岡島投手の新天地での活躍を祝う

  • DIME
    2006年10月05日 01:21 visibility118

今年パリーグ1位通過を決めた日本ハムでは中継ぎ・抑え陣が好成績を収めている。

MICHEALはリーグ記録の39セーブ。

武田久はリーグ1位の75試合登板、これは146試合のセリーグに換算すれば80試合となり去年あれだけ騒がれた藤川と登板頻度は実質的に変わらない、イニング数は藤川のほうが多いけど。そう考えるとこのあたりもっと武田久が称えられてしかるべきだと思うんだけど、それに言及したものはいまのところ見かけないのがちょっと寂しい。やっぱり阪神や巨人以外でもよい成績を残したのならそれをしっかり報道して欲しいなぁ、かりにも「スポーツ」新聞とか雑誌とか名乗るものであるならば。

そして移籍1年目、4月末からの合流ながらチームの大事な1ピースとしての役割を確立した岡島秀樹。巨人ファンとしても岡島の活躍は非常にうれしい。

本人も同じようなことを言及しているが、彼には他球団に比べて周囲からのプレッシャーが桁違いに多い巨人は性格的に向いていなかったのだろうと思う。

 

上の2名に比べてあまり目にしない数字であるためわかりにくいが、今年の岡島は数字から見ても非常に素晴らしい点があった。それが奪三振率の高さ。

岡島の奪三振率は10.37、今シーズンのパリーグで50イニング以上なげた投手の中でもっとも高い数値であるばかりか、イニング数を10イニングまで拡げたとしてもトップである。(なお全体で奪三振率が10を超えた投手は3名、山岸(西)10.30(39.1回)と馬原(ソ)10.21(54.2回))

もちろん先発に比べて中継ぎ以降の投手は三振率が高くなる傾向がある(今年の先発平均6.66に対し中継ぎ平均7.65)にしても先発投手で9点台を記録したのが松坂9.66、斉藤和9.18だけであることを考えれば、リーグを代表する両先発エースと比肩する成績であるといえるのは間違いない。

 

では今年岡島が活躍できたのはこの奪三振率によるものなのかというと実はそういうわけでもない。

岡島が巨人で主に中継ぎを担うことになって2000年以降、6シーズン中3シーズンは10点台、2シーズンは9点台の奪三振率を記録し、6シーズンの通算奪三振率は10.09である。

つまり巨人在籍の頃からそれだけの奪三振率を記録できるだけの能力を持った投手だったわけだ。少なくとも奪三振に関しては彼は巨人時代も日ハム時代も存分に力を発揮している。

 

ではなぜ巨人に放出されたかというとご存知の方も多いと思うが、四死球で走者を溜めて本塁打を浴びる、つまり与四死球率と被本塁打率が悪かった。そして日ハムに移籍した今年、ここに変化が現われ、その結果として今年の好投が生まれている。 

同様に巨人での6シーズンの成績を見ると通算で与四死球率が4.50、被本塁打率が1.04である。

計算するのが面倒なので同6シーズンでのセリーグ平均ではなく、今年のパ平均で勘弁させてもらうと与四死球率が3.19、被本塁打率が0.82となっているが、これを30イニング以上投げた投手に限定するとそれぞれ3.06と0.73になる。

与四死球率&被本塁打率が両方とも悪いというのは、許出塁可能性が高くなったうえにそれを無条件でかえされる本塁打が多くなり、失点の可能性が相乗して増えてしまう投手評価における最悪のコンボの1つだ。

 

散々じらしてきたが今年の岡島その2つの数値は与四死球率が2.47、被本塁打率が0.82である。

被本塁打率は若干の改善が見られるもののこれはシーズン通して1本分の数値差でしかなくそれでも全投手での平均程度、先日示した中継ぎ29名中では22位と悪い方である。「一発病」がなくなったとは言い切れないだろう。

良くなったのは与四死球率だ。こちらは29名中9位と中継ぎの中では比較的四死球の少ない投手といえるまでに改善している。

四死球が減ったことから本塁打を打たれるにしてもそのぶんだけ走者が少ないことになり被害が少なくなる。もちろん本塁打だけでなく安打を打たれるにしてもそこに四死球が絡まるだけで一気に失点可能性は大きくなる。

具体的に言えば単打1本で1点を挙げる可能性は非常に低いが、そこに四死球が1つ増えるだけで1点を挙げる可能性が大きく増加するのは、野球を知ってる人なら容易にシチュエーションを思い浮かべられるだろう。

 

この与四死球率が減った理由についてはいろいろ憶測できる。

フォームを若干修正したのかもしれないし、セよりも振ってくるといわれるパが彼の投球にあっていたのかもしれない、また本人が言っているプレッシャーからの開放も影響していたとしてもおかしくない。

そのあたりは想像するしかないわけだけれども、個人的に言えば被本塁打率の高さも制球力の低さから来ている(失投が多くなる)と思うので「制球力」自体はあまり改善されていないのではないかと思う。そう考えるとセに比べて積極的に振ってくるといわれるパの特徴が彼にあっていたんじゃないかという気がする。

与四死球率の下がった理由は憶測でしか測れないが、今年の岡島の活躍は与四死球率の低下があってこそというのは間違いない。

おそらく来年はパ球団も研究してきて、打者に対して早打ちを禁じ、ボールをしっかり見極めようとしてくるだろうし、来年が岡島の真価が問われる年になるのは間違いない。一巨人ファンとして今年の成績がフロックでないことを示してもらえるか、今から楽しみだ。

 

各球団ごとにチームカラーも違えばリーグの傾向も、かかるプレッシャーも違う。

実力はあってもチーム特性とマッチしていないために今ひとつ結果が残せない岡島のような選手はたくさんいる、福地だってそうだったろう。 彼らに比べれば活躍の度合いは小さいかもしれないが岡島と交換で入った古城茂幸も内野手が少ないという巨人のチーム特性をいかして「守備固め」という1軍での居場所を獲得した。

そういう選手がもっと積極的に他球団で日の目が見られるようにプロ野球全体でもっとトレードが活発になって欲しいなぁと思う。

またトレードの内容にしても今のプロ野球はどうしても実力が今ひとつの選手がトレードに出されることが多い、主力とまでは言わないまでも岡島のような1軍でもある程度実績のあるような選手でも積極的にトレードされるようなそんなプロ野球界になればもっと活性化するんじゃないかな。

 

※本文内で言及している「先発」・「中継ぎ」についてはこちらの日記の設定に基づいています。

http://baseballsns.jp/member/437/diary/3208/

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