モウリーニョに出来なかった事がなぜグラントに出来たのか?

  • 2008年05月06日 22:16 visibility329


チェルシーがチャンピオンズリーグで決勝に進出した。これはちょっとした驚きだった。私に言わせると奇跡に近い。 

あの奇才モウリーニョですらチェルシーを決勝に導けなかったのに。



あの金満オーナーのワガママに付き合いきれず、結局モウリーニョは出て行った。
そんなイタリアやスペインのどこかのチームみたいなビッグクラブの崩壊がまたイングランドでも繰り返されるだけだ、と私はタカをくくって見ていた。 


ところが。

そんなチェルシーが蘇った。






単にロシア語が堪能でたまたまオーナーと親しかったというだけの、プレミアの監督資格を持たない無名のさしたる実績も無いオッサンが蘇らせた。



目の周りなんか、落ちくぼんで黒くクマになってるし、いつもパーカーを着ていて、スタイリッシュなコートを着て颯爽としたモウリーニョに比べて格好良くもなく知的な感じもしない。
そんなオッサンが、である。

 

もちろん戦術的にはバルセロナから引っ張ってきたコーチのテンカーテに依るところが大きいのかもしれない(特にペナルティーエリア付近の攻撃に数年前のバルサのスタイルが垣間見える)。


でも、サッカーは人間がするもので、機械がするものではないから、いくら机上の論理の集積である戦術がハマッたとしても、それを遂行する選手の側のモチベーションが伴わなければ結果は付いてこないのがこのスポーツだ。 

そう考えると、一時期まるでやる気をなくしてグラント批判を繰り返していたドログバをここまで本気にさせたのはグラントの功績なのかもしれない(どうやったのかは分からないけど)。


また、普通なら共存しえない(少なくともモウリーニョには出来なかった)ドログバとアネルカ、ランパードとバラックを同時にプレーさせることに成功したこと。



更に言えば、オーナーお気に入りのシェフチェンコを先発で使わない、なんてことも厭わない。オーナーからのプレッシャーを想像するに、なかなか出来ることではないと思うのだが(モウリーニョはシェフチェンコをフィットさせるのに相当犠牲を払った)。




審判への抗議を嫌い、モウリーニョの時代には当たり前だった試合前の監督同士の舌戦もなくなった。

もしかしたら、そんな真摯な人格者のカリスマ性にチェルシーの選手たちは信頼を置き始めたのかもしれない。






そう考えると、この妖怪みたいな顔したオッサン、意外にアナドレませんぞ。

チャンピオンズリーグとプレミアのダブル。
暫定監督が成し遂げてしまう、という珍しい最初のケースになるかもしれない。
今からそれがちょっと楽しみでもある。





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