館水産は函館商に4-2とともに競り合いをものにして勝ち上がってきている。そこそこいい勝負になるのではなかろうか。
しかし1回の表、ラ・サールは4番打者がサード頭上をライナーで超す二塁打で出塁すると、バント内野安打などもあって無死満塁と絶好の先制機を迎える。つづく4番がセンター返しの2点タイムリー。さらに6番打者がうまくおっつけてライト前へ、これでさらに二者が還って都合4点。各打者が積極的にはじき返している。函館水産のエースは時折指のかかったいいまっすぐを投げるのだが、これが続かない。それとも動く系のボールを多投しているのだろうか。
(胸マークのLa Salleのイニシャル「LS」、下に小さくHAKODATEと入っている。アンダーシャツ・ストッキングは緑)
一回裏、ラ・サールの先発としてマウンドに上がったのは背番号10の一年生右腕。こちらは立ち上がり函館水産打線を内野ゴロ2つと外野フライで三者凡退で切って取った。
函館水産の反撃は3回、1死2塁から二塁走者がスタート、打者空振りで三振となったが捕手からの三塁送球がそれ、外野へ転がる間に走者生還。形はどうあれ1点返した。
ラ・サールは4回、エラーも絡んで走者をためるとタイムリー・犠牲フライなどで追加点を挙げた。4回裏からは二年生エース左腕が登板した。まずは2三振を奪って函館水産打線を寄せ付けず。なんだ、普通に有力私学じゃないか。
(結局、このまま試合は8-1で7回コールドゲームとなった)
考えてみればラ・サールは(野球目的ではないだろうが)寮生も多く、全国各地から生徒が集まってきている。高校を卒業すればそれぞれ全国の大学に散らばり、そのまま函館と縁が切れてしまう生徒も多かろう。函館水産はどちらかといえば地元密着、卒業後は当地の重要な観光資源でもある海産物の生産流通にかかわる生徒も多いと思われる。そもそもよその土地から函館に野球だけ見にやって来る人間などそうたくさんいるものではない(一人だけかもしれない)。とするならば、未来の函館が魅力ある場所になるかどうかは、むしろ函館水産の彼らにかかっているかもしれないのだ。
なんか、おじさん間違ってたような気がする。この日の試合は残念ながら大差がついてしまったが、函館水産、これからもがんばってほしい。
(試合前の函館水産選手たち。胸マークは「KANSUI」。「かん」は函館の「函」ですね。色は濃紺ベースに、ストッキングのラインは白・赤・白)
- 事務局に通報しました。
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