育成ドラフトについて。
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DIME
2007年11月20日 15:59 visibility1744
巨人の育成ドラフトに関しては巨人の日記で触れましたのでそちらをご覧ください。今回は育成ドラフト全体について。
こちらの報道内容を見ていただければわかりますが、今年“も”育成選手に関しては社会人からの指名はほぼありませんでした。
例外がロッテの大谷ですが彼はこちらで書いたようにそもそも日本野球連盟に所属していないようなので社会人からの指名とはいってもちょっと事情が違います。
今年“も”、と書いたようにこの傾向は今年だけのものではなく、2005年からこれで3度目の育成ドラフトで延べ6+12+15=33名(たぶん)が指名されたわけですが、この中で社会人から指名されたのは実質的には巨人の鈴木誠1名だけです。楽天に指名された中村真人の場合は所属社会人チームが廃部予定でしたし、巨人に指名された芦沢明の場合は退社後にブランクが有ります。
このあたりからも育成ドラフトの微妙な立ち位置がうかがえます。これは先日も日記で触れましたロッテが端緒となった育成選手を独立リーグへ派遣したいというアイディアにも繋がってきます。前回はプロ志望届からそれを見てみましたが今日は別の観点から。
今の日本のプロ野球は、アメリカほど綺麗な形ではないにしても、歪ではあるもののある程度ピラミッド構造となっています。
具体的に言えば、即ち底辺を高校野球(それ以前はありますけどここでは関係ないので除きます)、頂点をプロ野球として、間に大学野球、社会人野球を含み、それらがまっすぐ積み重ならず高校野球から社会人野球、大学野球、プロ野球にそれぞれ繋がっていたり大学の先に社会人があったり、一部の選手の中では社会人が頂点となっていたりとごちゃごちゃになりながらも一応のピラミッドにはなっている。
ここに最近になってクラブチームや独立リーグという新しい概念が加わってきたわけです。ここでは主題となるのは独立リーグですのでそちらに限定して話を進めますが、独立リーグのピラミッド上の位置関係というのは非常に微妙なところに有ります。これもまた具体的に言えばトップランクの大学野球より上なのか下なのか、トップランクの社会人野球より上なのか下なのかという位置関係ですね。実際のところは現在はやはりそれらよりは下にあるという見方が一般的だと思います、私もそう思います。
更にもう1つ、最近になって加わった概念があります、それが育成選手制度です。選手の実力としてはどのあたりにあるかというのはともかくとして、ドラフトを経由してプロ野球に入るという制度上、プロ野球のすぐ下に位置することになります。
ここで、本題です。ロッテが提唱した育成選手の独立リーグ派遣というのは、言い換えれば独立リーグの選手レベルと育成選手の選手レベルが等しくなるということです。
そうなればピラミッド上の「育成選手」の位置に「独立リーグ」が存在することとなり、相対的に社会人野球の価値は低下します、それを懸念しているからこそ社会人野球が今回の件に大きくかかわってくるわけです。
もちろんすぐにはそういうことにはなりません。しかしドラフトを経由してプロ野球に入り、そうして入ったものが独立リーグで磨かれるという「道順」が確立されそれを続けていれば、その道順に沿って自然に選手レベルは整備されていってしまいます。
これは過去、大学野球全盛の時代だったのが選手の道順の先にプロ野球という新しい概念が生まれ、選手が先に進んでいった結果大学野球が衰退していった事と同じ形です。
実際、報道によれば、巨人に育成ドラフトで指名された高校生2名はいずれも大学・社会人からの誘いを断っているようです。既に育成選手が上位となる傾向が出ています。
正直プロ野球側からだけみれば、そうなったとしても対岸の火事ですからあまり気にすることは有りません、むしろ育成環境が整備されるわけですから歓迎できることです、プロ野球に限れば。
ところが、野球界全体で見た時にそれは果たして対岸の火事なのか。
現在野球に限らず企業スポーツというのは衰退しています、これは単純に不況だからというだけではなく、特に上場会社においてはチームを保持することに対する費用対効果、広告効果などがシビアに(=株主に説明責任を果たせるぐらいに)求められるようになってきたという側面が強いわけです。
逆にそういう費用対効果や広告効果を求めて早稲田大学などは積極的にスポーツ活動に投資(具体的に言えば有力選手を奨学金等で集めたり、施設の充実を図ったりして)した結果として最近のイメージアップにもつなげていたりするわけですが。そういう「思考」を企業が持つようになっているということです。
話を戻しますが、そういう状況下において、今以上に社会人野球の価値が低下するとどうなるか。広告効果などを考えての採算分岐点が悪化し、社会人野球チームを持つ価値を見出せなくなる企業が増えてくる事になります。
一部の例外を除いて、ほとんどの社会人野球を抱える企業は伊達や酔狂でチームを抱えているわけでは有りません、例えば今回のドラフト1つとっても「トヨタの服部」のように会社名が露出します、広告費に換算すれば大きな成果です。あとは都市対抗の出場などによる露出増加、これが最も一般的な社会人野球チームを持つメリットです。或いは社員のロイヤリティを高める象徴としてなどという理由もあるでしょう。
それらの価値は、社会人野球というものが低下すれば当然低下します。結果的に社会人野球の衰退が加速する。そうなった時に果たして、独立リーグによってその衰退分をまかなえるのか、野球界全体での市場規模が小さくなっていかないか。最終的にそれが狭まってしまうのは即ち野球の人気低下の一因となりえますし、選手の質の低下の一因にもなりえます。それを考えれば決して対岸の火事ではない。
結局社会人側の「できるだけ社会人の先というのは支配下だけにとどめておきたい」という意向もあって、育成ドラフトでの社会人選手の指名というのは少ないんだろうと思います。入団テストを受けるには退社しなければいけないとかいう理由も有りますが別にテストだけで決めている球団ばかりではありませんし。
ロッテにしても同じ事をもくろむ他球団にしても本当ならば社会人から指名したかったのを控えたのでしょうし、逆に社会人との食い合いにならないというパフォーマンスもあって、独立リーグの選手の指名が育成では多かったともみなせます。
私個人としては、上記の懸念を加えても、やってみる方がいいとは思います。
それはただ単純に育成環境が整備されるからではなく、将来的にプロ野球がより自由な選手獲得(ドラフトのような馬鹿げた制限のない自由競争)を行い、日本球界がプロを頂点とした1つの組織として整備されるには、それを進める方がプラスになるだろうと思うからです。形として現在あるような社会人チームが、その企業をメインスポンサーとしたチームへと変貌していくのが一番理想的な未来ですから。
やっていけば間違いなく上記の問題は発生するでしょうがその対処を間違わなければよりよい方向に進むでしょう。それをちゃんと踏まえた上で、慎重に事を運ぶのであれば反対はしません。
ちなみに、何故ではフューチャーズはあまり大きな反対もなく出来たのかといえば、その設立当初の目論見に、社会人野球への参加というものがあったからです。
であるならば、先に書いた価値の等価化というのは社会人に対して行われるわけですから、むしろ反対されるはずもないでしょう。実際にフューチャーズはこの秋も社会人野球と積極的な交流を行っています。
そういう風にちゃんと全体を見越して、深謀遠慮、破綻の出ないように活動しているわけです。
ただ、なんか世間を見ているとあまりにも表面的なことしか見えずに賛成だ反対だといっている人が多すぎるような気がしてなりません。特に巨人批判したい病の人。
この問題は舵取りに気をつけなければいけない非常に微妙な問題です、事を単純にプロ野球側からの視点だけで眺めて進めれば絶対に失敗します。そういうバランサーとしての役割が必要だと巨人は考えているのでしょう。
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参考
北海道の高校生コンビ西村&谷内田を指名…育成ドラフト
プロ野球の大学生・社会人、育成選手のドラフトが19日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、育成ドラフト2巡目で遠軽高の右腕・西村優希投手(17)、3巡目で北照高の強肩捕手・谷内田(やちだ)敦士(17)が巨人から指名された。2人は、大学、社会人チームからも勧誘されていたが、プロ入りへの気持ちは強い。支配下登録への道は険しいが、プロの荒波へ飛び込む。
まさにサプライズ指名だった。10月の高校生ドラフトでは、地元の日本ハムなどプロ5球団から注目を浴びながら、まさかの指名なし。悔し涙を流した西村のもとに1か月半遅れで巨人から朗報が飛び込んできた。午後4時過ぎ、巨人の担当スカウトから学校への電話連絡で指名を確認した西村は「やっと安心した」と笑顔を見せ「1、2年で結果を残さないといけない」と気を引き締めた。
巨人は今年春から187センチ右腕をマークしていた。公立高校の遠軽でのびのびプレーしながら、MAX144キロをマークする高い素質に注目。球団スカウトは「素直なフォームであまり直すところはない。鍛えれば伸びしろは計り知れない」と期待は大きい。
西村は10月の高校生ドラフト終了後も毎日1時間の走り込みとウエートトレーニングをし「プロで戦う体をつくっていた」と話す。目標はダルビッシュ投手。「ストレートで三振を取れる投手になりたい」と力を込めた。
北照の谷内田は執念でプロ入りの夢をかなえた。愛知県の強豪社会人チームから勧誘されていたが「一番高いレベルで野球がしたい」と巨人の入団テストを受験。9月16日に行われた1次テストでは50メートル走6秒3、遠投95メートルの課題を難なくクリア。実技テストでもシュアな打撃を披露し、40人中、3人の合格者に名を連ねた。10月3日の最終テストで二塁へ1秒76で届く強肩ぶりに巨人の2軍スタッフから「いい素材だ」と称賛された。
これまでヤクルト・米野智人(25)、広島・上村和裕(24)と2人の捕手をプロに送り込んだ河上敬也監督(48)は「肩こう骨の可動域が広く、スローイングは米野とそん色ない。(育成選手は)長くとも3年間しか見ていただけないがはい上がってほしい」とエールを送った。巨人には北照の2年先輩・加登脇卓真投手(20)もいる。谷内田は「先輩の球をしっかり受けてみたい」と目を輝かせていた。
◆西村 優希(にしむら・ゆうき)1990年1月28日、遠軽町生まれ。17歳。遠軽東小3年から野球を始め、同6年から投手。遠軽中時代には全道中学で地区優勝。遠軽高では1年秋からエースとなり、2年夏は北北海道大会準優勝。今春は春季全道大会ベスト8。187センチ、77キロ。右投右打。家族は両親と弟、妹。
◆谷内田 敦士(やちだ・あつし)1990年1月19日、札幌市生まれ。17歳。小学4年から篠路ビックファイヤーズで野球を始める。札幌上篠路中時代は硬式のポニーリーグ「札幌ロイヤルズ」に所属。全国大会に捕手として出場。プロ野球の好きな選手は北照OBの米野智人捕手(ヤクルト)、城島健司捕手(米大リーグ・マリナーズ)177センチ、80キロ。右投右打。家族は両親と姉、妹。
◆育成制度 支配下枠70人以外の練習参加などを認めた「準支配下登録選手」制度。05年に制定化され、07年からはオープン戦、ファーム日本選手権の参加も認められている。背番号は3ケタで年俸の下限は240万円。6月末までに支配下登録されれば、1軍の試合にも出場できる。また、3年間在籍して支配下登録されない場合は自動的に自由契約となる。中村紀洋選手が07年、中日に育成選手として入団、支配下登録された時に背番号は205から99番に変更された。
こちらの報道内容を見ていただければわかりますが、今年“も”育成選手に関しては社会人からの指名はほぼありませんでした。
例外がロッテの大谷ですが彼はこちらで書いたようにそもそも日本野球連盟に所属していないようなので社会人からの指名とはいってもちょっと事情が違います。
今年“も”、と書いたようにこの傾向は今年だけのものではなく、2005年からこれで3度目の育成ドラフトで延べ6+12+15=33名(たぶん)が指名されたわけですが、この中で社会人から指名されたのは実質的には巨人の鈴木誠1名だけです。楽天に指名された中村真人の場合は所属社会人チームが廃部予定でしたし、巨人に指名された芦沢明の場合は退社後にブランクが有ります。
このあたりからも育成ドラフトの微妙な立ち位置がうかがえます。これは先日も日記で触れましたロッテが端緒となった育成選手を独立リーグへ派遣したいというアイディアにも繋がってきます。前回はプロ志望届からそれを見てみましたが今日は別の観点から。
今の日本のプロ野球は、アメリカほど綺麗な形ではないにしても、歪ではあるもののある程度ピラミッド構造となっています。
具体的に言えば、即ち底辺を高校野球(それ以前はありますけどここでは関係ないので除きます)、頂点をプロ野球として、間に大学野球、社会人野球を含み、それらがまっすぐ積み重ならず高校野球から社会人野球、大学野球、プロ野球にそれぞれ繋がっていたり大学の先に社会人があったり、一部の選手の中では社会人が頂点となっていたりとごちゃごちゃになりながらも一応のピラミッドにはなっている。
ここに最近になってクラブチームや独立リーグという新しい概念が加わってきたわけです。ここでは主題となるのは独立リーグですのでそちらに限定して話を進めますが、独立リーグのピラミッド上の位置関係というのは非常に微妙なところに有ります。これもまた具体的に言えばトップランクの大学野球より上なのか下なのか、トップランクの社会人野球より上なのか下なのかという位置関係ですね。実際のところは現在はやはりそれらよりは下にあるという見方が一般的だと思います、私もそう思います。
更にもう1つ、最近になって加わった概念があります、それが育成選手制度です。選手の実力としてはどのあたりにあるかというのはともかくとして、ドラフトを経由してプロ野球に入るという制度上、プロ野球のすぐ下に位置することになります。
ここで、本題です。ロッテが提唱した育成選手の独立リーグ派遣というのは、言い換えれば独立リーグの選手レベルと育成選手の選手レベルが等しくなるということです。
そうなればピラミッド上の「育成選手」の位置に「独立リーグ」が存在することとなり、相対的に社会人野球の価値は低下します、それを懸念しているからこそ社会人野球が今回の件に大きくかかわってくるわけです。
もちろんすぐにはそういうことにはなりません。しかしドラフトを経由してプロ野球に入り、そうして入ったものが独立リーグで磨かれるという「道順」が確立されそれを続けていれば、その道順に沿って自然に選手レベルは整備されていってしまいます。
これは過去、大学野球全盛の時代だったのが選手の道順の先にプロ野球という新しい概念が生まれ、選手が先に進んでいった結果大学野球が衰退していった事と同じ形です。
実際、報道によれば、巨人に育成ドラフトで指名された高校生2名はいずれも大学・社会人からの誘いを断っているようです。既に育成選手が上位となる傾向が出ています。
正直プロ野球側からだけみれば、そうなったとしても対岸の火事ですからあまり気にすることは有りません、むしろ育成環境が整備されるわけですから歓迎できることです、プロ野球に限れば。
ところが、野球界全体で見た時にそれは果たして対岸の火事なのか。
現在野球に限らず企業スポーツというのは衰退しています、これは単純に不況だからというだけではなく、特に上場会社においてはチームを保持することに対する費用対効果、広告効果などがシビアに(=株主に説明責任を果たせるぐらいに)求められるようになってきたという側面が強いわけです。
逆にそういう費用対効果や広告効果を求めて早稲田大学などは積極的にスポーツ活動に投資(具体的に言えば有力選手を奨学金等で集めたり、施設の充実を図ったりして)した結果として最近のイメージアップにもつなげていたりするわけですが。そういう「思考」を企業が持つようになっているということです。
話を戻しますが、そういう状況下において、今以上に社会人野球の価値が低下するとどうなるか。広告効果などを考えての採算分岐点が悪化し、社会人野球チームを持つ価値を見出せなくなる企業が増えてくる事になります。
一部の例外を除いて、ほとんどの社会人野球を抱える企業は伊達や酔狂でチームを抱えているわけでは有りません、例えば今回のドラフト1つとっても「トヨタの服部」のように会社名が露出します、広告費に換算すれば大きな成果です。あとは都市対抗の出場などによる露出増加、これが最も一般的な社会人野球チームを持つメリットです。或いは社員のロイヤリティを高める象徴としてなどという理由もあるでしょう。
それらの価値は、社会人野球というものが低下すれば当然低下します。結果的に社会人野球の衰退が加速する。そうなった時に果たして、独立リーグによってその衰退分をまかなえるのか、野球界全体での市場規模が小さくなっていかないか。最終的にそれが狭まってしまうのは即ち野球の人気低下の一因となりえますし、選手の質の低下の一因にもなりえます。それを考えれば決して対岸の火事ではない。
結局社会人側の「できるだけ社会人の先というのは支配下だけにとどめておきたい」という意向もあって、育成ドラフトでの社会人選手の指名というのは少ないんだろうと思います。入団テストを受けるには退社しなければいけないとかいう理由も有りますが別にテストだけで決めている球団ばかりではありませんし。
ロッテにしても同じ事をもくろむ他球団にしても本当ならば社会人から指名したかったのを控えたのでしょうし、逆に社会人との食い合いにならないというパフォーマンスもあって、独立リーグの選手の指名が育成では多かったともみなせます。
私個人としては、上記の懸念を加えても、やってみる方がいいとは思います。
それはただ単純に育成環境が整備されるからではなく、将来的にプロ野球がより自由な選手獲得(ドラフトのような馬鹿げた制限のない自由競争)を行い、日本球界がプロを頂点とした1つの組織として整備されるには、それを進める方がプラスになるだろうと思うからです。形として現在あるような社会人チームが、その企業をメインスポンサーとしたチームへと変貌していくのが一番理想的な未来ですから。
やっていけば間違いなく上記の問題は発生するでしょうがその対処を間違わなければよりよい方向に進むでしょう。それをちゃんと踏まえた上で、慎重に事を運ぶのであれば反対はしません。
ちなみに、何故ではフューチャーズはあまり大きな反対もなく出来たのかといえば、その設立当初の目論見に、社会人野球への参加というものがあったからです。
であるならば、先に書いた価値の等価化というのは社会人に対して行われるわけですから、むしろ反対されるはずもないでしょう。実際にフューチャーズはこの秋も社会人野球と積極的な交流を行っています。
そういう風にちゃんと全体を見越して、深謀遠慮、破綻の出ないように活動しているわけです。
ただ、なんか世間を見ているとあまりにも表面的なことしか見えずに賛成だ反対だといっている人が多すぎるような気がしてなりません。特に巨人批判したい病の人。
この問題は舵取りに気をつけなければいけない非常に微妙な問題です、事を単純にプロ野球側からの視点だけで眺めて進めれば絶対に失敗します。そういうバランサーとしての役割が必要だと巨人は考えているのでしょう。
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北海道の高校生コンビ西村&谷内田を指名…育成ドラフト
プロ野球の大学生・社会人、育成選手のドラフトが19日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、育成ドラフト2巡目で遠軽高の右腕・西村優希投手(17)、3巡目で北照高の強肩捕手・谷内田(やちだ)敦士(17)が巨人から指名された。2人は、大学、社会人チームからも勧誘されていたが、プロ入りへの気持ちは強い。支配下登録への道は険しいが、プロの荒波へ飛び込む。
まさにサプライズ指名だった。10月の高校生ドラフトでは、地元の日本ハムなどプロ5球団から注目を浴びながら、まさかの指名なし。悔し涙を流した西村のもとに1か月半遅れで巨人から朗報が飛び込んできた。午後4時過ぎ、巨人の担当スカウトから学校への電話連絡で指名を確認した西村は「やっと安心した」と笑顔を見せ「1、2年で結果を残さないといけない」と気を引き締めた。
巨人は今年春から187センチ右腕をマークしていた。公立高校の遠軽でのびのびプレーしながら、MAX144キロをマークする高い素質に注目。球団スカウトは「素直なフォームであまり直すところはない。鍛えれば伸びしろは計り知れない」と期待は大きい。
西村は10月の高校生ドラフト終了後も毎日1時間の走り込みとウエートトレーニングをし「プロで戦う体をつくっていた」と話す。目標はダルビッシュ投手。「ストレートで三振を取れる投手になりたい」と力を込めた。
北照の谷内田は執念でプロ入りの夢をかなえた。愛知県の強豪社会人チームから勧誘されていたが「一番高いレベルで野球がしたい」と巨人の入団テストを受験。9月16日に行われた1次テストでは50メートル走6秒3、遠投95メートルの課題を難なくクリア。実技テストでもシュアな打撃を披露し、40人中、3人の合格者に名を連ねた。10月3日の最終テストで二塁へ1秒76で届く強肩ぶりに巨人の2軍スタッフから「いい素材だ」と称賛された。
これまでヤクルト・米野智人(25)、広島・上村和裕(24)と2人の捕手をプロに送り込んだ河上敬也監督(48)は「肩こう骨の可動域が広く、スローイングは米野とそん色ない。(育成選手は)長くとも3年間しか見ていただけないがはい上がってほしい」とエールを送った。巨人には北照の2年先輩・加登脇卓真投手(20)もいる。谷内田は「先輩の球をしっかり受けてみたい」と目を輝かせていた。
◆西村 優希(にしむら・ゆうき)1990年1月28日、遠軽町生まれ。17歳。遠軽東小3年から野球を始め、同6年から投手。遠軽中時代には全道中学で地区優勝。遠軽高では1年秋からエースとなり、2年夏は北北海道大会準優勝。今春は春季全道大会ベスト8。187センチ、77キロ。右投右打。家族は両親と弟、妹。
◆谷内田 敦士(やちだ・あつし)1990年1月19日、札幌市生まれ。17歳。小学4年から篠路ビックファイヤーズで野球を始める。札幌上篠路中時代は硬式のポニーリーグ「札幌ロイヤルズ」に所属。全国大会に捕手として出場。プロ野球の好きな選手は北照OBの米野智人捕手(ヤクルト)、城島健司捕手(米大リーグ・マリナーズ)177センチ、80キロ。右投右打。家族は両親と姉、妹。
◆育成制度 支配下枠70人以外の練習参加などを認めた「準支配下登録選手」制度。05年に制定化され、07年からはオープン戦、ファーム日本選手権の参加も認められている。背番号は3ケタで年俸の下限は240万円。6月末までに支配下登録されれば、1軍の試合にも出場できる。また、3年間在籍して支配下登録されない場合は自動的に自由契約となる。中村紀洋選手が07年、中日に育成選手として入団、支配下登録された時に背番号は205から99番に変更された。
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