オーストリアvs日本

ヨーロッパの中堅国とアウェイで押し込みながらの引き分け、というのは
まあ悪くない。そしてそういう結果になってもちっとも驚かず、むしろ決定力不足を嘆き、PK戦に持ち込まれて負けたことを残念がる、なんてことはこの10年くらいの日本の成長を物語る一幕といえる。
先日発売のnumberで岡田が言っていたことで肯かされたのは
上に行けば行くほどさらなる成長は難しく停滞期が必ず来るもの
という意味のことを語った部分だ。
よくマラソンや駅伝で中位、下位の選手をごぼう抜きにしてゆくシーンがあるけれども上位の選手はそうはさせてくれない、それに似た所があるのかもしれない。
試合の序盤はオーストリアの前線からのプレスに苦しみ、前につなぐことが出来なかった日本だが、徐々になれていき、次第に中盤を支配するようになっていった。オーストリアは攻めに入る時点でのミスが多く、また個人技もそれほど高くはなかったのでほとんどシュートにいたるところまでいかない。日本の決定的なチャンスは
・遠藤のFKをGKがはじいたところに達也がつめてシュートするが左ポストに阻まれる。
・攻めあがっていた稲本から俊輔にスルーパス、俊輔のシュートは素直すぎ、GKに止められた。
の2回(憲剛のミドルを加えてもいいが)。決定力不足というと最後のシュートだけ、というイメージだがそれほど決定的なシーンはこのゲームでは少なかった。矢野がヘッドで落として達也がドリブルシュートをしたシーンも数えても良いかもしれないがもっと惜しいシュートチャンスを作らなければならなかった試合だったと思う。
期待の松井は人によっては期待はずれかもしれないがオシムのチームで初めてとしてはまあこんなものだろう。それでも似た選手が多い中でリズムが変わる、というのを実際に観られて良かった。どんな攻撃でも慣れられるとだめだというのは、たとえば2003年のワールドユースで日本を前半から蹂躙したオランダのチームを思い出しても良い。

以下個人採点
GK川口6 危ないシュートは打たれなかった。飛び出し、手のフィードなど良かった。
DF加地5.5 一時期よりは良くなっているか。アジアカップ時の左偏重攻撃にはならなかった。チャンスは作れなかったがセクシーさを見せた。
中澤6 前半のボール回しにもたつきが見られたが守備は闘利王とのコンビがよく片方が出たときにもう片方がカバーというのがしっかり出来ていた。
闘利王6.5 ヘディングの強さ、ロングフィードなどで活躍。
駒野5.5 攻守に良く走ったがこちらのサイドもチャンスは作れず。
啓太6 嫌なミスもあったが守備の安定感には拍手。
稲本6.5 交代前にはやや落ちていたが前回出場時より格段にコンディションが良く、奪って逆サイドに大きな展開、という彼らしいプレイが随所に見られた。
俊輔6 シュートの意識が高く、ポジショニングも面白い。
遠藤6 オーストリア相手でも落ち着いたキープでポゼッションに貢献した。PKはもしかしたら世界一うまいのかもしれない。オーストリア監督も苦笑い。
矢野5.5 ポストに入るタイミングなど合わないことが多かったが、体を張り、またチェイシングも巻よりスピードがあった。
達也5.5 惜しいシュートチャンスを逃した。ファーストタッチが乱れることが多く、不満。
松井5.5 勝負の姿勢は見せたが抜ききるまでは至らず。上にも書いたがリズムが変わるオフェンスは今後も期待。
憲剛6 素晴らしいミドルや小気味良いパス回しでらしさをみせた。
巻、今野は略。

松井、憲剛が入って確かに面白くはなったがクロスに対してペナルティボックスに侵入する選手がいないシーンが多かった。2トップのまま遠藤と松井を変えるか、遠藤をボランチに下げてそのポジションに松井、の方がこのゲームでは良かったのではないだろうか?

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