2006/9/24 イースタンリーグ 桑田最終登板

  • DIME
    2006年09月24日 22:41 visibility187

 

技術的な話や投球内容などは観戦記に書いています。そういうのが読みたい方はそちらをどうぞ。

こっちは単なる感想です。ただ思ったことを書き連ねているだけなので、適当に読み飛ばしてくれてもかまいません。

 

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結局前の晩はまんじりともせず日も昇ってからさすがに少し寝ないと体力が持たないと無理矢理2時間ほど眠り、10時には球場につけるように家をでる。


ところが駅に付いたとたん、直前の電車で事故。復旧の見通しはたたないとのこと。しょうがないのでタクシーで京王線まで出て調布から向かおうと思ったら渋滞・・・分倍河原についたらちょうど南武線が復旧していて、最終手段を選ぶことにしてそっちに飛び乗る。

矢野口駅で降りて、ホームを降りながらタクシー会社に電話して1台回してもらう。矢野口からよみうりランドまでは直線距離にすれば非常に近く、南武線稲田堤→京王稲田堤→京王よみうり→タクシーに比べても相当早い上に、タクシー料金はあまり差がない。そもそもタクシーで乗り付けるなんて年に何度も無い最終手段だが今日発動しなきゃいつ発動する、既に一度タクシーに乗っている事実はあえて無視する。

 

ついたのが10時半頃、既に開場している球場はバックネット裏のいい席は完全に満席状態。通常なら1席置いて座る余裕もあるが今日に限ればそんなものはまったくなし。

そしてそこに見えるは18番のユニフォームの群れ。ほんとに老若男女入り乱れていて、桑田のファンってこんなに多いのだなぁと思い知る。

なんとかバックネット裏近くで球種はわかりそうなところに落ち着く。それにしても暑い、夏休みの頃の試合とまったく変わらないほどの陽気の上にこの人、日陰が極端に少ないジャイアンツ球場はこんなときほんとにつらい。

 

何とか時間をつぶして試合直前、ブルペンからベンチに来る桑田に向かって球場中から拍手が巻き起こる、私も含めて半分ぐらいは既にスタンディングオベーション。

プレイボールがかかって最初の打席、ボールが2つ続いた後に3球目のファーストストライクでまた球場全体から拍手。巨人の試合で1球のストライクにこれだけの観客が集中しているのを見るのはほんとに久しぶり、先日の大入りの札幌ドームに勝るとも劣らない。巨人ファンだってこんなことができるんだなぁと少し感慨深い。


その第一打席は叩きつけてピッチャーの頭上を越えるあたり、桑田は反応良くジャンプしてグラブに触るものの取れず、バックアップしたもののセーフ。球場全体からため息が漏れ、近くからは「桑田もフィールディングまで衰えたのか」と声があがる。でも4回表には同じような打球を今度はしっかり捕球してピッチャーゴロ、改めてさすが桑田だと声が上がることになる。

直後の2人目の打席で盗塁を試みるが試合の雰囲気に呑まれたか明らかにスタートも加速も悪く悠々アウト。相手の拙攻にも助けられ無難な1回を終える。

 

その裏、先頭打者の亀井が先日の東京ドームの試合を再現するかのような先頭打者ホームラン。結局はこれが桑田が降板するまでの唯一の巨人の得点となるのだが、このあたりが2軍と1軍半の違いだろうか。

ところが2回表にヒット2本を重ねられて簡単に1点を返されてしまう。走者2塁の場面で浅いセンター前ヒットをセンター三浦が握りなおしてからバックホームしたために間に合わなかったわけだが、2本打たれているわけでやっぱり桑田にも問題はあるのか。球場全体が1点先制した気持ちをしぼまされた感じ。

 

次のヤマは3回裏。桑田に打順が回る。事前の文面や報道から3回で交代ではないかと思っていた観客から大桑田コール。それに後押しされるかのようにベンチ裏から桑田が出てくるとコール以上の歓声が球場を包み込む。もう首脳陣もこんな状況では桑田のために試合を使う覚悟を決めたのだろう。あれでもし交代していたら暴動ものだったにちがいない。

しかし打席ではまるで引退する野手のようにピッチャーがストレートだけを投げ込んでくるのだがこれに全く合わない。見逃しストライク、ボール、ファール、空振りで三振。こんなところで桑田の衰えを見せ付けられるとは思わなかった。

 

4回からはイニングがはじまるたびに応援団から桑田の応援歌・スタンドからは拍手が桑田を呼び続ける。もういつ代わってもおかしくはない、それがわかっているからこそ必死でそれに抗うかのように観客全員で目前の「終わり」を押しとどめようとする

4回表は直前に打席が回ったため、6回表は直前がグラウンド整備だったためにすぐにでてこなかったがその間ずっと続く歓声を聞いているとそんなところで涙が浮かんできてしまう。桑田がどれだけ愛されているのかを改めて思い知る。

 

そして6回裏、二度目の打席が回ってくる。この回は8番の村田善則から。ネクストにはいつもの2軍の試合のように投手はたたずに帽子を被った横川が軽くスイングしている。村田善則の打席にもかかわらず起こる監督へのヤジ、桑田を呼ぶ声。

そんな状況の中、2軍では非常に珍しく投手桑田がネクストバッター図サークルに向かってくる。それに気づいた3塁側から球場全体に広がる歓声。あまりの歓声に湘南投手稲嶺は一度プレートを外した。

しかしこの打席も桑田は球が見えていない。ボールを1つ挟んで空振り3つで三振。「変化球投げるな」と野次が飛ぶほどバットとボールが離れている、見る限り直球なのだけどそう見えてしまうほど合ってない。

 

7回表、これが最後となるマウンドにあがる桑田。

打たれる桑田、巻き起こる桑田コール、打たれる桑田、再度巻き起こる桑田コール。明らかに浮いている球、簡単にはじき返される打球。誰もが現実を見ながらもそれでも桑田を応援する。

バントで1つのアウトを取り、残り2つのアウトはいいあたりもサードとファーストいずれも正面の球。そんな3アウトの取り方でようやくイニングが終わる。誰もがこのイニングでの終わりを確信して見送る。


次の回、吉村監督が出てきて投手交代を告げる。球場全体で何かのバランスが崩れたかのようにざわめきが戻る。いつもの野球場の騒がしさが戻ってくる。それがちょっと残念でもあり、終わったんだなぁと感じさせる。

 


お客さんが多いりだったおかげでいつもは観客には開放されない部分まで開放されているのでせっかくなのでそちらへ。ブルペン近くの芝生席。ほんとはもっと開放していて欲しい、芝生に座って見る野球は楽しいんだけどな。


試合が終わってさぁ練習でも見て帰ろうかと思ったが、裏で話しでもしていたのだろう、桑田だけは出てこない。そして一部のお客さんはいつまでたっても帰ろうとしない。それどころか手拍子をしながら桑田の登場を待っている。今日何度目かわからない改めて知る桑田のすごさ。


桑田がでてきてしばらくすると「入場口で桑田投手より挨拶があります」とのアナウンス。入場口ってどこの入場口だろうと思いながら近くの関係者に聞くとそこから並んでくださいといわれて、気が付いたら長蛇の列の一番前。気が付いたら目の前に桑田投手本人。

一番最初に握手するという栄誉を預かり「ありがとうございました、これからも頑張ってください」と握手してお辞儀。すると桑田選手の方からも返答があり、あちらから左手まで重ねて両手で握り返してもらう。

目を合わせるとやっぱり小さな目だけど力がこもっていた、言葉と目から多分自分が納得するまであがき続けるんだろうと確信して入場口を出る。

 

出た・・・へたり込んで気が付く。「出ちゃったら練習みれないじゃん」。同時に響く無常なアナウンス「ジャイアンツ選手のバッティング練習が始まりますのでファールボールには〜」

みたい・・・でも再入場はさせてもらえない。。。最後にそんなオチいらないのに。

 

こんなジャイアンツ球場はこれから2軍に通い続けたとしても二度とないんだろうな。

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