言葉の壁を越えるもの−映画「バベル」

  • 2007年05月12日 00:30 visibility562


菊池凛子が熱演して話題になった映画「バベル」を観てきました。
モロッコ、アメリカ(メキシコ)、日本を舞台にした三つの異なる物語が、次第に一つに収斂していく監督・脚本の妙を感じました。ラストはもうちょっと何とかなったんじゃないかなあ、ネタバレになるのであまり書けませんが。
どうもこの映画は旧約聖書の「バベルの塔」にインスパイアされて製作されたような気がします。

全地が一つの言語、一式の言葉だった頃に
バビロニアの人々が
「さぁ、我々のために都市を、そして塔を建て、
その頂を天に届かせよう。そして、大いに我々の名を揚げて、
地の全面に散らされることのないようにしよう。」
ということで、神への崇拝の為ではなく
建築者たちの名を上げるために塔を建設していた時に
それを見た神が怒り、人々の言語を混乱させ
人々が互いの言葉を理解できないようにさせて
バベルの塔の建設を途中で終わらせた。

映画は、モロッコ人の兄弟・アメリカ人の夫婦・ヒスパニックの乳母と白人の子・日本人の父子が、兄弟、男女、人種、親子といった立場の違いから生ずる言葉の壁を乗り越えて、深い絆を切り結ぶ、という展開です。人間は神が与えたもうた言葉の壁を、謙虚になって相手を思いやる気持ちを持てば乗り越えられるのではないか、という筋なんだろうなと思いました。

翻ってサッカーで私が一番好きな瞬間は、ゴール後に選手たちが抱き合うシーンです。そこには人種も宗教も男女の別もない、人間としての喜びがあります。さっきまで喧嘩してたのに、ゴール決めたら抱き合ってたなんてシーンを何度と無く観てきましたから。サッカーは言葉の壁も心の壁も越えてしまうヒューマニズムに溢れたスポーツなのだと、映画を観ながら考えたりしてました。





16世紀の画家
ピーテル・ブリューゲルが描いたバベルの塔。
























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