輝きを放ったブスケツとティモシュチュク 文: グレアム・ハンター(エスタディオ・ラモス・サンチェス・ピスフアン)
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2015年03月30日 09:23 visibility861
年齢や身長が違い、さらに髪の色も対照的な2人だが、プレースタイルやポジション、特徴とチームでの存在感は瓜二つ。27日のエスタディオ・ラモス・サンチェス・ピスフアンでは、まるで双子のようなセルヒオ・ブスケツとアナトリー・ティモシュチュクが激しく火花を散らした。
両選手が鏡で映し合わせたように見えた理由は、どちらも中盤中央でプレーし、まるで何かでつながれているかのように、前後左右へシンクロして動き回っていたからかもしれない。
このコンビは効果的なプレーでそれぞれのチームを機能させた上、ピンチの芽を摘むフィルター役にもなった。試合開始数分前の入場トンネルでは、スペインのビセンテ・デル・ボスケ監督がブスケツにこう語っている。「“ブシ”(ブスケツの愛称)、しっかりケアしてコントロールしろ。主導権を握れ」。対するウクライナのミハイロ・フォメンコ監督が、まったく同じ瞬間に同じ指示をティモシュチュクに伝えていたとしても驚きはしないだろう。
スペインが2010年FIFAワールドカップに向けた合宿を行ったポチェフストルームで、デル・ボスケ監督がこう語っていたことも思い出す。現代のサッカー選手に生まれ変われるなら、ブスケツのようになりたいと。FCバルセロナで活躍する26歳のMFは、この日も確かに見事なプレーを見せてくれた。ただし個人レベルのパフォーマンスを比較すれば、ウクライナの中盤に君臨したブロンドの35歳に軍配が上がる。
セビージャで勝ち点3を獲得したのは、そのティモシュチュクより9歳若いブスケツのチームだった。この結果、予選グループCは首位スロバキアに3ポイント差でスペインが続き、ウクライナが3位で追う展開となっている。しかし、試合後にUEFA.comのインタビューに応じたティモシュチュクが、「逃したチャンス」や「イケル・カシージャスの素晴らしいセーブ」について言及したのも当然だった。
ティモシュチュクが中盤の底で精力的に働いたことで、ルスラン・ロタンはカシージャスの守るゴールに再三迫ることができた。やがて試合は、このマドリードとポルタバの出身の33歳同士による個人対決の様相を呈した。
ロタンは「ラインとラインの間」のスペースに自由なタイミングで飛び込むことができた。それもティモシュチュクの卓越したポジショニング、流れを読む力、素早い反応、そして代表キャップ数137の経験に裏付けられた落ち着きによるところが大きい。それはまさに、「背後は任せろ」と言わんばかりのプレーぶりだった。
ブスケツも実質的に同じ役割をこなしていた。敵陣に切り込むアンドレス・イニエスタを後方から支援し、両サイドのイスコとダビド・シルバへ素早くパスを配給。唯一違ったのは、ティモシュチュクのパートナーの方がゴールへの意識が強く、シュートを撃てるエリアまで積極的に駆け上がっていた点だった。
驚くべきことに、ロタンとイニエスタの代表での得点ペースはほぼ同じで、10試合に1ゴール程度だ。仮にカシージャスの調子が良くなければ、ウクライナはスペインを倒して、しかも2点差で勝利を収めていたかもしれない。ロタンはハットトリックを決めていてもおかしくなかった。
3週間後のエスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンでも、ティモシュチュクは“ピボーテ”として中盤の底からゲームをコントロールすることになる。今度はFCゼニトの一員として、UEFAヨーロッパリーグ準々決勝第1戦で昨季の王者セビージャFCに臨むのだ。
これは中立ファンにとっても注目の一戦となるだろう。知的かつ冷静に中盤をコントロールするブスケツの姿を見る機会は、まだこの先あと何年もある。しかし、ウクライナ生まれの“双子の兄弟”に残された時間は、おそらくそれほど長くない。見られるうちに見ておこう。
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