野球読書日記「プロ野球連続写真大鑑」

  私は中学生の頃から週刊ベースボールに連載されている「連続写真によるプロのテクニック」のコーナーが大好きでした。時代を彩った数々の選手のバッティングフォーム、ピッチングフォームを30年以上楽しんできました。技術的に見るべきものがある選手だけでなく、プロで生きていくには大きな課題があるような選手も取り上げて、歯に衣着せぬ論評がプロ野球OBの解説者により加えられます。丹念に読めば中学生・高校生のプレイヤーの皆さんに大いに参考になると思います。

 この本は2014年に買いました。

 週刊ベースボールを発刊するベースボールマガジン社がプロ野球誕生80周年を記念して世に送り出した「連続写真によるプロのテクニック」の集大成と言えるのではないでしょうか。

 戦前の古い映画フィルムから起こしたと思われる「和製ベーブ・ルース」山下実選手や、スタルヒン選手の連続写真は実に貴重なものです。もちろん、長嶋茂雄さん、王貞治さん、張本勲さん、金田正一さん、野村克也さん・・・永遠に語り継がれる名選手のフォームも収録されています。取り上げられた選手で一番若かったのは1994年生まれの大谷翔平選手と藤浪晋太郎選手です。2014年当時、伸び盛りだった阪神の藤浪晋太郎選手の連続写真に添えられた解説を紹介します。

 

「リリースまではまったく問題がないん ですが、最後、腰がバタンと折れてしま い、腕が止まってしまっていますね。若 干、インステップしていることも影響し ているようです。 もっと高い角度で、う まく回していたら、リリースもさらに高 くできるし、球威も増すと思いますよ。 ただ、このフォームでもあれだけ素晴ら しい球を投げることができるんですから、 能力が高いのは確かです。 これから体が 出来上がり、シュート回転や悪い癖がな くなっていけば、まだまだスピードも上 がり、コントロールもよくなっていくでしょうね」

 

 この解説は鹿取義隆さんの筆によるものです。大きな期待が寄せられていたことが分かります。しかし現実に藤浪選手の歩んだ道は苦難の連続だったのではないでしょうか。これからの藤浪選手が活躍する舞台がどこになるにせよ、積み上げた努力の分だけ成功を掴み取って欲しいものです。

 

 

 

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