泣いた娘

『ねーねー、お父さん。結婚式のとき、お母さんにお手紙書いたんじゃろ？』
娘が聞いてきました。



昨日は朝から雨だったので、嫁さんに会社まで送迎してもらって、帰りも車で迎えにきてもらいました。

その帰りの車中でのことでした。


突然の質問に戸惑いながら、書いたよと答えました。

娘は嬉しそうに続けて聞きます。
『それって内緒だったんでしょ？』

『うん、そうそう』

僕は結婚式で、嫁さんに手紙を読みました。
嫁さんは泣いてくれて、僕はやったぜ！と満足していたら、その後すぐに嫁さんの手作りケーキが登場してサプライズ返しされました。
(僕の誕生日が近かったので、結婚式の前日に作ってくれてたんです)


でも、なんで娘が今そのことを聞いてきたのか？

いつもは娘も息子も僕の迎えについてこないのに、今日は二人とも来てる。
それも少し不思議だったんです。
しかも二人ともお父さんと座りたいー！って言うし。


お父さん大好きー！とか、かっこいいー！とか。
なんでこんなことになっとるの？


嫁さんが答えを教えてくれました。


迎えに出る前まで僕らの結婚式のビデオを見てたんだそうです。

産まれて初めて見た僕らの結婚式。

僕も嫁さんも若いし、色々サプライズしてるし、泣いてるしで。

子供たちは感激したみたいでした。


とくに娘は僕が嫁さんに読んだ手紙が感動したらしく、泣いたそうです。

内容よりも、内緒で書いてたということに感動したみたいで。

それでも泣いてることを悟られたくない娘は『なんか目が痛くなった』とか言って誤魔化してたらしいです。


僕が内緒の手紙を書いていたというのがカッコイイと受け取られ、それで、僕の株がぐーっと上がったわけです。

でも、娘に『感動して泣いたん？』と聞いても『違う』

『じゃあ、お母さんが泣いたけぇもらい泣きしたん？』と聞いても『違う』

そこから答えは『泣いてない』
これの一点張り。


難しいお年頃です。

僕も小さい頃は泣くのが恥ずかしいし、友達から馬鹿にされるし、感動しても泣かないように、悟られないようにしてたなぁと思い出しました。

娘もそういう気持ちなんでしょう。

それでも、嫁さんは娘の泣いてる姿を見たと、堪えながら涙してたのを見たと言ってました。


娘が感動して涙するなんて、今まで無かったので、人の気持ちがわかる、いい成長の仕方をしていってると感じられて嬉しかったです。



さて、おそらく今日にはその魔法もとけて、僕の株が平常値に戻ってると思います。

でも、親のそういう部分を見て、カッコイイと言ってくれる子供たち。
ありがたいことです。

いつかはそんなのだっせぇとかキモいとか言うようになるでしょうけどね。

それまではこういうことで、見直してもらうのも悪くないです。



だっせぇとかキモいとか言うようになったときは、こう言ってやりますけどね。

『君らも同じようなことするようになるの！』