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【巨人】 現有戦力評価 Ver.3 内野手編
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DIME
2007年02月20日 14:51 visibility108
続いて内野手です。一気に人数が増えてめんどうになってきました。
■内野手■
○右打:8名
・(R)坂本勇人
・(R)寺内崇幸
・岩舘学
・吉川元浩
・十川孝富
・小田嶋正邦
・二岡智宏
・(外)ゴンザレス
○左打:7名
・(R)円谷英俊
・脇谷亮太
・古城茂幸
・川中基嗣
・小坂誠
・小笠原道大
・(外)李承ヨプ
●異動
離脱
原俊介
大須賀允
仁志敏久
黒田哲史
小久保裕紀
長田昌浩
加入
円谷英俊
寺内崇幸
坂本勇人
小田嶋正邦
小笠原道大
ゴンザレス
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「1ポジション2名」について
「1ポジションに2名」 という話題ですが、厳密にこれが該当するのは内野手と外野手の場合ということになります。ここでそれを改めて説明しておこうと思います。
「1ポジション2名」という考えを別の観点から見るとちょうど1軍枠がこの人数に該当します。
1軍登録枠は28名、ベンチは25名ですがこの差3名分は先発投手に回されます。んでその28名の内訳ですが先発6、中継ぎ6、レギュラー野手8、控え捕手2、控え内野手3、控え外野手3でちょうど28です。監督の方針によって若干のズレ(捕手2人制or先発5人制etc)が出てきますが大きくこの数がずれることはなく各±1ぐらいです。
んで野手に目を向けると捕手を除いた7ポジションで13名、ですから別の言い方をすれば「レギュラーとベンチの差をできるだけなくすべき」 という考えと同じです。
そう言い換えると昨年の巨人にあってよく指摘された問題点と同一であることがわかると思います。
とはいえ各ポジションにおいて「球界を代表する」といえるような選手を2名ずつ抱えるのはさすがに現実的ではありません。そういう選手が抜けてしまうときにはある程度の戦力低下は避けられません。
目標としては変な日本語ですが「並の一流選手」ぐらいで控え選手で構成できるかってところでしょうか。
基本戦略
4ポジション中セカンドを除く3ポジションに相対的に能力の高いレギュラーが存在しています。
これら1・3・遊に関しては捕手と同じく、「李承ヨプ(小笠原道大、二岡智宏)の疲労を最小限に抑えつつ出来るだけ出場機会を増やす」事の実現を計るのが基本戦略です。
ただ同時に彼ら3名は昨年ほぼフル出場していますので、プロ野球全体を見てもそういう選手がよくシーズンもフル出場できたことは少なく、それに輪を掛けて巨人では離脱確率が高くなってくるので少なくとも彼らが離脱するリスクはほぼ必ず発生するものと考えるぐらいでちょうど良いです。
となってくると控え選手の能力向上、できれば直前でも書いたように他球団であればレギュラーを取れるぐらいの選手が控えに存在するのが一番望ましいでしょう。
残るセカンドですが、ここには実績のあるレギュラーはいません。ただチーム内ではトッププロスペクトになるであろう脇谷亮太がいますので多少の我慢は覚悟して彼をすえるのが基本となると思われます。
とは言え「対抗」なしに優先的に機会を与えるのは甘えを呼びますので他ポジションより優れた控えが欲しいところです。同時にこの控えは能力があっても出場機会に恵まれない可能性が高いのでチーム全体としての方針を理解し自己犠牲を受け入れられる献身的な人材である方が望ましいでしょう。
異動評価
まず昨年の時点で打数順に7名の内野手を挙げると、二岡智宏・李承ヨプ・小久保裕紀・小坂誠・脇谷亮太・仁志敏久・川中基嗣となり、ディロン・アリアス・古城茂幸と続きます。
打数順だと古城が10番目ですが守備固めとしての出場も多く試合数で言えば50試合で川中(58試合)に順じ、川中が28試合の外野守備機会があったことを考えれば実際は古城が7番目と言えるかもしれません。どちらを選ぶというのもあれなので便宜的に8名で考えて見ます。
問題点は2点あり、1点目が上位3名とそれ以外にあまりにも打撃能力に差がありすぎたこと。2点目がこの8名のうち外国人枠の李と分類Cの選手が7名を占めていて、双方とも5年先にもチーム戦力である確率はあまり高くありません。
以上から解決すべき問題点として
1、控え選手の打撃能力向上
2、選手の年齢層の若返り
が必要だったわけです。
ここに小久保の離脱が加わったために
3、主力選手の確保
が追加されましたが小笠原の獲得によって相殺されたといえるでしょう。
その上で異動リストを見てみると、どうしても仁志敏久というビッグネームの存在に目が行きがちですが、全体としてみれば1軍での実績の少ない選手(原、大須賀、黒田、長田)を大きく切ってルーキー(円谷、寺内、坂本)をつぎ込みました。
結果的に今のところ円谷・寺内は現在1軍キャンプに何とかついてきているわけで、この入れ替えはうまくいっているように見えます(まだ2月ですから何ともいえないですけど)。
この一連の活動は今シーズンに結果が出る可能性は低いですが、長期的に上記1,2の問題を解決を目指すための端緒として評価できるものではないでしょうか。
次にゴンザレス、小田嶋の加入は上位3名(二岡、李、小久保→小笠原)とそれ以下の打者の打撃能力に余りに差がありすぎたという問題の解決を図るための対応であると言えます。
もちろん実績・能力からすれば信頼できるほどのものではありませんが、そういう問題点が見えているにもかかわらずやらないよりはよっぽどまし、プロ野球全体の異動の活性度からみればちゃんと動いたというだけで一定の評価はしておきたいです。
戦力評価
上記の異動評価を踏まえて、現有戦力を評価すれば、昨年が40点だったとすれば今年は60点ぐらいでしょうか。
異動による戦力増加分は十分評価できるほどの上昇だったと思いますが、元が低すぎるのであがったとしても評価としてはこんなところでしょう。
昨年よりは改善が見られますがそれでもまだまだ不足気味といえます。出来ることなら1・3塁手に他球団ならレギュラークラスとなれるほどの選手がもう1名は居て欲しいところです。
ただ構成を考えると(レギュラー2名がベテラン&外国人)その部分は安易にベテランや外国人に負わせるべきではなかったのでその解消が出来なかったのは同ポジションに即戦力級のドラフト候補生もいませんでしたし、しょうがないところでしょう。
数年分のツケですから今年だけではそう簡単に解消できるものではないです。
現有評価順位
んでドラフトによる新入団選手は期待はしても計算はしておかない方がいいでしょうから除外します。最初っから計算できるほどの選手がはいったわけでもないですし。 新外国人選手に関しても同様に安易に計算に入れるのは憚られますので低く計算して置きます。あとあくまで全体での順位なので現時点での怪我離脱などの状況は無視します。
あ現在のキャンプまでの状況を踏まえて今年のメンバーを挙げていくと、レギュラーが李承ヨプ・脇谷亮太・二岡智宏・小笠原道大って事になるかと思います。これに続いて小坂誠・古城茂幸・小田嶋正邦・ゴンザレスとなるでしょう。
順位をつけると以下のような感じでしょうか
1、李承ヨプ
1、二岡智宏
1、小笠原道大
4、脇谷亮太
5、小坂誠
5、ゴンザレス
7、古城茂幸
7、小田嶋正邦
--------------
川中基嗣
円谷英俊
寺内崇幸
岩舘学
吉川元浩
十川孝富
坂本勇人
内野手の枠は基本7名ですが、先日書いたように「捕手2.5人制」の可能性があり、その場合は小田嶋正邦加えて8名まで可能です。ってことでそこまでの8名が現在のところ当確ではないかと踏んでいます。
ただレギュラー以外の残り3名の控え選手というのは登場する“場”を恣意的に選択することが出来る選手でもあります。
なので控え選手には単純に総合的な選手としての能力の高さだけでなく、控え選手独自の「属性」、具体的に言えば「守備固め」、「代打」、「代走」などの一芸に秀でていることが総合能力より高く評価されます。
これらのバランスもみながら7名を選択していくことになろうと思います。
っていうことで二岡智宏・小坂誠が怪我で離脱したままだという前提で7名+小田嶋正邦を私なりに選んでみると以下のとおりです。
Regular
R、李承ヨプ
R、小笠原道大
R、脇谷亮太
R、ゴンザレス
Reserve
古城茂幸
岩舘学
寺内崇幸
小田嶋正邦
ポジション別順位
ではもっと直接的に「1ポジション2名」というのを書いてみたいと思います。
上位3選手にかんしては守備負担の増加(慣れないポジションをさせない)ために基本的には1ポジションだけで考えてカッコ書きにしておきました。
他の選手にかんしては可能な限りの複数ポジションでリストに加えます。
上記の考え方で各ポジション4名ずつあげてみたいとおもいます。
1塁手
李承ヨプ
(小笠原道大)
小田嶋正邦
吉川元浩
古城茂幸
2塁手
脇谷亮太
ゴンザレス
小坂誠
岩舘学
3塁手
小笠原道大
(二岡智宏)
(ゴンザレス?) : まだサード見たことない気がする
小田嶋正邦
古城茂幸
脇谷亮太
遊撃手
二岡智宏
小坂誠
脇谷亮太
ゴンザレス
チーム内でのリストはこんなかんじだとおもいます。
ただ見ていただければわかるとおり、選手が被ることが非常に多いので誰が怪我するかによって実際に誰が選ばれるかというのは大きく変わってくると思います。
こうやって見るとやっぱり1・3塁で「2名確保」があまり達成されていない気がします。キーパーソンとなってくるのは小田嶋でしょうか。
去年の場合は小久保が欠けたときにカバーが出来なかった事が得点力低下の大きな原因となりましたが、今年も李か小笠原、どっちか(或いは両方)の離脱、特に手術あけの李はある程度その可能性を考えておくべきでしょう。
まぁ「1・3塁を守る強打者」というのはあまり移籍市場に出回るカードじゃないので小田嶋と小笠原と2枚確保しただけでも頑張ってはいるんですがいかんせん、ここ数年の無計画なドラフトのツケが残っていてまだ足りなさそうです。
個人的希望とすれば吉川に頑張って欲しいんですけどね。
逆に二岡智宏・脇谷亮太・小坂誠・ゴンザレスといる二遊間のほうは(期待通り活躍するかは別として)カードの枚数は揃っているんですよね。
こっちの場合は問題は想定どおりの活躍をしてくれるかどうかという部分。二岡は去年フルイニングなので怪我離脱可能性高し、小坂誠は去年不調、脇谷亮太は2年目、ゴンザレスは新外国人。
リスキーだなぁ。
ゴンザレスは必要だったか
まず「新外国人を加える必要があるか」っていう観点からすれば、昨年4位に終わったチームが4つしかない補強手段の1つを使わずに済ませるというのは非難されこそすれ褒められるはずもありません。
結果的にその選手が活躍したかどうかに関係なく、活躍するかもしれない可能性を追求せずに最初から否定することは間違っているでしょう。
よって「新外国人を加える必要があるか」という観点からすれば「絶対にそうするべき」というのが私の見解です。
んでその新外国人の獲得方針ですが、「フロントの意図」が見える獲得だったと思います。
これまでの獲得実績からするにプロ野球全体で見ても新外国人が成功する確率というのは低く、とりわけ巨人において新外国人が活躍する確率は限りなく低いです。
そんな状況下でどういう方針で獲得したか。誤解を恐れずに言えば「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」という手に出たわけです。もちろん鉄砲(スカウト)の精度も高めてはいるのでしょうが
既にチーム内で外国人4枠中3枠が埋まっていますから残りは1、ここに1名をあてるのではなく複数名をあてて、誰か1人でも当たれば良いやというのが今年の補強意図だと言えるでしょう。んで複数名とするならばとりあえずポジションは満遍なく補強すればよい。
その上で原監督の希望であった「メジャークラス」をということで各100万ドルずつをかけて内野と外野に1名ずつ獲得した、と傍目から見ても非常に意図が見えやすいです。
そして内野手に1名外国人を加えるなら最も選手層が薄いのは確固たるレギュラーが唯一いないセカンドだったのは間違いありません。
なのでゴンザレスの「メインはセカンドで他ポジションも可能」という守備位置を補強に相応しいと考えたのは決して間違っていないと思います。
ただ何度か言っているように脇谷亮太の将来を見越したうえで同時に地位を脅かせる対抗を置くのであれば、脇谷と似たタイプ(1番打者タイプ)が対抗であったほうが望ましかったと私は考えています。
脇谷に関しては今年は一年我慢するべきであまり強い「対抗」を用意しておく必要はなかったと思ったのですが、そもそも新外国人ということであんまり計算はせず、脇谷をメインに使うつもりだったのでしょう。
ただこれを誤算と表現していいのかどうかわかりませんが(この時期に新人が計算できると確定するほど愚かなこともないでしょう)、今のところゴンザレスが思ったよりよさげで強力な対抗になってくる可能性があります。このままの調子だと微妙な悩みの種になるかもしれません。
選択肢がないところから無理矢理選ばなきゃいけないよりよっぽどマシですしどうせ脇谷もゴンザレスもシーズン入ってみれば苦しむでしょうけど(笑)
話ついでですが、今年の外国人選手の結果が例えば最終的にホリンズとゴンザレスのどちらかが期待はずれで片方は戦力となった場合は計200万ドルを掛けて1名活躍できる選手を確保できたといえると思います。
んで200万ドルといえばちょうど阪神に入ったジャン投手の年俸と同じなわけで、投資と回収という観点から見れば、ジャンが活躍するのとホリンズとゴンザレスのどっちか1名が活躍するというのは評価とすれば同じぐらいになります。
例えばもっと比較しやすい投手同士で考えれば阪神のジャンと西武のジョンソンが同じぐらい活躍すれば年俸が安く済んだ阪神の方が明らかに評価は高くあるべきだと思うのですが、そういう評価はあまり見かけません。
よく外国人選手の活動実績を語る時に○○は活躍した、○○はダメだったなんて個別に論評されることがほとんどなのですが、選手を評価するならそれでいいですけどチームとしての編成能力を評価するのであればこういう視点による評価がもっとあってもいいんじゃないかとおもいます。
おまけ
さて、よく補強をして育成の対極であるかのように語られますが、実際は育成とは補強の一手段に過ぎません。では育成の対極にあるのは何でしょうか。育成に必要な資源が何であるかを考えてみればおのずと答えは出ます。
育成に必要なのはまず選手(=選手枠)、んで育成機会です。機会とはすなわち試合への出場頻度になります。若手に優先的に枠と機会を回しているとどこに皺寄せが来るか。ベテランのそれに来ます。
つまり育成の対極にあるのはベテランへの待遇だといえるでしょう。育成を目指すためには何をするべきか、ベテランをしっかり切ることが必要です。
これまでの巨人はFA補強をしたにもかかわらず、同時にベテランの放出をすることがありませんでした、それが弱体化の原因となったわけです。補強をした事が問題であるかといえばそうではなく、FA補強によってベテランの数が増えたにもかかわらず、その調整をしないことでベテランの数が増加し、育成が疎かになって弱体化したわけです。
自前のベテランと外側のベテランと2つの選択肢があり後者が優れていればそれを選択するのはチームを強化するなら当然の行為です。ただそれに付随して自前のベテランはちゃんと放出しなければいけない、それを疎かにしたことで、育成に対して皺寄せが来ていたわけです。
巨人が育成も同時に目指すのであれば、加わった分だけ他のベテランを放出する事が必要です。育成にあたって重視するべきは「ちゃんとベテランを切れているか」がオフシーズンの間の評価になります。決してドラフト以外の補強を行使しないことではありません。
そういう意味で今年これだけ思い切って「血を流した」異動を行ったのは非常によい兆候で少なくとも異動という観点において巨人軍の改革・正常化は順調に進んでいると私は見ています。
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- 事務局に通報しました。
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