藤田宗一 獲得の可能性。

  • DIME
    2007年10月28日 13:04 visibility168

昨日から始まった第二次戦力外通告で、ロッテから藤田宗一投手の名前があがりました。
これは個人的には巨人としては思っても見ない僥倖で獲得に動くべきだと思います。そのあたりについて詳しく述べていきたいと思います。

さて、まずは巨人の現在の左腕投手編成について現有戦力評価来季契約予想にて書いてきたことを改めて確認したいと思います。
現有戦力評価で書いたように、現在の巨人左腕投手陣は先発に3枚もいることで豊富と見られがちですが、実際はまだまだ不足しています。
具体的に書いていくと、1軍での必要数は先発3に中継ぎ2の最低5枚と考えていると予想され、そこに内海、高橋尚、金刃、林、山口の5枚に対して、深田、上野の2枚しかバックアップがいないというのが現在の状況評価です。
それに続く投手としては、野口茂樹、前田幸長となってくるわけですが、私は彼らは戦力外通告されるだろうと予測しています。彼らをこのまま使い続けるぐらいならば、ドラフトで多少年齢が高くても良いから即戦力になれるだけの左腕を補強した方がまだ良いだろうというのが私の考えでした。

この状況に、藤田宗一という選択肢が加わってきたことになります。ということは巨人としての選択肢としては、野口、前田、藤田、ドラフトで新人(或いはトレード、外国人)という四択です。
とりあえず新人かトレードという選択肢はちょっと毛色が違ってきますので、まず藤田、野口、前田を比較した時に誰が良いかという事を考えていきたいと思います。

今年の成績を見ると3人とも決して良い成績だとはいえません。ただ、データ上どこが悪かったのかと細かく見ていくと違いが出てきます。この時、特に彼らは中継ぎなので防御率或いは失点率に関してはあまり参考になりません、他の指標で見る必要があります。あと先に断っておきますがWHIPに関しては死球を足して敬遠四球を除いて有ります。本当はリーグが違うので単純比較するのもちょっと問題があるのですがその辺りは細かい数値ではなく全体の傾向を捕らえるだけですので多めに見てください。

藤田 : 奪三振率6.89、与四死球率1.72、被本塁打率1.15、WHIP1.98。
前田 : 奪三振率4.22、与四死球率0.84、被本塁打率1.69、WHIP1.97。
野口 : 奪三振率8.59、与四死球率7.06、被本塁打率1.23、WHIP1.88。

被本塁打率に関しては実際のところ3名ともイニング数が少なすぎるので数値の揺らぎがある可能性は否めませんが、3名とも大差ないと思います。
傾向として大きな違いが出てくるのは与四死球率です。藤田、前田が低いのに対して、野口が非常に高くなっています。結果的にWHIPで見た時に、3者ともほとんど変わらないので野口はその分被安打を抑えているとも言える訳ですが、個人的には与四死球率というのは簡単に改善が利くものではないと思っているのに対し、被打率というのは一気に悪化する事が良く見受けられるものだという考えが有りますのでどうしてもの野口の評価が他2名よりも低くなってきます。このあたりは来季契約予想でも書きましたのでそちらも参考にしてください。

んで前田幸長との違いってことになってくるんですが、これは今年だけの成績ではなくここ3年の経過の違いという事になってきます。前田は2005年には50試合、62イニングと十分な戦力となっていたのですが、この時奪三振率は8.42でした。これが2006年には5.70、2007年には4.22と急激な低下を見せています。この三振が取れなくなっているというのが今年も前田が苦しんだ最大の原因だと思います。
これに対して藤田はこの3年の奪三振率が7.22→7.75→6.89とあまり大きく変化をしていません。これは投手のタイプとしてもともと三振以外でのアウトを取れるタイプだったと予測されますし、またその数値でさえここ2年の前田の成績を上回っています。この点を考えると前田よりも藤田だろうというのが私の判断です。

また、奪三振率以外でも、総合的な指標であるWHIPで言えば昨年は1.23、一昨年はは1.01ですからここ2年続けて悪い成績である前田、野口に対して、藤田に関しては今年1年が悪化しただけですから可能性としてはやはり藤田の方があるのではないかと思います。


んで次に、ドラフトかトレード、新外国人との比較となってくるのですが、まずは先にドラフト以外の選択肢について述べておきたいと思います。
まずトレードですが、左腕はどの球団も貴重ですのでこれを獲得するトレードを成立させるのは単純に難しいか、足元を見られて損をするかのどちらかです。んで新外国人に関してはMLBでも左腕不足、特に中継ぎ左腕の不足は顕著ですので獲得は非常に難しいでしょう。

ってことで残りはドラフトとなってくるんですが、これは先に結論だけを言えば、野口や前田という選択肢であれば、ドラフトで新人獲得に賭ける方がましだと判断していたのですが、その2名よりもより高く評価できる藤田という選択肢が出来たことで私の中での状況判断が変わりました。
現有戦力評価でも書きましたし折に触れ今年のドラフトで左腕を指名しなければならないというのは何度も書いてきたんですが、実際のところ今年のドラフト市場は昨年もそうだったんですが、やっぱり左腕不足です。社会人から実戦派をとなってくると名前が挙がるのは服部ぐらいかもしれません。
巨人だけでなく、いやむしろ巨人以上に左腕を欲しがる球団はたくさんありますから、左腕争奪戦は相当激しくなるはずで、特に今年は指名順が遅いですから左腕が取れない可能性も考慮するか、或いは上位指名枠(というか1巡、3巡じゃ遅すぎる)を消費するかしかないわけです。
ただし、そういう状況になってくると他のドラフトでの補強ポイントがおろそかにならざるを得ません、具体的には内野手か外野手、どちらかは有力選手を諦めないといけないかなと覚悟していました。
ただ、野口や前田ではなく藤田ならば、とりあえずそちらを確保しておいてその上で指名巡が来るまで左腕が残るのを待って左腕が指名できないかもしれないというリスクを許容する方が総合的に見てプラスになるであろうというのが私の判断です。
この辺りはどの部分をどれぐらい評価するというのが数値で示すことの出来ない部分であるので、私の個人的な評価基準によってとしか言いようがないのですが。


あと上記で触れなかった部分で、藤田の問題点としてあげるとすれば、今年の成績は特に交流戦の成績が悪かったので、そこからセ・リーグとの相性が悪いのではないかという推測が出てくる可能性が有ります。
ただ、これに関しては、私はどちらかといえば「ちょうど悪い時期が交流戦の時期と重なった」とみなしています。
これは去年の巨人と今年の巨人の交流戦との違いを同様に見るかどうかと同じ事で、1シーズンにおいてどの球団、どの選手も調子の良い月、悪い月がありますから、偶然その良し悪しが交流戦の月と重なることもあるだろうというのが私の考え方です。
むしろ逆に考えれば、この交流戦以外のパ・リーグとの対戦成績は、11.2イニングしかありませんがこの間WHIPで1.20と昨年までとほとんど変わらない結果を残しているわけです。この点は逆に復活できる可能性があることを示しているともいえると思います。



問題となってくる事しては、左腕が欲しい球団は巨人だけに限らないので大争奪戦になる可能性がある、下手すればMLBの球団が出てくる可能性も否定しきれないというか十分ありえるという事です、あちらでも左腕不足は深刻だというのは折に触れ聞こえてくる話ですから。
そう考えると、大事なのは金額に糸目はつけないことです。FAで取る選手と比較して考えれば、補償金も必要ないし、人的補償も必要ないのです。その分を上乗せするとして考えれば今年の13000万という藤田の年俸より高い金額を出しても別に何の問題もないと思います。
というか私は、今年の年俸に近い金額辺りで争奪戦が起きるだろうと思っています、MLBの状況次第ではそれ以上というのも十分ありえるでしょう、戦力外になったからといって安く買い叩けると考えるのはちょっと楽観論に過ぎると思います。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。