蘇えった早稲田戸塚球場?(市営上田球場)
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Mr.black
2019年06月18日 11:45 visibility3401
長野県上田市と言えば真田幸村公、そして真田家の居城・上田城が有名ですね。
その上田城の一角に静かにたたずむ野球場があります。
それが「上田市営野球場」、現在の正式名は「上田城跡公園野球場」です。
上は大昔の上田城及び周辺の模型。
野球場は赤で囲んだ辺りに1928年(昭和3年)に作られたということです。
グランドは内外野とも土だけ。両翼92m、センター116mと狭く、座席は一部を除き古びたコンクリートの段差席。かつてはプロ野球も開催されたことがあるらしいのですが、現在は少年野球や草野球などでの利用に留まっている野球場です。
何故ここを訪れたのか?
答えは「野球を題材にした映画のロケが行われた地」だからです。
2008年の夏、「ラストゲーム 最後の早慶戦」という映画が公開され、その撮影時に試合会場の早稲田大学戸塚球場としてロケが行われたのがこの上田市営球場なのです。
メイキングのインタビュー映像によると監督さんの別荘が長野県内にあり、地元の知人に「戸塚球場のロケ地探しが難しくて」と語ったところ、「上田にちょうど適した球場がありますよ」と教えられて訪問。すぐに気に入ってロケ地に決定したそうです。巡り合わせの妙と言いますか、凄い偶然ですね。
私自身は戸塚球場を実際に見たことがないのですが、映画鑑賞した時に「よくぞこんな野球場が現存していたものだ。実物との違いはいくつもあるかもしれないが、納得出来る風景」と思いました。
映画で早稲田・飛田顧問(柄本明氏・演)が慶應・小泉塾長(石坂浩二氏・演)と試合直前に会う場面が撮影された建物。そして映画ではこの建物の裏側、グランド3塁側に面した場所にスコアボードと手動式サイレンが設置されていました。(後述)
実際のスコアボードは外野の左中間寄りにあります。
撮影では球場の所々が緑の膜で覆われ、CG合成も行われました。しかしCGが使われたのは主に背景の街並や照明の部分であり、グランドやスタンドなどはほとんど実写でした。それだけこの球場の風情が戸塚球場として適していたわけですね。
映画を観た直後に「上田市営球場が現存している内に是非訪れたい」と思い、それから11年も経過しましたが、ようやく実行できました。
私が「最後の早慶戦」から感じ取るのは「対戦相手への感謝や敬意」です。
平和な今日では時に対戦相手やその応援者をまるで親の仇のように野次ったり罵倒したりしますが、この試合ではお互いへの敬意や礼節が痛いほど伝わってきます。
映画では試合終了直後に早稲田が慶應の応援歌を、それに応えて慶應が早稲田の校歌を歌うシーンがあります。本当に感動的なシーンでした。
「相手がいなければ試合は出来ない。試合してくれる相手はありがたい人達。自分たちが自軍を応援するように相手だって自軍を応援する。そこに必要以上の敵意をぶつけてどうする?」、そう思うと現在の野球場で時々見聞きする相手への罵詈雑言やマナー違反の行為は本当に嫌です。応援するのはいいのですが、その点をもう一度見直して欲しいものですね。
最後に球場の再説明を。
アクセス:JR・しなの鉄道・上田電鉄の各「上田駅」から北(北西)に徒歩15~20分程度。位置は上田城の正面入り口からはほぼ反対側になります。
グランド:内外野クレー。両翼92m、センター116m。
スタンド:コンクリート段差席。収容数は公称1万人ですが、それは無理やり詰め込んでの数値だと思われます。
屋根:無し。
照明:4基あり。
スコアボード:左中間寄りにパネル式のボードあり。なお、撮影時に設置されていた3塁側後方のスコアボードは勿論ありません。
↑ 赤で囲んだ辺りに早慶戦のスコアボードと手動式サイレンが設置されていました。
↑ ちなみにこちらは「県営」の上田球場。
市営とはかなり離れた場所にあり、高校野球(硬式)やBCリーグ・信濃の試合はこちらで行われます。
上田電鉄「上田原駅」からだと結構遠いので、通常は上田駅からタクシーで行くことになります。私の訪問時で片道およそ2,000円。
今回観戦したのはBCリーグの「信濃ー石川戦」。
入場料は一般当日1,200円です。(←BCリーグは球団ごとに入場料金が異なりますので要注意。)
赤がホームチームの信濃グランセローズ、青が石川ミリオンスターズです。 結果は10-4で信濃の勝ち。
現時点で信濃は西地区の前期1位、石川は3位です。(追記:その後、信濃は前期優勝。)
なお、映画撮影当時に信濃GSに在籍していた選手が野球部員役で若干名出演していたそうです。
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