60年以上前のグラブ R.KMizuno その1
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虎男
2017年05月16日 11:20 visibility297
草野球、もしくは学校での部活の野球をされている皆さんにとって自分のグラブってこだわりがあるんでしょうね。しかし、そのグラブの基礎を作って来た昔のグラブ達には全く興味を示さない人たちも山ほどいます。なぜでしょう?それは進化をしたグラブが最高であり、自分のパフォーマンスを申し分なく発揮できる相棒であると信じいるからでしょう。それは、それで全く問題がありません。なぜなら、進化を遂げたグラブは捕球をする上で、多くのアドバイザリースタッフの試合や練習での検証が反映され、それを現在の科学技術の粋を使って良い部分を吸い上げて作られていること。さらに、グラブメーカーが群雄割拠する現在、どのメーカーもご安泰ではありません。いかに良い製品を作って世の中に提供していかないと、あっという間にその会社自体が廃れてしまい、競争の中でとりのこされてしまうと言う事でしょう。そこで、超大メーカーにまでのし上がったミズノ社のグラブは、なぜ大きく取り上げられ、そして野球界で名声を残せる企業となったのでしょうか?これを知るためには、古いミズノのグラブを買い、そして実際にゴロやフライを捕球してみること以外に今現在できることはないと私は考えました。
これが「R.KMizuno World league M5000」と言うグラブです。私が生まれる前のグラブですので60年は軽く超えています。さすがに革もしっかりしていますし、ウエッブにひびなどは入ってません。難点と言えば左の小指の一番下のハトメが飛び出てしまっていることでしょうか。ヘリ革はかなりダメージがあります。そしてラベルは、この頃一枚の布で作られてミズノのトロフィーマークが刺繍されていたものだと想像されます。写真で見ると分かりますが、4本指の通しの紐がエックス掛けになっていません。一本通しになっているのが特徴です。この頃のグラブは全て一本通しだったようです。ただこのグラブの特徴として一本通しの紐なのですが、指と指の間のところで紐をクロスして強度を出しているところ。これは、ミズノの本社にその意味を聞いてみなければわからないでしょう。
背の方はこうなります。今のグラブはハミダシの大半が「キリハミ」なんですが昔のグラブの主流は「タマハミ」だったようです。このグラブもタマハミになっていて、時代を今に伝えています。さらに、おもしろいのはグラブの左下の部分で紐でラベル部分のところと本体を結合しているのですが、このころはこんな結び方をしていたのか、購入された以前の所有者がわざとやったのかはしりませんが、こんな感じで結合されています。
ウエッブはこのような1ピースウエッブで、おそらくこれが主流でこれ以外の選択肢は当時無かったのでしょう。さらにつけくわえると、グラブに守備位置専門性など無く、皆市販のものを買っていた時代ですから、今のように素人がオーダーをするなんてのは皆無だったに違いありません。
さて、少し使ってみました。まったく使用に問題が無いです。むしろ、現代のミットやグラブで形の酷い物がありますが、あんなのと比べたら、この60年以上経過しているグラブで草野球の試合に出た方がずーっとましなプレーができるはずです。この頃のグラブは革のなめしが、おそらくですが「タンニンなめし」で植物性の油を用いてなめしていたのでしょう。匂いが化学的な薬のようなにおいがしません。ただ、軽量化と言う意味では、現代のグラブに軍配があがるのは無理もないところでしょうね。
このグラブを手にしてキャッチボールをすると、昔の人たちのキャッチボールに興じていた姿が想像できます。そして、進化をする前のグラブで野球をしていた頃に想いがはせます。さらに、ミズノが今の隆盛を築けたことのヒント、なぜ、これだけのグラブを作れたのか。そして現在でもグラブはミズノだと言う人たちが山ほどいる事実。この辺を少し、グラブを使用して体感することでわかるような気がするのは、野球バカにとっては至福の時間であるわけです。次回も古いグラブの紹介をしていきたいと思います。
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