鈴木氏の週ベコラム連載終了

  • DIME
    2007年02月22日 16:52 visibility76

前にご紹介させて頂いていたコラムですがついに終わってしまいました。
来週から週ベどうしよう・・・・どうせ買うんだろうけど、どうせ選手情報以外に見るところがほとんどないのよなぁ。今でさえざっと見終わるのに30分もかからない・・・・・

さてコラムの題名が「60億を投資できるMLBのからくり」だったわけですが(【宣伝】これは3月中旬発売の訳本の題名でもあるそうです【宣伝】)、最後のコラムを見た時にその「からくり」がなんだったのかについて個人的にはちょっとわかりにくかったなぁと思います。まぁたぶんそのあたりは本で詳しく書かれているんでしょうが。
なので私が考える「何故この10年でMLBとNPBの収益力に差がついたか」について書いておきたいと思います。
以下の内容に関しては同コラムを読まれていない方には説明不足になるかもしれません、先にその旨釈明させていただきます。

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コラムで何度か触れられているとおり、この10年間、NPBの市場規模が1200億円で横ばいだったのに対してMLBは1680億円→6120億円となりました(数字は推定、コラムより引用)。
この10年間の成長の差によって「60億が投資できるようになった」、つまりMLBの「からくり」とはこの10年間にMLBが行ってきた活動だといえます。
ってここまでは既に鈴木氏もコラムで触れられています。じゃあ具体的にMLBが行ってきた活動というのはどういうものなのか。これを「オン・フィールド」での活動と「オフ・フィールド」の活動の2つに分類して説明されています。

「オン・フィールド」の活動というのがいわゆる「戦力均衡すれば面白い」という考えに根ざしてきた活動です。具体的に言えば収益分配制度や課徴金制度などです。
ただコラムでも触れられていますし、私も前に説明しましたがこれらの制度はこの10年間しっかり機能していたとはいえません。
これは数字からも実証されています。2006年度のMLBのチーム別総年俸を見ると、総年俸首位のニューヨーク・ヤンキースは約1億9466万ドルであるのに対してフロリダ・マーリンズが約1499万ドルで10倍以上の差があります。
とは言え総年俸はこの2チームが上下に突き抜けているので2位〜6位までと25〜29位までの数字を出してみると以下のようになります。

上位5球団
 1,2009,9824
 1,0347,2000
 1,02750667
 1,01084963
   9844,7187
平均:1,0517,0928
下位5球団
 5603,1500
 4729,4000
 4671,7750
 4123,3000
 3541,7967
平均:4533,8843

2位〜6位の5球団の平均 ÷ 25〜29位の5球団の平均
 = 約2.32倍

参考:週ベ1/29号 P.31 USAトゥデー調べ

ちなみに今年度(福留が未確定ですが)のNPBの場合ですと、1位は巨人の40億8286万円に対して12位は楽天の17億2810万円となります。その差は2.36倍にしかなりません。
ここから今のMLBは上下の突出したチームを除いても金銭的均衡は現在のNPBとほとんど変わらないほど不均衡であるといえます。
つまり、MLBがこの10年間で市場を拡大した理由は少なくとも金銭的均衡においての戦力均衡が達成された結果ではないということがお分かりいただけるかと思います。

もちろんMLBはより戦力均衡を志向したモデルへの変換をはかっていますし、戦力均衡は繁栄に繋がらないと結論付けるのは早計ですし、たぶん間違っていると思います。
現時点でわかっているのは戦力均衡が反映に繋がる可能性はありますが少なくともMLBのここ10年の発展には無関係ということ。或いはもし戦力均衡が必要だったのだとしても、現行のNPBと同程度の戦力均衡で十分発展できたということ。

この点からもNPB再編問題において語られる「戦力均衡さえすれば繁栄に繋がる」という主張はただの都市伝説に過ぎないことがお分かりいただけるかと思います。
何度もいっているとおり戦力均衡というのは繁栄を目指すための1つの選択肢にしか過ぎません、それだけで繁栄することもないし、それを必ずしなければ繁栄がもたらされないものでもないのです。
またMLBの成功を参考するにしても、成功理由は「戦力均衡」という部分以外にこそ求める方が自然です。この10年の成果は金銭的均衡が達成された結果ではないことだけは間違いありません。
もし金銭的均衡が繁栄に繋がるかどうかという可能性を見るのであればむしろ新労使協定のはじまるこれからの結果にそれを求める方がいいでしょう。

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上記の内容で「オン・フィールド」での活動があまり成功してない=戦力均衡に繋がっていないことがお分かりいただけたかと思います。
でもMLBは10年間で大きく市場規模を伸ばしました。ということはどういうことか「オフ・フィールド」の活動の成功によって市場規模を伸ばしたのです。

今NPBが復活のために参考にするべきはこっちです。
これまで「ほうっておいても客は来る」、「試合さえしてれば視聴率が取れる」という環境の中で殿様商売だったのがNPBの現実です。MLBもそうでした。
マーケティングなどに基づいてしっかりと顧客分析を行い、需要を見極めるという客商売として当たり前のことを当たり前にすることが今NPBに一番必要な部分ではないでしょうか。
にも関わらず何かあればオン・フィールドの活動ばかりを取り上げ、そこにだけ原因を求めている現在のマスコミや一部球団の活動には危機感を覚えます。

「何故この10年でMLBとNPBの収益力に差がついたか」
私の答えは「プロスポーツの商業性の追求に差があったから」です。
先日T31さんが日記で書かれていましたが、このような視点からの追求が大事だと思います。

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