野球読書日記「佐賀北の夏」
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こじっく
2022年10月16日 18:56 visibility286
もし、外国人で「日本の高校野球の現実が知りたい」という方がおられたら、この本を翻訳して贈呈すれば「これが日本の高校野球か!よく分かった!」と大喜びされるのではないかと思います。
私もこの本で「甲子園に出る様なチームってここまで厳しい練習をするんだな」「高校野球の監督や部長って本当に激務なんだ」と改めて知りました。
また、甲子園で優勝しても全てのレギュラー選手の進路が野球部の強い有名大学や社会人野球のチームに開かれているわけではないという現実も再認識しました。そして、2007年夏の甲子園優勝の名声により有望な選手が集まる様になったはずのその後の佐賀北高校が県内で思う様に勝てない時期が続いたことも。
でも、選手達のどこにでもいるような高校生と同じ普通っぽい素顔の描写に何だかホッとさせられます。
おそらく高校野球の世界に身を置いた人なら知っているであろう奥深い話も詳しく書かれています。一つ引用してみます。
「地方と甲子園の違い―。それはよく指摘されることだが、甲子園の方が明らかにストライクゾーンが広い。 ひとつの球場で、その上、多い日は一日四試合もこなさな ければならないため、そうでもしなければ日程通りに試合を消化し切れないのだ。 甲 子園経験の豊富なあるチームは、通常のホームベースの幅はボール六個分なのだが、ボール八個分の幅を持つホームベースを特注し打撃練習を行っていた。実際のところ 両サイドに優にボール一個分ぐらい広い感覚なのだという。 馬場も、久保も、佐賀大会よりも甲子園の方が防御率はよかった。その理由のひとつを市丸はやはりこう話していた。
『甲子園はアウトローが広い。そこにきっちりと投げていれば、わかっていてもそう 簡単には打たれない。インコースに何球か見せるだけで、外だけでも充分に勝負できる』」(168~169頁)
この本を読めば高校野球をより深く、そして楽しく観ることができることは間違いありません。
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