伊原監督事実上の解任。選手たちの表情は?

就任1年目での途中解任はないと思っていたので

「早かったな」というのが正直な感想。

12球団ワーストの勝率で開幕からぶっちぎりの最下位を独走しているわけだから当然と言えば当然だが、

期間限定とはいえ、渡辺監督時代も最下位だったこともあったが

「解任」なんて話にはならなかったのに・・・。

 

それだけ歴史的な負けっぷり、ということでもあるが、

今年は親会社再上場の記念の年だし、

何より観客動員の苦戦と言う点が、フロントが解任に動いた最大の理由だと思う。

渡辺監督が優勝できないにも関わらず長期政権となったのはその逆で、

観客動員が好調だったからだろう。

就任前の2007年107万人(12位)→最終年の2013年160万人(6位)という結果に関しては

渡辺監督一人の力ではもちろんないが、フロントは高く評価していたと思う。

 

今年はここまでホーム25試合で51万人。

1試合あたり2万人強でオリックスと広島に抜かれ8位の数字である。

オリ、広島と好調な2チームに抜かれているわけだから、

「勝てないチーム」を作った伊原の責任論は浮上して当然だろう。

 

一般論はさておき、昨日はたまたまネット裏で見ていたので、ビクトリーロードで見た

選手の表情をご紹介します。

 

例によって9回表2アウトでライオンズファンはビクトリーロードに陣取る。

私はロイヤルシートすぐ後ろのベスポジをキープでき、

試合終了後、選手が出てくるのを待っていました。

 

ふだんよりひときわ選手の登場が遅く、ヒーローインタビューも始まらない。

警備のお兄さんと「またなんか余計なことをベンチ裏で話してんじゃないの?」

「まさかの全員裏からの退場だったり?」と軽口を叩いていたところ

ようやくブルペン陣が!

 

ランディーとボウデンは満面の笑み!

この人たち、こんなに笑うんだー、と私もうれしくなってしまいました。

 

日本人投手たちは特に表情に見てとれるものはなかったけれど、

トモミーは穏やかな表情で一人ひとりに丁寧にタッチをしていたのが印象的。

岡本洋介だけは表情が固かったように思うが、その辺の記憶はちょっとあいまいです。

 

そして野手。

一番印象深いのは秋山君。晴れやかな笑顔で元気ハツラツ。

階段を駆け上がってきて、軽やかにファンにタッチ!

クリも満面の笑み。ホームでなかなか勝てないので、今日は上機嫌なのだろう。

ひちょり、脇谷、直人さんらに続いて銀ちゃんも一人ひとりに丁寧にタッチをして階段を上がっていきました。

 

そしてヒーローインタビュー組。

久しぶりの勝利がうれしかったのでしょう。マッキーも笑顔。

キムは若干表情が固かったかな。二人とも丁寧に皆にタッチをして去っていきました。

 

伊原監督の実質解任のニュースを私が知ったのはそのあとになります。

先に知っていたら、もっと選手一人ひとりを細かく観察したのに・・・。

 

私の印象がすべてではないけれど、

外国人リリーフ2名と秋山君、クリ、マッキーは非常にすっきりした笑顔だったし、

この結果を歓迎しているように見えました。

まあ、単純にホームでの勝利を喜んでいるだけかもしれない、

ファンの前では笑顔でいよう、と思っているだけかもしれないけれどね。

 

ただ、私がこの5人の立場だったら、伊原解任は喜ばしいと感じたかもね。

ランディー、ボウデンは明らかに起用がおかしいので・・・。

監督が代わって起用法も代われば、もっと力を発揮できるかもしれないと期待をしています。

 

ライオンズ戦を中心に解説している解説者のほぼ全員が口をそろえていうように

とにかくリリーフ陣の使い方がおかしいよ。

個々の投手の役割をきちんときめず、「連投禁止・リリーフローテ制」とか

意味不明のことをやったおかげで、5月に入って皆調子を落としてしまった。

 

試合で投げなくても、いつ出番が来るかわからず、毎日ブルペンで肩を作ったら疲労も貯まる。

それより、役割分担を明確化し、

それに合わせて肩を作った方が精神的にも肉体的にも疲労は少ないはず。

 

連投禁止も当たり前だが結果的に徹底できず、豊田は毎日投げたりしていた。

ワンポイントも回またぎもやらないといいながら、いつの間にか解禁し、しかも失敗するし。

 

できないことを自信まんまんでぶち上げるから、外れた時の反発が強い。

大げさな伊原発言はリップサービスも含んでいたのもしれないが、ファンも選手も今はまじめな人が多い。

大口を叩けば反発を買うし、結果が出なければ反動も大きいものとなる。

 

さて、改めて昨日で終了した2014年の伊原野球を振りかえってみましょう。

 

とにかく、伊原は個々の選手の能力やタイプを軽視していた印象が強い。

リリーフローテ制なんてどこのチームもやっていない。

なぜなら個々の投手に力量の差があるからだ。

当たり前のことだ。

 

野手についてもそう。

スコアリングポジションに進めれば、得点効率が上がると信じて疑わず、

判で押したようにバント。

アウトカウントが増えるリスク、バントを命じられた選手がヒットを打つ確率、

その後に打席に入る選手がヒットを打つ確率。

トータルでの計算ができないから、1点差で負けまくる。

 

2011年から2012年にかけての加藤球の時代であれば、

もしかしたら、伊原の「1点しか取りに行かない野球」もはまったかもしれない。

現にライオンズも2011年は1番のクリを2番原が送るというバント野球で浮上をしてきた。

 

しかし、今は2014年だ。

昨年から明らかに球が飛ぶようになったわけだし、ましてや本拠地は高PFの西武ドーム。

小技で1点を取ったとしても、対戦相手の長打で一気に逆転される。

ピッチャーが打たれるのは、本拠地特性上、ある程度仕方がない。

逆に「打ち勝つ」野球をやって行かねば西武の浮上はないにも関わらず、

自らビッグイニングを作る可能性を捨てては勝てるはずがない。

ビジターに比べてホームの勝率が著しく悪い原因はここにある。

 

上記のリリーフローテ制も含めて、伊原は他の人がやっていない独自のことをやろうとしすぎていた。

結果が出れば「さすが知将・伊原監督」と言われるだろうし、そういう自分を妄想していたかもしれない。

 

しかし、選手個々の能力やタイプを把握せず、全員を駒として扱っては結果が出るはずがない。

 

伊原にとってピッチャーは「球が速い人」と「そうでない人」の2種類しかおらず、

野手は「足が速い人」と「そうでない人」の2種類しかいなかった。

これに加えて「左右」が判断基準。

 

「長打が打てる人」は過去のカブレラや山崎との確執、開幕前のおかわり君糾弾発言などからわかるように

「認めたくない」のかもしれないが、どうみても2002年の優勝はカブレラの力が大きかったから

「認めざるを得ない」程度には考えているように思う。

 

「球が速い人」が優先的に先発やクローザーに回され、そうでない人は「使えない」とされる。

野上のように多少の実績があればまだしも、

全くないレイノルズが一番の被害者となってしまった。

 

巨人戦のリリーフの起用が伊原野球のいい例だ。

9回の巨人打線は「右」バッターが多かったから「右」投手の増田を起用した。

それだけだろう。増田が故障明けとか、トモミーの方が9回の経験があるとかいうことは関係ない。

なぜなら、伊原は左右と球速でしか判断しないから。

 

金子や斉藤、熊代、木村、ひちょりと伊原のお気に入りは皆足が速い。

脇谷も遅い方ではないだろう。

足が速い選手は一般的に守備範囲も広いから結果的に守備も固くなることもある。

伊原が守備を重視する監督に見えていたのはそのためかもしれない。

 

伊原野球の価値観において「金子より足が遅い」という理由で鬼ちゃんが開幕スタメンを外れ

永江の優先順位も下がってしまったように思う。

クリも数々のエンドラン失敗により「足が遅い」レッテルを貼られ、代走を送られるようになった。

 

伊原の「球速い」「足速い」「左右」至上主義はあながち間違いではない。

ただ、その他のことをほとんど考慮しないから選手の起用や作戦がおかしくなる。

雄星や野上とレイノルズにどれほどの違いがあるというのだ?

実績と球速だけで判断しているだけではないか?

脇谷5番も単純に「脇谷は左だから」という理由にすぎない。

金子や永江を5番にしなかっただけマシなのかもしれないが・・・。

 

ピッチャーの伊原采配の被害者が外国人3人と

球が速いという理由だけでクローザーに指名された十亀だとしたら

野手の被害者筆頭は金子だろう。それもこれも足が速いことが逆に災いした。

 

昨年の開幕時は目を見張る活躍だった金子だが、疲労でじょじょにパフォーマンスが落ち、

ファームも経験した。

しかし、終盤はサヨナラ打を打つなどの貢献もあったし、

まがりなりにも1年間プロでやったという実績は自信につながったはずだ。

今年は飛躍の年になるはずだった。

 

しかし、伊原からの左専念の指示がすべてを壊す。

左ピッチャーが全く打てなくなってしまった。

そりゃそうだろう。元は右打者なんだから。

生まれて初めて左打席で左投手に対峙しているというのに

たったの数カ月でプロの球を打てるようになるはずがない。

 

そんな当たり前のことが、なぜ伊原は理解できないのか、逆にそれが私にはわからない。

 

結局は打撃軽視なのだろう。

というか、野手の能力の中で足以外すべて軽視しているんだろうけれど・・・。

外野手の肩は多少考慮しているかもしれない程度で。

 

なんというか伊原はプロの1軍にいる選手は技術的にMAXの状態で、

練習等によって今より技術が向上することはないと思っていたように思える。

だから判断基準が足速い、球速い、長打打てる、左右といった

身体能力に近い部分のみになってしまったのではないだろうか。

 

キャンプの序盤もランニングのみの自主トレの延長のような内容で、体力作りを重視したようだが、

練習による技術的な向上は必要ない、もしくはできないと思っているのであれば、

その判断もわからないでもない。

 

キャンプで消耗することでシーズンの終盤に息切れしては意味がないという考え方だったのだろう。

実際中日や巨人のような平均年齢の高いチームの1軍ならそういう考えもあるかもしれない。

今更阿部や和田さんのバッティング技術が大きく向上するとは思えないので、

最低限の連係の確認さえできれば、

1年間ベストなパフォーマンスを出せるような調整メインのキャンプで十分だろう。

 

しかし、ライオンズは実績のある選手が少ないチームである。

木村は野手転向2年目、金子は生まれて初めて左ピッチャーに左打席で対峙せねばならない。

レギュラー組もあさむは昨年キャリアハイの成績を残したとはいえまだ23歳だし、

セカンドにコンバートされたばかり

秋山君は25歳の4年目、新人で1軍キャンプに抜擢された山川や岡田にとっても未知の世界である。

 

クリやおかわり君、岸君、牧田あたりは故障や体力消耗のリスクの方が大きいので、

調整メインのキャンプで良かったかもしれないが、

皮肉にもランニング中心のキャンプはオカワリ君と山川という重量選手の肉体を破壊してしまった。

 

伊原キャンプの失敗の原因は練習時間の短さばかりが上げられるが、その内容の方が問題だろう。

 

伊原の全盛期は「野球は下半身」という考え方が主流だったが、

今はほとんどの選手がウエイトトレを導入し、上半身を大きくしている。

大きくなった上半身を持つ選手たちに長時間のランニングを強いては、

特に重量選手がヒザを痛めたりオカワリ君のように「全身のハリ」などの結果を招くことになりかねない。

 

そもそもランニングをメインとした身体作りは自主トレで十分。

わざわざ「キャンプ」をやるからには

全員が集まってしかできない実戦形式の練習を中心に行うべきだっただろう。

そこで課題もみつかっただろうし、それを克服することで技術の向上を図ることもできる。

 

伊原の考える「長時間キャンプ=体力消耗、ケガのリスク、シーズン終盤息切れにつながる」

というのは広島型の「猛特訓」系を思い浮かべていたのではないか。

今年あたりは広島もキャンプでの練習時間を短くしたと聞くが、

嶋さんの話によると嶋さんの時代の広島は匍匐前進とかやっていたそうだ。

そりゃ匍匐前進よりはランニングの方が合理的かもしれない。

 

ランサムも「はずれ外人」のレッテルを貼られているが、

実戦形式の練習をもっとおこなっていれば

ランサムのタイプや欠点ももっと早くつかめていただろうし、早い段階で修正もできたかもしれない。

 

そもそもランサムは伊原が「サードの守備ができる人」を所望した結果獲得した外国人。

日本に守備がうまくてバッティングも優れたメジャーリーガーが来るはずもない。

思ったより守備はうまくなかったが、日本野球というか、チームにもっと適合できれば、

ランサムも戦力になったのではないか、と思わないでもなく、現状は本当に残念だ。

 

伊原の最大の勘違いは今の西武の置かれた状況がわかっていないことだろう。

貧乏なチームは選手を条件で引き留めることができない。

選手におもねろとは言わないが、外国人選手やFA選手が逃げ出したくなるような言動は避けるべきであった。

ランサムもレイノルズもボウデンも「使えないから使わない」ではなく、

戦力にする方法はないか考えねばならない。

 

ともあれ、伊原は退任することになった。

 

一つの結果が出たわけだから選手たちも心機一転、頑張って欲しい。

優勝どころか、借金を返すことすら現実的ではないが、少しでも上を目指して、

ファンにはつらつとした姿をみせて欲しい。

日々深くなるクリの眉間シワは見ている方が辛かった。

 

ここまでチームがバラバラになってしまったわけだから、大きな期待はできないが、

田辺は10年以上ライオンズのコーチをやっている。

選手のことも間違いなく把握しているし、伊原キャンプにも反対をしていたと聞く。

金子が右打席も練習していたのを黙認していたようだし、

広島戦で金子の右打席を解禁し、スタメンに抜擢したのも田辺だろう。

まあ、そういう話が表に出てくる時点で、伊原西武は長くはないな、と思ってはいたが・・・。

 

いずれにしろ、伊原よりは普通の野球をやって、選手ともうまくやっていくと信じている。

 

田辺は5番脇谷を容認していたバッテティングコーチでもあるというのが不安ではあるが、

伊原が休養するのであれば、長くチームを見てきた田辺が一番だろう。

奈良原でもいいか、と思ったが、

一番長いということと選手と年齢が近いということが決定理由かな、と思ったりもする。

 

できうることなら杉本に再度継投を仕切ってほしいし、光山に作戦コーチをやってもらいたいし、

デーブは無理だから、熊沢に帰って来てもらって配球分析をお願いしたいが、

まあ、今年はどれも無理だわな。

 

社長人脈の袴田が昇格したのが、新たな火種にならねばよいけれど・・・。

 

こんなに早く伊原が辞めるのであれば、ヤスもワクも残っても良かったかもね・・・。

でもそんなことは予想つかないし。

 

ワクはまだしも、昨日のヒステリー采配を見るに原監督も大概だと思う。

お金持ちのチームに移籍したヤスは勝ち組だと思っていたけれど、

人生どうなるかわからんね。

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