野球界についてのあれこれ

  • Mr.black
    2017年11月14日 10:51 visibility1290

今回は私見によるものです。なので「これが正論」と主張するつもりはありません。

 

私が野球を見始めた時から40数年経っています。この間、野球界は様々に変化していきました。

近年特に思うのは「選択肢が増えてきた」ことと「野球界は大きな転換期に差し掛かっている」こと。

 

昔は高校・大学・社会人などで野球をやり、NPBから指名されればプロへ、そうでなければどこかの段階で引退するかでした。

プロへ行っても早ければ2~3年で解雇。その後はプロアマの規制によってアマ野球界に関わることが出来ないケースも多く、いわば「一部のトップ選手以外は野球を長く続けることが出来ず、選択肢も少ない」状態でした。(草野球など引退後趣味で続けるケースは除外。)

 

しかし現在は様々な道があります。

一番の特徴は独立リーグの新設。これによって従来どこかの段階でドロップアウトしたらもう野球を続けられなかったはずの選手がプレーする場を与えられました。

 

独立リーグ選手の経歴を見ると「高校中退・大学中退」や「社会人・クラブチームからの移籍」が目立ちます。昔であればもうそこで野球を辞めていた可能性が高かったでしょう。

 

そして近年私が注目しているのはBFリーグの兵庫ブルーサンダーズの動き。

以前にも書きましたが、芦屋学園との提携が大きな転機になっています。

芦屋学園の高校野球部は高野連に属していません。大学野球部も全日本大学野球連盟に非加盟。これによって他校との試合が出来ず、甲子園や神宮を目指せませんが、その代わりに「連盟の規制を受けることなく自由な活動が出来る」のです。

プロの指導が受けられ、プロとの試合に出場でき、海外遠征や海外チームとの試合も自由に出来るメリットがあるわけです。

 

この動きを察知した時、「非常に面白い」と思う反面、「でもかつて関西独立リーグは脆弱だった。発想は良いが球団がはたしてどこまで持ちこたえられるか?」という懸念も持っていました。アマ球界から反発され、締め出しや妨害を食らう可能性が高かったですからね。

しかし驚くべきことにこの球団の動きが徐々にですが一定の成功を収めつつあります。

昨年、兵庫BSの2選手(山川・向谷)が育成ながらもドラフト指名を受け、更に今回は1名(田中耀飛)が楽天から本指名を受けました。3名中2名が芦屋学園の生徒です。

この田中選手が本指名された経緯は楽天との交流戦での打撃が球団関係者の目を引いたからだそうです。彼が普通の大学選手生活を送っていたらはたしてプロの目に留まる機会があったかどうか・・・。

 

 

↑ BFリーグの兵庫ブルーサンダーズ。2年連続でNPBに選手を輩出しています。

 

 

そしてつい最近は兵庫BSと大阪の向陽台高校との提携も発表されました。この学校は早稲田大阪学園の運営する広域通信制高校です。(この学校法人は普通の全日制高校としては「早稲田摂陵高校」を運営しています。)

向陽台高校には正式な野球部が無いようで、その為高野連の規制は及びません。つまり兵庫BSの育成チームに同校の生徒が入ることに何の制約もかからないのです。

既に兵庫BSは同じ広域通信制高校「クラーク記念国際高校」とも連携しているらしく、同校の生徒が数名在籍しています。(おそらく学校の野球部には所属していないと思われます。)

 

近年この「広域通信制高校」の存在も気になっています。地球環境高校や既述のクラーク高校が甲子園に出てきています。

今秋の東京遠征で広域通信制高校である「日本ウェルネス高校」の試合を観戦したのも「今後こういった高校が躍進してくる可能性を見極めたい」という思いからでした。実際に観戦した印象では「すぐに甲子園というレベルではないが、かなり強化されているのは間違いない。スタンドの控え部員も多く、これからどう躍進していくかは注目に値する」感じでした。

 

 

↑ 近年、各都道府県で目立ってきた広域通信制高校。

写真の攻撃側が東京の「日本ウェルネス高校」。

 

 

<追記>

兵庫BSと同じBFリーグ傘下の和歌山ファイティングバーズも神村学園高等部と提携し、同校の生徒を「育成チーム」として加えることをつい最近発表しました。

この生徒達も「高野連の規制を受けない」ということなので、「学校の野球部には属していない独自の育成チームの選手」なのだと思われます。(この学校にも広域通信制校があるので、そこの生徒ではないかと。)

 

 

昨今、野球界の選択肢は多岐にわたっています。

かつては夢物語だった日本人メジャーリーガーが多数輩出されている。

アマ選手が日本のプロ野球を経由せず海外各国でプレー。逆輸入的に日本球界に戻ってくることもある。

甲子園や神宮を目指さず独立リーグでプレーし、NPBや海外を目指す。

どこかでドロップアウトした選手が既定路線と外れた野球の道を目指す。

などなど。

 

日本の野球界が各段階で輪切り状態になり、バラバラな指導形態・運営である以上、こういった動きは今後むしろ増えていくのでは?と思っています。

高校やNPBでは主体になる各新聞社の思惑・利権・利害関係がありますしね。サッカーのようなピラミッド式は不可能でしょう。

 

男子がこういう状況なので女子の方は現在元プロの選手が高校・大学・クラブチームで指導者(クラブでは選手兼コーチ)となるケースを意図して増やしています。

未発達で発展途上の女子野球の方がむしろ柔軟な動きを見せていると思っています。

 

 

ところでここに登録以降、様々に野球界についての意見・見解を書いてきました。

近鉄Buを球団合併で失って以降、「応援するチームを失った。今更NPBの他球団に乗り換えることは自分には出来ない。ならば今後は広く野球界を見つめる方向にシフトしたい」と思って駆け抜けてきました。

 

独立リーグ・社会人・大学・高校・女子・・・様々に観戦・調査・研究して「まだまだ足りないけれども昔より少しは視野が広がったかな?」と自己分析しています。

ここであれこれ書いたのは僭越ながら「世間での認知度の低い野球組織の情報を少しでも発信したい」と思ったからです。

 

長い間読んでいただきありがとうございました。

10年間走り続けてかなり疲れたのでこれでしばらく書くことを休みます。(読む方は続けるつもりですが。)

 

いつになるか分かりませんが、また復帰しました時にはよろしくお願いいたします。

 

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