最後の一球

 

今日、テレビを見ていると久しぶりに巨人のユニフォームを着た桑田真澄さんを見た。

 

 甲子園のヒーロー、巨人のエース、そして現役最晩年のメジャーリーグ・・・と野球とともに人生を歩んでこられ、そしてこれからも野球界でさらなる活躍をされるであろう桑田さんですが、果たしてアメリカでの現役最後の一球の感触を覚えておられるのだろうか・・・と、ふと考えた。

 

 現役最後の一球。

 

 プロ野球選手でも案外、「この一球が最後」という感慨を味わうことなく終わってしまう方が多いのではないだろうか。

 

 シーズンが終わって戦力外通告。

 

 こういうパターンなら、とても「最後の一球」の感慨にひたるなどできなかっただろう。

 

 長年チームや球界に貢献し、引退試合を開催してもらえるような名選手なら、あるいはそういう感慨を味わいながら最後のマウンドを踏んだり、最後の打席に立つことも可能なのかもしれない。

 

 落合博満さんが、以前テレビ番組で現役時代最大の思い出を問われて「現役最後の打席」と答えられ、その映像が流れたことを覚えている。

 

 落合さんはきっとそういう感慨を味わいながら現役を閉じることのできた数少ない(?)選手の一人なのかも知れない。

 

 僕が忘れられないのは自分が中学3年だった1990年10月13日の村田兆治さんの現役最終登板。

 

 もちろん関西に住む中学生の僕が村田さんの引退試合を見に行けるはずもなく、スポーツニュースで見たのだが、現役最後の登板を降雨コールドながら完封で飾られたのだ。

 

 勝利のために最高の球を投げ、そして実際に勝って引退。

 

 これは最高!

 

 しかし、インターネットを検索していると鈴木啓示さんの「最後の一球」というものが野球体育博物館に展示されていることを知った。

 

 これはまだ引退を発表する前に、最後の登板で投げた最後の球をそっとグラブに忍ばせて持ち帰られたものだそうだ。

 

 その時点では自分しか知らない引退の意思を胸に秘めながら投げた一球。

 

 こういうのもまた格別な心境だろうな、と思う。幾分ほろ苦いだろうけれど・・・。

 

 ちなみに、自分自身のレベルの低い話で恐縮の至りですが、僕は高校時代の部活、フェンシングでの最後の公式戦を勝利で飾ることができ、「最後の一突き」の感触を20年たった今でも覚えています。

 

 僕も低い次元の話ながら、幸せなアスリートだったのかも知れません[d223]

 

 

 

 

 

 

 

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