【巨人】 外野手個別論評

  • DIME
    2006年11月10日 02:14 visibility217

谷の件で説明するために必要なようなのでとりあえずおいておきます。

 

まずはベテラン選手から。若手の場合は今の能力が限界いっぱいなのか、それともまだ伸びしろが残っているのかを判断しなければならないが、ベテランに関してはそれまでの実績があるから「本来の能力」がわかっている。

しかし逆にベテランで考えなければならないのが「衰え」である。本来は実力を十分発揮できるはずの状況下にあるのに実績どおりの実力を発揮できていないのであればそれを疑う必要がある。

 

●清水隆行

今年の成績(かっこ内は外野手31人中の順位)

打率0.216 (28位)

出塁率0.275 (27位)

長打率0.302 (28位)

OPS 0.576 (28位)

打席/XR 0.075(29位)

実績があるといえる清水隆行にしても、今年のあまりに急激な落ち込みようは異常である。また年齢を考えれば復調するだろうと安易に期待するのはちょっとリスクが高い。

またMixiコミュどでもそういう意見が散見されたのだが守備能力から原監督に敬遠されて出場機会が少なかったためにに今年は成績が落ちている、しっかり起用すれば彼ならば活躍できるはずだと勘違いしている人が巨人ファンにすらいるようだ。

清水は今年の外野手陣の中で出場試合数は最多、打席数は高橋・矢野についで3番目。鈴木より清水の方が使われての今年の結果である。

今年のレギュラー外野手を3人上げよといわれれば、高橋由伸・矢野謙次、清水隆行である。シーズン終盤の鈴木抜擢とマスコミの脇谷・鈴木コンビの持ち上げで勘違いする人も多いかもしれないが、鈴木抜擢の前までは清水はレギュラーとして起用されていたうえでの今年の結果である。

つまり今年の清水には特に怪我もなかったわけだし本人の資質以外の外部要因によって調子を落としたといえる状況にない。

 

●高橋由伸

打率0.260 (22位)

出塁率0.320 (19位)

長打率0.434 (11位)

OPS 0.754 (13位)

打席/XR 0.130 (10位)

 

Mixiのコミュの書き込みなどを見ていると、どうも今年の成績に関しては期待はずれであったとか得点力低下の戦犯のように言われている高橋由伸ですが、逆に打撃データを見る限り、怪我があったにもかかわらずチームに貢献しています。

もちろん本来の彼の能力であればもっと高いところが望めるはずだという事からの発言とは思いますが、彼無しには巨人外野手陣は立ち行かないという現実も知っておくべきだと思います。

XR+に換算すると4.216。これは李承ヨプ・二岡智宏、小久保裕紀につぐチーム4番目の成績で若干ながら阿部慎之助を上回ってさえいます。怪我で計60日間の離脱があった事を考えればシーズンを通しての貢献度を測るXR+でチーム4位の成績を残したのは立派です。っていうかむしろ60日間も離脱した選手より下回っている選手ばかりということのほうが問題ですが。 

なぜ高橋由伸が悪かったかのように勘違いされるのかを考えると、他の指標より打率が悪いからではないかと思われます。

打率という指標は打撃指標の中では得点との関連性は薄くあまり参考にならない指標であるということは最近少しずつ知られてきているものの、 まだまだ知らない人が多いのでしょうね。

今年の成績でも高橋由伸はチーム内最高外野手であるといえるのは間違いありません。問題は怪我です。くれぐれも怪我がないようにして欲しい。

 

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次に若手選手について。

まず断っておきたいのだが、若手というのは最初から成績を求めてはいけない、若手の成長を促すためには、今後の成長を見据えて、我慢して起用しなければならない時期というのも必ずある。

だから今年の成績だけで一概に判断するのは間違っているのではないかという考えもあろう。

特に若手育成の下手な巨人にとって見ればそれを重視して動かなければならないという指摘は多い。

それは正しい。でもそれは何がしか見込める選手の場合であって、全く持ってそういう「見込み」の見えない成績を残している選手の中から急にジャンプアップして使える選手になりました、ってことは過去に絶対ない。

闇雲に年齢だけを基準にして育成すべきだというのは間違っている。急成長する若手には必ず急成長する「キザシ」が過去の結果の中に存在しているのである。

 

●鈴木尚広

打率0.241 (25位)

出塁率0.276 (26位)

長打率0.286 (29位)

OPS 0.562 (29位)

打席/XR 0.080 (27位)

 

彼の場合はセールスポイントが足なので打率.241はいいにしても、出塁率.276があまりに低すぎて、結果的にOPS.562にしか過ぎない。ちなみにリーグ平均出塁率は.328である。

もっと悪いことにリーグ平均の打率と出塁率の差が.050あるのに対して彼は.035しかない。つまり彼にとって最も必要な能力であるはずの「四球を選ぶ能力」が平均以下っていうことだ。
確かに彼の足は魅力的だ。盗塁成功率も素晴らしい。でも盗塁は出塁しなければ出来ない。出塁が少ないのならば、他の選手を出場させておいてここぞというときに代走に出すほうがよっぽどチーム全体としての強化になるだろう。
しかも彼は来年29歳である。1年か2年我慢して使ったとして既に30代となっている。そこで芽が出たとしていったい何年主力として使えるのか、そういう判断も必要だ。

育成のために優先的に強化をしてほしい人材ではあるが育成の名の下にあまりにひいき目でみていられる年ではないのである。 

 

 

●矢野謙次

打率0.269 (16位)

出塁率0.335 (16位)

長打率0.376 (20位)

OPS 0.711 (18位)

打席/XR 0.115 (18位) 

 

今年の結果からすれば来季我慢して使い続けなければならないだろうといえるのは矢野謙次ぐらいである。

その矢野にしても既に今年1年、30日間の怪我離脱がありながら最終的にチーム5位の372打席を与えられている。これを1年(145日)換算すれば469打席であり、規定打席を超えている。

つまり今年既に矢野は「我慢して使い続けなければならない時期」に入っているといえる。

この期間に入ったら、じゃあ今度は結果が出るまで2年も3年も待てばいいってものじゃない。逆にもう結果が出なければこれぐらいが本来の実力であろうと判断されてポジションを取り上げられるっていう危機感を持たせなければならない。

ところが現状の戦力を見るとどうか、今年の成績でさえ上位2番目である。今年の成績でさえチーム内だけの相対評価でみればレギュラーとして起用せざるを得ないのだ。絶対評価で見れば外野手31人中18番目の矢野がそんな評価になっていいはずはないのに。

今の戦力のままじゃリーグ全体の1軍外野手の中で半分以下の成績でも巨人じゃレギュラー取れるって思わせてしまうことになる、この状況で若手に向上心が出るはずもない。チームとしてこれは早急に改善しなければならない。

リーグ外野手の中で上位に入らなければチームのレギュラーとして起用されることはないぞ、っていう「チーム内競争」を促進させなければならない。

まぁこのあたりは本人の問題じゃないので、本人とすればチーム内だけじゃなくもっと広い視点で向上心を持って欲しい。まぁ矢野の性格だったら大丈夫だと思うが。

 

●亀井義行

打率0.206 (30位)

出塁率0.233 (31位)

長打率0.369 (22位)

OPS 0.602 (26位)

打席/XR 0.084 (26位) 

 

矢野に次ぐ若手2番手として名前の挙がるのがこの亀井となる(っていうか2名ぐらいしかろくに若手が残っていない)わけだが今年は全く結果の出ない1年となった。

だがこの亀井に関しては明らかに「キザシ」がある。2軍での成績だ。今年に関しては1軍帯同が多くて76打席しかないのではあるが、2軍の成績では明らかに2軍クラスでないところを示している。

2軍の場合はベースボールレコードブックが出ないと正確な数値が出ないのだが(犠飛とかがわからない)出塁率.487、長打率.739でOPS1.226という明らかにおかしな数値を残している。

 

2軍の場合、1軍クラスで活躍できる多くの選手はおかしなほどの数値を残すものである。

最近で言えば04年にヤクルトの青木は規定打席を越えながら出塁率.436&OPS 0.901を示していたし、吉村裕基も同様に規定打席を越えて長打率.570&OPS.931という成績だった。05年で言えば田中賢介は出塁率.400&長打率.555&OPS.955という成績を残していた。

小田嶋のときにも書いたが、2軍での(好成績程度でなく)「突出した」成績は1軍での活躍の十分条件ではないものの、必要条件であることがほとんどであり、活躍する選手はだいたい2軍ではおかしなほどの数字を残している。

昨年、今年と亀井が2年間で2軍で残してきた結果はこの条件に当てはまっていると私は思う。

 

ただこの2軍では明らかにモノが違う、でも1軍では逆の意味で明らかにモノが違うっていう状況はこの2年続けての亀井の状況である。つまり今年(少なくともデータに現われる範囲では)成長は見られなかったということになる。

あとは解釈の問題なので難しいところなのだが、私の経験上2軍の能力を1軍で発揮できない場合は「明らかなウィークポイント」が存在することが理由であることが多い。

2軍だと相手も育成目的なので速球に強い打者にでも速球勝負するし、内角に強い打者だからといって内角を避けるわけでもない。その練習をする場所だからだ。結局自分の弱点があまり顕在化することがない。

それに対して1軍に上がると、ウィークポイントがあれば徹底的にそこをついてくる。1軍では育成でなく結果を求められるので当たり前といえば当たり前なのだが。

 

具体的に言えば亀井の場合このウィークポイントは変化球の見極めである。追い込まれた後に来るボールになるフォークやスライダーなどの見極めが非常に下手。

その結果としてカウントが若いときやボール先行のときは打てるのだが追い込まれた途端に打てなかったり、見極めが出来ないので四球が少なく、打率のわりに出塁率が少なかったりする。この傾向は2軍でも変わらない。

 

ウィークポイントに対して「修正をする」作業が必要であるわけであるが、今年シーズンを通して1軍に帯同しながらも昨年既にわかっていたはずのそれが修正されていないというのは、1軍に帯同しながら修正することが出来ないのじゃないか、と疑う必要があるだろう。

1軍で育成することには一長一短ある。例えば一流の投手の球を実戦で経験できるということは当然1軍でしか出来ない。

しかし1軍に帯同していると1軍の試合(というかナイター)では練習も含めて12時〜24時ぐらいまでは拘束される上に遠征移動も含めれば「練習」をする時間はほとんどない。

逆に2軍ではほとんどデーゲームなので10時〜16時ぐらいしか拘束されない。その後に練習をする時間が十分ある。またそもそも2軍では1シーズンで100試合弱しかないので練習だけの日も多い。

選手の個性もある、実戦で急成長するタイプもいれば練習で積み重ねることで成長するタイプもある。1軍で育成することが優れているとか2軍のほうが優れているとかでなく、選手の向き不向きがあるということだ。去年・今年の結果を見る限りただ抜擢するだけでなく亀井に関しては一度じっくり2軍で練習させることも検討して欲しい。

 

 

 

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とりあえずこの5名だけあげておきます。

現有戦力評価は改めてするので、他の選手はおいおい追加していきます。

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