情熱の行方

昔プロとして食っていこうと思っていた時期があった。
もちろんサッカーの話ではない。音楽の話。
ずいぶんと若い頃だ。

割と人間はその世界を自分で狭くして、そこの王様になるようなことをする。自分もそうだった。
大した腕もないくせに、認められてもいないのに、
酒を飲んでは「ロックとは」なんて人に説教したりして。


そんな頃、よく屋外で演奏している連中を目にした。
そんな連中を批判していたのを思い出す。


練習が足りないのに人前に出てる
基本がなってない
そもそも楽器のチューニングが悪い
なりが汚い
プロを目指す俺はこんな環境下では絶対演奏しない
情熱一本槍じゃだめ。技術だよ
などなど。言いたい放題だった。

やがて、プロを夢見た頃はとうに過ぎた。
そして街角からプロへ羽ばたいた連中の成功も目撃した。
もういまや音楽もあまり聞かない。

昔の俺って一体どんだけ生意気。。。

なんでそんなことを思い出したのかというと、
最近、ボールを追う自分が屋外で演奏していた連中みたいに思えるからだ。

人に認められたいだとか、それで食べていきたいわけではない。
ただ、そうしている時が少し気分がいいだけなのだ。
だから放っといてほしい。

無数にいたストリートミュージシャンたちの心境もそんなものかもしれない。

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