和田のリベンジ

Hawks 6 - 0 (ORIX)Buffaloes

王貞治が離脱する前日、Lions相手に5回を6失点、不甲斐ないピッチングを見せた和田の先発。

「ベンチにいなくても、常に監督に見られている気持ちで投げました。」

帽子のひさしに書き込んだ「“信頼”89　自分がやらねば誰がやる!!」。
まるでキャシャーンのような境地でクールな男が燃えた。1回以外は2塁すら踏ませない、122球、意地の無四球完封劇。

「監督と一緒に戦っている。これからも甘えを捨てて、監督が帰ってくる時には強くなった自分を見せたい。」

若鷹、城所が好走塁を魅せ、山崎にもタイムリー。大村は猛打賞3打点。
“攻めダルマ”王貞治の離脱で、今季鳴りを潜めていたHawksの攻撃的野球が形になる。このチームの一体感が素晴らしい。

王貞治の早期復帰を期待する声が聞こえてくるなかで、松中信彦がいう。
「周りは簡単に言うけど、大変なことは自分が一番知っている。退院してからも食事制限があるし、単身はつらい。無理して早く帰って来るよりも、命の方が大事。その分、今まで以上に自分がチームを引っ張る。」

43歳まで現役を続けろ。王監督のメッセージをそのまま王監督へ返す信彦。
「あと10年。それまでは監督にも（一緒に）やってもらわないと。だから今はゆっくり治療に専念してほしい。」

こんなチーム、他にあるだろうか？
王貞治という稀代の野球好きにして、自らを「技術屋」と呼ぶ探求者が、丹念に磨き込んだ珠玉のチーム。
これをリアルタイムで体験しているのは、ひょっとすると、もの凄いことなのではないだろうか。