理想を実現するには実力と愛情と覚悟がいる。

  • 虎男
    2017年09月08日 09:53 visibility247

うちのチームを作って13年目のシーズンが過ぎようとしている。今が一番順調に言っていると言えるかもしれない。過去に大勢のメンバーが入り、そして退部をしていった。中には仕事の異動転勤のために辞めたくなくても、そうせざるを得なかったメンバーもいる。そして、急性の病気で他界した者もいる。他の理由で退部をして行った人間たちにはたくさんの違った理由があったと思っていたが、ふと頭に浮かんだ「共通点」があった。それは「野球をやりたい」と言う希望以外に、自分たちの理想がその横にあり、それが野球をやっている時は良いがふとした時にそれが出てくることがあるのだろう。私はそれを「心の中に持っている自分の理想」で自分が野球をやっている時に「ああ、この一緒のメンバーともし、これだったら最高なのになぁ。」と言う「動かしがたい理想」であって、それを実現するには自らがチームのすべての仕事を献身的にやり、自分で運営して行かなければならないと言う覚悟ができない人間の「こういうチームだったらなぁ」と言う考えだ。

 

世間では、これを「たられば」と言う。私は、チームに入るに際して、一番気にしたのはチームの年齢構成だ。年を取ってくれば、若い人間たちは「なんだよ。こんど入ってくるのはおっさんじゃん。使い物になるのかよ。動きが鈍かったら、嫌だよな。後から入ってきて偉そうなこと言われたらたまんねえよな。」と思う若者たちだっているはずだ。メンバーの年代をチームコンセプトにして作ったチームが私のチームで、当初は「35歳以上、45歳以下」と言うことにしてスタートをした。理由は、その年齢の人間たちがチームとして野球はもちろん、会話も同年代と言う事で楽しくしてもらえるような配慮を感じてもらいたくて作ったのが理由だ。

 

辞めて行ったメンバー達には表面的な部分でのこだわりが強いのが印象に残っている。やれユニフォームが嫌だとか、背番号に対してのこと、セカンドユニフォームを作りたい、中には練習にロッテの帽子を被って来る者もいた。大人の野球チームなのに、チームを愛せない理由の中に「自分の心の中の理想」が常にあるのは、その者たちが「チームの運営をすることの大変さ」を身をもって知らないからである。その大変さを表面でしか見ていないから、自分がチームに入部して数年たって慣れてくると「チームの運営なんか、俺でもできそうだ。結構楽そうだよな。」と思っているのは間違いない。

 

私が、自分でチームを作ったのは自分の中で「こういうチームを作る」と言う理想を現実化しただけであって、誰かに手伝ってくれなんて言ったことも無い。それと、自分が運営するのだから、責任は全て自分にある。だが、その責任の具現化がチームユニフォームであり、チーム名であるわけで、それらにこだわりが無ければ「チームなんか作る必要などない」と思っている。

 

個人の不満は他人が変えられない。そして、入部を考えた時に素直に「わかりました。このチームが気に入りましたので、是非入れてください」と言う人が今までの13年間の経験で「チームに長くいられる人間」であることは間違いない。違和感を持ったまま「仕方がねえな。このチームしか俺の年齢で野球やれるところはねえから理想とは違うけど妥協するしかない。」と言う人は、どこまで行ってもその考えは変わらないだろう。常に「妥協している」と言う気持ちが頭の中にあり、不満は消えて行かない。なかなか結婚ができない人の考え方と似ている。理想が頭の中にこびりついていて、その狭いストライクゾーンにかすりもしない人間に対してはどんどん排除していくと、それが癖になってしまうことに気が付かない。本来の「野球をするためにチームに入る」と言う基本が無いのと同じだ。「あのチームのあそこが嫌、あのチームのあそこも嫌」と言う「ないないねだり」を延々と続けていることに気が付かなくなってくる。自分の中に理想があるのなら、自分で作れば良いと言うのが、私の考え方だ。ただ入部前に私のチームの説明を聞いて「違和感」があるのであれば、そういう方に対して無理に入部してくださいとは言わない。野球は心のスポーツであり、社会人の選択は自由であるべきだからだ。その自分の理想を折ってまで、野球がやりたいのであれば「そういう自分の理想」は口にするべきではない。それを口に出しても「ひとりでも人数が多い方がチームの試合の時に困らない」と言う理由で「不満や違和感を持感じる人」に「それでも良いから是非入ってください」って私は、そんな詐欺師のようなことは言えない。

 

私はチームメンバーに「野球をする環境を提供する」ことを念頭において運営をしている。そして、チームに愛情を注いでいると思っている。でなければ、雨風の強い日も雪が降った日にも、朝5時起きしてグラウンド確保の日に並びに行くことを継続的にしないだろう。私は数年にわたって、この作業をしてきた。私自身も野球がやりたいからという大前提はあったが、それだけで朝5時にでかけていけない。しかも、出勤日の時もだ。それだけ私にとって野球は自分の気持ちを楽しませてくれるものであり、その野球を一緒にやってくれるメンバーに対しての感謝を表すのはチームの仕事を一生懸命やることだと思って、この13年間の運営をやってきているわけで、私がいつも思うのは「野球がやれる幸せ」を一緒に感じようと言う気持ちが無いと、続かないよってことだ。野球は道具にお金がかかる。それでも、それらを揃えるためにお金を出すのは野球がやりたくてたまらないからだと私は思っている。私はお金持ちじゃあない。野球の道具の値段の高さは身に染みてわかっている。だからこそ、野球をやるために、それらの道具を揃えてくれたメンバー達に感謝をしていく気持ちを持つ事。この気持ち自体が継続運営につながって行くと思っている。私はこんな人間である。

 

 

 

 

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