ライオンズのジレンマ

  • DIME
    2007年11月07日 16:04 visibility80

【ジレンマ】 dilemma
1、大前提に二個の仮言的判断を立て、小前提において、これを選言的に承認し、もしくは拒否する形式を持つ三段論法。
2、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態。

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私は単純にそういうものに興味があったので小さい頃から論理学の本を読み漁ってきましたが、論理の基本中の基本、三段論法の一種にこのジレンマが有ります。
最近は2の部分だけが一人歩きして使われていることがほとんどですが、タイトルのジレンマとは、1番の方を指します、豆知識でした。
んで話は何かと言うと、西武ライオンズが埼玉西武ライオンズに球団名を変更するっていう話
これがまさに典型的なジレンマだなぁと思った次第、その具体的内容は以下のとおりです。

【大前提】
もし埼玉という地域への密着を図るのならば西武球場の地理的特性は大きなマイナスとなる。また西武が親会社である限り、西武球場から移転する可能性はほぼ無い。
【小前提】
ライオンズという球団は埼玉への地域密着を図ろうとしている。


∴球団は地理的特性のマイナスを許容するか、親会社の変更を図るかどちらかである。



まずは埼玉県という地域の人口分布を説明したいと思います。埼玉県の推計人口はこちらで確認する事ができます。 埼玉県の行政界地図についてはこちらで確認することができます。
ご覧いただければわかるとおり、でっかくあるさいたま市を中心としてその近隣市町村に多くの人口が集中しています。
で、西武ドームがどこにあるかというと、さいたま市の南西(地図上左下)の所沢市の一番奥に有ります。
まず地理的に見て、埼玉全体の中心都市圏とはちょっと離れているのがお分かりいただけると思います。
ただこれが例えば、福岡なら、札幌なら、多少離れていても問題ありません。人の移動手段のメインが自動車ですから。ところが埼玉、特にこの都市圏に住んだ場合は、地方大都市ほど車の使用率が高く有りません、メインは鉄道になってきます。

関東圏に住んだ経験のある方ならだいたいわかると思いますが、西武沿線の半分以上は東京都内です。東京の中心部(山手線)から放射状に広がり、その広がった線が最終的に埼玉の南部にまで延びています。
言葉で言うより図で見てもらった方がわかりやすいと思いますので、こちらをご覧ください。
西武球場の駅はどこかというと、その西武線の再奥に近いところに有ります。
なぜこういう立地条件になったかと言うとちょっとプロ野球史を勉強の方はご存知でしょうが、かの堤氏が東武の日光、小田急の箱根のような沿線の先に集客スポットが欲しいと考えて、その為にそもそも球団を買収してあそこに球場を作ってと言う話になるんですが、話が脱線するのでそれはまた機会があれば。
つまり、そもそもが西武球場の立地と言うのは、東京都市圏から西武線を使って最奥にある西武球場まで足を運んでもらう(=西武鉄道を長距離使うため金が落ちる)というビジネスモデルの主体となっているわけです。
だからこそ、って言うわけでもないんですが、先ほどの地図をご覧いただければわかるとおり先に示した埼玉県の中心都市圏からは結構乗り換え面倒です。都心部(新宿や池袋)に出てから西武球場に行ったとしても、埼玉県内を乗り継いで西武球場に行っても時間はそう変わらないでしょう。

以上からいえることは、西武球場と言うのは地理的所在地は埼玉県ですが、商圏としては埼玉県では有りません、むしろ東京の方が大きいです。これが大前提で言う、地理的特性の大きなマイナスです。
ところが球団としては地域密着をはかろうとしている。地域密着を掲げることじたいは別に反対する気もないのですが(最近のトレンドですしね)、関東と言うのは行政界を超えて大きな1つの都市圏を形成している節もあるため、そう上手くはいかないだろうなと思うのです。
正直いってうまくいくのか非常に疑問です。それこそ西武球場を捨てなければ埼玉の球団としての未来はないと思うのですが、前述の理由から西武が親会社である限り西武球場の地理特性(西武鉄道を使ってくれる)を捨てるはずもないとも思うんですよね。

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