「近畿の高校野球①」を読んで

 

 

昨日も少し書かせて頂いた、ベースボールマガジン社「近畿の高校野球①」は、本当に面白い。

 

 京都・滋賀を代表する高校野球で活躍した方々のインタビューや対談が掲載されているのですが、それを読み始めると止まりません。

 川口知哉さんと炭谷銀仁朗選手の対談では龍谷大平安の練習の厳しさに改めて目を見張りました。

 「・・・山の中にある亀岡グランドの外周、だいたい750メートル20周が基本になって、そこに80メートルから100メートルの坂ダッシュ50本とかポール間20本が入って来る。走っているだけで8時半くらいになってますから」

 「(網なしグラブを使ってのボール回し)右回り50周、左回り50周をそれぞれノーエラーで行くまで終われない。エラーをしたり抜いて投げたりしたら一からやり直しなんで・・・」

 読むだけで寒気がしてくるほどすごい。僕も高校時代、運動部でしたがこんなにダッシュしたことありません。僕らは練習、甘かったな・・・これぐらいしないと全国(甲子園やインターハイ)には行けないんだな。

 

 そして、花園高校出身の伊藤智仁さんのインタビューも面白かった。

 それは、ご自身の高校生活について

 「野球とその仲間と、担任の先生ぐらいしか記憶にないです(中略)野球以外の友達がまったくいないというのは面白いですね。でも、これまでに野球の話はもうし尽くしてしまったので、今会う時は野球の話はほとんどしません・・・」

 と話しておられるところ。

 正直、僕が高校時代に眺めていた硬式野球部のクラスメートって、ほとんどの人がこのタイプでした。1日の大半を同じ野球部の人達と過ごしている。たまに同じように練習のきついラグビー部やサッカー部の人と会話するけど、僕らとは私語をしてくれない・・・。

 だから当時は近寄りがたい印象でした。でも、一緒に過ごす時間が長くて、厳しい練習を共にしていると、どうしてもそうなってしまうのだろうな・・・と今では理解できます。むしろ羨ましい。

 あと、龍谷大平安が一時低迷した原因について、あるOBの方が取材でこう話されたそうです。

 「今の平安はすごくプレーも細かくて、鍛え抜かれた野球のイメージがあるけど、僕らの時は完全に力でねじ伏せての強さ。京都中から上手いやつが集まって、根性つけて戦うのですから強いですよ。試合をやる前に半分以上は勝負がついていたでしょう。それがだんだんユニフォームだけでは勝ちきれない時代に入って行ったということでしょう」

 つまり、才能ある選手が集まっていたので、細かい野球をしなくても個々の力の結集で勝てていたものが、平安の背中を追いかけてきた他校の「細かい野球」に勝てなくなっていったのでしょう。

 また、監督が、「黄金期」と呼ばれる時代でさえ頻繁に交代を繰り返し、チームカラーとしての野球を確立・定着できなかったことも記事の中で指摘されていました。実に納得いくことです。

 この「近畿の高校野球①」は僕の中では価値ある1冊になりました。

 もうすぐ龍谷大平安と福知山成美の出場するセンバツ大会。

 京都・滋賀の高校野球の歴史に思いをはせながらTV観戦したいと思います。

 

 

 

 

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