第4回:『守備の』個人戦術
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とめさん
2020年04月29日 15:20 visibility328
こわにちは。外出自粛、頑張りましょう!
少しでも、暇潰しになれば幸いです。
今回は、前回の『個人戦術』を少し細分化して『守備の』個人戦術についてお話ししたいと思います。
その前に前回のおさらいです。
攻撃でも守備でも、個人戦術に共通する内容として、①状況把握、②予測、③決断がありました。これは①見る力、②考える力、③判断する力と表現しました。
この事をもとに、これからお話しする守備の個人戦術を眺めていただけると助かります。
それでは、毎度のホワイトボードです。
1.マークの3原則
これは、ポジショニングに関わる基本です。
3つの内容は、上のホワイトボードを参照いただくとして、この内容を下のホワイトボードで
説明します。
①ゴールの中心とマーク相手を結ぶ線上にポジションをとる
上のホワイトボードに書いてある『赤の破線』がその線です。このようにゴールの中心とマーク相手を結ぶ線上にポジションをとると、自然とゴールとマーク相手の間にポジションをとることになります。
こうする事により、シュート、ゴール前へのパスなどを防げます。ですから、『常に自陣ゴールを意識したポジショニング』を行う必要があります。
②マーク相手とボールを同一視野に入れられる体の向きをとる
『体の向き』とは『ボディーシェイプ』と言われます。ここでは、ボールとマーク相手を見失わないための体の向きが大切です。
上のホワイトボードに書いたように、例えば、B1の相手がB2にパスをもらうためにポジションを変えたら、守備側も同じようにB1からB2へポジションを変える必要があります(この時ゴールの中心とマーク相手を結ぶ線上)。
そうすると、ボールとマーク相手の位置関係により体の向きも少しずつ変えなければいけません。そうしないとどちらかを見失ってしまいます。多いのが、ボールだけに気を取られてマーク相手を見失う『ボールウォッチャー』です。
③マーク相手にボールが渡る瞬間インターセプトできる間合いをとる
『間合い』というのは、ここではマーク相手との距離をいいます。
この間合いは、ボールの位置によって変わってきます。ボールが近くにある場合は間合いを『つめる』、ボールが遠くにある場合は間合いを『あける』事が基本です。これは守備のグループ戦術における『チャレンジ&カバー』に関係してきます。
上のホワイトボードのC1、D1の選手はボールが遠くにあるので、マーク相手と間合いを『あけて』カバーリングの意識を持っています。
しかし、パスによりマーク相手にボールが近づくにつれ、C1→C2あるいは、D1→D2→D3とマーク相手との間合いを『つめて』マーク相手にボールが渡る瞬間インターセプトできる準備をします。
また、ボールがマーク相手から離れれば間合いを『あけて』カバーリングの意識を持ちます。この時も、ボールとマーク相手を見失わない体の向きを作りましょう。
以上のマークの3原則は、いわゆるオフ・ザ・ボールの時の守備の個人戦術です。
次に、オン・ザ・ボールの時の守備の個人戦術についてお話しします。
オン・ザ・ボール時の守備の個人戦術としては、『ボール奪取の優先度』とここでは表現させてもらいます。
マークの3原則にもあるように、ボールを奪うためにまず考える、チャレンジするのは『インターセプト』です。しかしこのインターセプトは非常に難易度が高く、試合中でもなかなかチャレンジする事はできませんが、だからと言って諦めてはいけません。常にこのインターセプトを狙う事が大切で、成功すると相手選手を一気に何人も置き去りにして攻撃に転じることができます。
インターセプトができなかった場合、次に行うプレーは『マーク相手に前を振り向かせない』事です。
このプレーができるのは、インターセプトを狙ってしっかりと間合いをつめられているからです。ですから、難しくてもインターセプトを狙っておく必要があるわけです。
但し、あまり勢いよくマーク相手に寄せていくとトラップや攻撃のグループ戦術であるワンツーなどで簡単に抜かれてしまうので注意が必要です。
マーク相手に簡単に前を振り向かせないためには、上のホワイトボード、①素早くよせる、②マーク相手の1タッチ目直前でストップ、③マーク相手の1タッチ目のボールの動きに合わせてもう一度よせる、といった具合に2段階でしっかりよせた方がいいでしょう。
次に、どうしてもマーク相手に前を振り向かれた時は『ワンサイドカット』をしてマーク相手のプレーできる方向を限定します。
このワンサイドカットは、守備のグループ戦術の『数的有利』を作り出すためのプレーです。ですから、どの方向をワンサイドカットするかは、どうすれば数的有利な状況にできるかを考えなければいけません。そのために、状況把握、予測が必要で、更には周りの選手の『中を切れ!』『縦を切れ』といった指示の声『コーチング』も大切になります。
このように、オン・ザ・ボール時の守備の個人戦術は、基本的なグループ戦術と密接に関係してきます。なので、このボール奪取の優先度をプレーで実践するためには、オフ・ザ・ボール時の状況把握、予測、決断、並びにマークの3原則をしっかり行った上で、積極的にまずインターセプトを狙う、または味方がインターセプトしやすい状況を作る事を心がけなければいけません。
もっと深く掘り下げるときりがありませんので、ここでは基本的な部分の守備の個人戦術のみお話ししました。
これが、しっかり理解できれば、色々なグループ戦術、チーム戦術も理解しやすくなるはずです。
どんなスポーツでも『地味な守備』よりも『派手な攻撃』にスポットライトが当たりますが、チームの土台は『地味な守備』が鍵を握ります。そのため、そのベースとなる守備の個人戦術がいかに大切か分かっていただけると幸いです。
- 事務局に通報しました。
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