道作さんの新作記事
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DIME
2007年12月28日 13:32 visibility342
大変な労作の長い記事となっています、それにしても、道作さんもいつも事前に言ってくれないんですから、反応が遅くなったじゃないですか(笑)。
とはいってもこっちでは夕刊フジは売られていないのでどうしようもないのですが。
「ラミレスに落とし穴…野球解析で巨人補強を丸裸(上)」
「内野陣、脇の甘さ…野球解析で巨人補強を丸裸(中)」
「100勝どころか…野球解析で巨人補強を丸裸(下) 」
記事は上記のリンク先をご覧ください。携帯の方は・・・あとでどうにかします。
書かれている内容のうち、RRF、つまりリラティブレンジファクターに関しては私はまだ勉強中なので数字的にどうこうというのはなんともいえません、他の部分に関しては基本的に記事に出ている数値とその予測は順当なものだろうと思います。
ただ、数字がどういうものであろうとも、それをどう加工するかによって、黒にも白にも出来ます、夕刊紙の記事なんでどうしても批判的というかセンショーナルな記事にしなければいけないですからこういう書かれ方になるのはやむをえないでしょう。
私から言わせれば「補強があって、その後にこれらの数字を持ってみてみるとその補強に疑問符が付く」というのは順番が逆だろうと思います。
「これぐらいの厳しい戦力予測を持っているからこそ、このシーズンオフも積極的に補強に動いている」とみなす、それが自然でしょう。
まず、第一に谷佳知は総合指標から見れば決して高い評価をすることの出来ない選手であること、このあたりは既にラミレスの獲得について日記を書いたときに私も言及していたのを覚えていらっしゃるかと思います。
記事から抜粋すれば「もともと『XR+』が低い打者。できすぎの今季でも5だった」と評した上、「『BABIP』(グラウンドに飛んだ打球が安打になる確率)の影響が強い選手は、統計的に成績が安定しないが、谷はその典型」という部分です。
BABIP(或いは被BABIP)に関しては、個人的には選手個人の特性の発現とみなすのはちょっとまだ不確定な部分があるかなと思いますけど、総合指標では低く出るタイプだというのは同感です。その理解の下、「谷は十分な戦力となる」と判断をせずに、「外野手はより強化しなければならない」とシーズン終了後には考えることが可能でしょう。
谷は計算できないとの前提があればホリンズ解雇していますから期待できる外野手はヨシノブのみ、そう考えればそもそもまず「外野手の補強」に疑問符は付くはずもありません。
実際のところラミレスも同じような傾向があるのですが、数値的には谷よりはまだマシです。人的補償や新外国人の安定度を考えるとラミレスというのがトータルで福留の次善の選択肢でしょう。
記事では谷は非常に危ういと書いていますし、私もそれは同感ですが、にもかかわらず彼が中堅で使われている前提で書かれている、これはおかしいと思います。
巨人には谷しか選択肢が無いわけでは有りません、谷佳知が危ういのであれば、やはり巨人は谷以外の選択肢を使ってくる可能性があるということも考慮して予測すべきです。
セカンドに関しても、書かれている通り絶対的に見れば問題があるとは思いますが、同時に二塁手難というのは巨人に限った話ではなく、球界全体の話です。比較的に見ればまた評価が全く変わります。
例えば後で詳しく説明しますがXR+の項ではセカンドに-18という評価をされています。リラティビティの観点から見て単純比較はあまり適さないのですが、それを踏まえた上で敢えて言いますと、例えば今年のセ・リーグで言えば
荒木= -19.69
東出= -17.06
関本+藤本= -20.00
これに対して
木村拓+脇谷= -12.91
ってな感じです。数値としてはどうしても低いですが、全体の二塁手難の中で見ると、非常に優れた結果を残しているといえます。
絶対的にはともかく、相対的に論じればセカンドで−18というのは許容範囲というか、下位指名の選手にベテランの選手での数値ですからそれぐらいで上出来でしょう。
来年に目を向けて考えて、他の補強との兼ね合いも有りますが脇谷亮太に見切りが付くようであれば、早稲田の上本を考えるというのが今のところの最善策ですかね。
今年の藤村大介はたぶんセカンドでしょうからそっちが順当に育てば数年はどうにかこうにか繋ぐという手も考えられるでしょうけど、どれだけ彼が打てるか未知数ですからね。走れても守れても絶望的に打てなきゃ結局は無理、鈴木尚広のように。
やはりこのあたりを考えるとまだ若いゴンザレスですから、ある程度漬け込むつもりで保有したままにしておいて欲しいかなと思うんですよね。
んで、あと「XR+」の数字をもって予測していますがこのXR+という数値がどのようなものなのかという部分が少し説明不足かなと思います。
記事では以下のように書かれています。
(捕)阿部=15
(一)李=18
(二)木村拓(2/3)&脇谷(1/3)=-18
(三)小笠原=28
(遊)二岡=4
(左)ラミレス=15
(中)谷=-8
(右)高橋由=22
これを合計すると、+76です。この数値が大きいのか小さいのかという部分の説明が全く有りませんのでこれが高いのか低いのか判断できないだろうと思います。
なので参考までに、今年のセ・リーグ各チームのチームXR+を出しておきます。自前の計算なのでミスがあるかもしれませんが、ご了承ください、算定の基となる平均XRは野手のみの平均を用いています。
再度の繰り返しになりますが、年度の違うシーズンの数値を単純比較するのは多少問題がありますのであくまで参考にしてください、たぶん補正掛けてもほとんど変わらないと思いますけど。
巨人=+90.04
ヤクルト=+18.36
中日=+6.72
横浜=-18.03
広島=-30.99
阪神=-66.11
です、これで比較が出来ると思います、もちろん上記の選手だけで全てをまかなえるわけでは有りませんので、他の選手が出る分だけ多少の増減が有ります。
それも付け加えておきますと、もし仮に今年の巨人のXR+を上記にある9人(ラミレスの代わりにホリンズ)だけの数値で算出すると、90.76、脇谷まで除くと92.60です。
今年の場合は主力の離脱という観点からすれば理想的な部類に入るでしょうから、一般的な年度であればもうちょっと低下幅は大きいと思いますが、その幅も何倍とまではならないでしょう。
これらの数字から見れば、+76というのがどういうものなのかというのが自ずと見えてくると思います。
道作さんも書かれている通り、「補強したからこの程度で済む」のが実態です。
これら総合指標の知識があって、冷静に計算する能力があれば、シーズンが終わってすぐに「補強が必要な戦力なのかどうか」と考える段階で「大きく補強をしなければいけない」と誰であっても結論付けられます。
その結果がこのシーズンオフの補強です。巨人はなんら間違ったこともして無いし、自分たちの“実力”を見間違ってもいない。
現在の戦力が若い選手が少ないとか、劣化することが避けられないとか言うのは問題ですけど、じゃあそれを改善するために20代半ばの主力選手をポンっと用意できますか?今の制度ではそれは出来ません、私はそれが出来る制度になるべきだと思いますけど、それはまた別の話。
出来ないことを問題視しても結局は出来ないだけです、解決できないのであればそもそも問題視する意味が無い。それよりも解決できる問題を探し出してそちらの解決を図るのが球団に求められるべき能力です。
「劣化」に対して今出来るのは数年先を見据えて若い選手を指名し彼らを地道に育て数年後にそういう「劣化」が避けられるようなチームになっていくということです、それは今年も十分に出来てるでしょ、それ以上のできやしないことを求める気は私には毛頭有りません。
ま、なんか質問が出てたんでそのついでみたいな感じですけど、私の場合は来年はどうなる?というのはこういう指標とにらめっこしながら考えてます。
RRFは早く勉強しないとなぁ。The Fielding Bible、まだ買ってないんですよねえ。既に本だらけなのに。。。
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