【巨人】 戦力外選手を振り返る その1
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DIME
2006年10月04日 02:37 visibility2446
その1としたのは、現時点でまだ戦力外選手が増えると報道されているからです。
とりあえず先日戦力外と発表された9選手についての話です。
【投手】
佐藤宏志
伊達昌司
南和彰
【捕手】
原俊介
【内野手】
黒田哲史
大須賀允
【外野手】
十川雄二
【育成選手】
平岡政樹
横川雄介
佐藤宏志
とりあえず、解雇が発表される前に自分の書いていた文章は以下。
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今年は4月に登録されたら急性胃腸炎で登録抹消、5月〜6月中旬に再昇格していてまずまずの成績を残していたものの復調してきた前田幸長と入れ替わるように2軍に戻されています。目立った成績は残せていないのが実情でしょう。
ただ巨人は左腕を年齢順で見ると工藤・前田・野口・高橋尚(32)・佐藤宏(30)・内海(25)・林・深田・(山口)・辻内となっていて若手とベテランの間に年齢層が大きく開いています。いま佐藤宏を切るとこの「断絶」が数年後に響いてくる可能性が高いです。
同じ「2番手中継ぎ左腕」の位置を争う前田も今年調子を崩したこともありましたし年齢的に来季以降も安泰とは言い難い。なので佐藤宏本人には右打者という課題はあるものの1軍でも三振を奪える実力はありますから、上のベテランが抜け切って下の若手が目処が立つまでもう数年は確保しておきたい人材だと思います。
もちろん前田を獲得したようにベテラン左腕を獲得することでこの「断絶」を防ぐ手もありますがこれは獲得してから考えればいい話だし中継ぎ左腕というのは中々FAやトレード市場にでてこないので、とりあえず現有戦力の中で考えれば佐藤宏は絶対評価以上に相対評価の高い投手であるといえます。
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今回の解雇選手の中で一番疑問符がつく選手がこの佐藤宏志であるのは間違いないでしょう。正直私も最後まであるとは思っていませんでした。
改めて今年の成績を見てもどこに切られる要素があったのかが今ひとつわかりません。佐藤宏志に関しては別の日記で改めて振り返りたいと思います。
伊達昌司
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去年日本ハムより金銭トレードされてきた伊達、1軍では結果が残せなかったものの2軍では抑えを担って活躍しチームで唯一のリーグ表彰選手(最優秀救援投手)になりました。2年目の今シーズンは抑えはともかくワンポイントを中心とした中継ぎもあるかなぁと思っていました。
しかし蓋を開ければ1軍登板はなし、2軍でも去年の半分以下のイニングと完全に構想から外れてしまっているようです。確かに前田・豊田とベテランの中継ぎ・抑えタイプが存在し高橋尚も抑えにまわっていてこれ以上は1軍登録での中継ぎ・抑えの6人枠をベテランで占めてしまうのは長期的視野にかけています、現在の巨人のように若手が多いのならばなおさらです。さすがに去年2軍でよい成績を残しているとは言え、前田・豊田・高橋尚あたりと比較すると力不足なのは否めません。
結局は豊田のFA移籍によって1軍での席があぶれてしまったのかなって気がします。尾花コーチがその最終枠を「若手枠」と考えているのも彼にとっては痛い所です。
実力云々というよりもチーム事情が彼の居場所を奪った気がします。そういう意味では最初に選択から外しましたが「タイプの被る(特定の誰かと被ったわけじゃないが)選手」であるといえるかもしれません。
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伊達に関しては彼の成績どうこうではなく純粋に巨人の編成上彼の居場所がなくなったという感じです、巨人投手陣の現在の異常なまでの若手への偏りに押し出されてしまいました。今年も2軍で見ていますけど実力は最優秀救援投手になった去年と比べて今年がそう劣っていたこともなく、まだまだ十分1軍でもやっていけるだけのものはまだあると思います。
ただ彼はデータを見ると、1・2軍に関わらず奪三振率が4〜5点台と中継ぎ・抑えをする投手の成績としては非常に低い部類で、「三振の取れるピッチャー」でないことは明白です。その点が中継ぎ投手として戦力計算するにはマイナスになっています。
そのこともあって使いどころが難しい投手ではありますがうまい役どころを与えれば十分活躍できると思います。投手陣の薄い他球団で活動してもらうのは本人にとっても球界全体にとっても幸いなことだと思います。
南和彰
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04年に入団して今年が3年目、山本投手の話でも書きましたが大卒選手が一気にふるいにかけられるのがこの3年目でここを抜けるかどうかがとりあえずプロ野球選手の第一関門といえます。
南投手の場合は3年間で59試合129回1/3登板で自責点82、奪三振率が4.63、与四死球率が6.05とどうも今ひとつ傑出したところを見出せないというのが非常に厳しく、特に与四死球率は悪い部類に入るでしょう。
絶対的評価ではそう悪い成績を2軍で残しているわけではないのですが、むしろこの3年間で大きな変化や改善が見られない、どこか一つだけでも1軍レベルだなと思わせるような数値が見当たりません。今の実力ならば2軍レベルならばずっとやっていけるとは思いますがそれと1軍でやれるかとはまた別です。
2軍の場合は目の前の試合で悪くない投球をしていてもそれが契約にいたるとは限りません。このあたりが2軍を中心に見ているファンが「悪かったわけじゃないのになんで解雇されるの」って思う原因なんですが。
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これは巨人に限った話じゃないのですが、どうしても現在の2軍は試合数が少なすぎるので抱えている投手・野手全てに十分な出場機会を与えることが出来ません。特に下位指名の選手には顕著です。
じゃあ最初っから与えられない選手がいるのかといえばもちろんそんなことはなく、(怪我などなければ)どこかで必ず優先的に与えられるときがあります。
そうなってくると後は運になってきてしまって、その与えられたときにどれだけ結果を残せるかで目に留まってしばらく見てもらえるか、そこで終わってしまうかが決まってきます。
この南和彰の場合は大卒選手の常として1年目にその機会が設けられました。63回1/3を与えられましたがめだった成績を残すことが出来ず、1年目の成績は防御率4.83、奪三振率5.68、与四死球率5.83、被本塁打率0.99 というものでした。
この与えられたチャンスで自分を評価してもらうときに、いけないのが「平凡」であることです。例えば四死球も多いけど奪三振も多いような投手は、四死球を良くすれば化けそうだなと将来が描けますから期待が生まれます。規格外の体格を持っていればそれだけで特別に思わせられます。
それを考えたときに南和彰の1年目の成績はどれも及第と落第の中間のような数字です。もうちょっと三振がとれてもうちょっと四死球が少なくてもうちょっと被本塁打が少なくて。。。。。
別の言い方で悪く言えばプロより1段低いレベルで既に完成されている、ともいえます。こういう投手はこれからの伸ばし方が見えないということでプロではあまり歓迎されません。
ただやっぱりこういう判断をするにはたった1シーズンのチャンスを与えるのが精一杯という今の日本の2軍の現状には深く懸念を覚えます。
結局南の場合は2年目・3年目も奪三振・与四死球・被本塁打の全てで改善が見られません(むしろ悪化)でしたが、でももっとイニングを投げさせてもらえていればどうだったんだろうと思わずには居られません。
こういう選手が一人でも少なくなるようにせめて3軍ぐらいまでは組織されて2・3軍あわせて160試合ぐらいは(今年は93試合)欲しいと思います。
原俊介
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原俊介は捕手登録ですが1軍でも2軍でも実際は1塁手として出場しています。にも関わらず捕手登録のままなのは緊急時に捕手もできる原がいれば、ベンチ入りを捕手3人制にしても事実上は野手扱いの原を1人加えることで控え選手に余裕ができるというメリットからでしょう。特にこの恩恵が大きく受けられるのは原をDHで起用した場合です(2人の捕手が退場した後でもDH解除→捕手起用、が可能であるため)。しかしながら今年の交流戦で原はDHとして起用されましたが、DHを中心に起用されたにもかかわらず、(打席数は少ないものの)19打数3安打と機会を生かすことができませんでした。
また捕手起用のテストとして6月9日のロッテ戦8回裏の1イニングのみ起用されましたがここでも無死1・2塁から犠打失策をおこすなど捕手としての起用はもう難しいことをさらけ出します。原俊介の名誉のために付け加えればこれは別に原に問題があるのではなくもう何年も捕手としてやっていない選手がいきなり1軍レベルの捕手活動ができるわけないだけであり、チームとしての見識の問題ですが。それはともかくとしてこれで原俊介は「捕手もできる野手」という優位性を事実上失ったと思われます。
また梅田浩が先日練習試合ではありますが1塁手として出場していました。彼は大学時代は途中から外野手をしていたこともあり、原俊介のように半野手半捕手も可能な選手だといえます。個人的にはあまりこのような選手に負担のかかる形は良くないとは思いますが、出場機会を少しでも得させようという観点からすればしょうがないのかもしれません。ちなみに梅田浩の1塁手はすごいぎこちなかったです。
捕手起用も可能という優位性を失い、単純に1塁手として限ってみればイースタン本塁打王経験もある上に彼より若い吉川元浩に比べれは不利は否めません、1軍降格後も捕手として2軍で出場する機会はなくそのメリットを再獲得するチャンスも得られていません。原監督と同じ高校出身ということもあり、贔屓されていると言われる原俊介ですが実際の起用を見るとそうとは言えない現実が見えています。
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原に関しては上記の文章のままで予想通りの戦力外だったと思います。
結局は彼は本人のためにも1塁中心に守らせる時点で内野手として登録を変えておいて欲しかったと思います。
巨人の「1塁手」はFA・外国人が誰かが必ず入ってくるので難しかったとは思いますが、やっぱり「第三捕手兼代打・1塁」というポジションを目指すのでなく1塁手をしっかり狙って欲しかったと思います。もちろんそれを目指すことは「どんな形であれ1軍に定着したい」気持ちと表現することも出来ますが、結局は非常にニッチなポジションを狙っていく中で存在が中途半端になってしまったように思います。
一部の人が捕手としてまだやっていけると勘違いしているようですが、現実には捕手は99%以上無理です、もうずっと捕手としての活動をほとんどしていないはずですから。
話がそれますが、そのあたりにも狙うポジションからして捕手の練習もしていなければならないはずなのにチームから要求されてなかったためにしていなかった本人の甘さも見える気がします。
本気で「第三捕手兼代打・1塁」を目指すならチームにたまに捕手として練習or試合に参加させて欲しいと自分から申し出るべきですし別の時間でやっていて欲しかった。やっていたのかもしれませんが少なくとも私は練習で見たことがありませんし、1軍で捕手として出場したときの惨状を見る限り、その練習量は不十分だったといわざるを得ません。
黒田哲史
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黒田哲史は古城茂幸に奪われた感があります。今年の巨人では3塁手の小久保裕紀の負担軽減のために勝ち試合を中心に後半に守備固めの選手をいれる事をルーティンとしています。シーズン当初はこの枠を黒田哲史が担いましたがこの間あまり良い結果を出せませんでした。6月中旬に古城茂幸が入ったところ、少なくとも黒田哲史よりは良い成績を残して1軍に定着し現在まで1軍登録が続いています。黒田哲史は04年が53打数で0.170、05年が43打数で0.209ですが今年の古城茂幸は9月14日現在で48打数で0.333の成績を残しています。
できれば1年の競合で見極めずもう1年かけて二人のどちらかを見極めたいところですが、黒田が31歳、古城が30歳とベテランの域にさしかかっており、守備固めという重要性の低いポジションの見極めのために中堅の2名を確保して見極めるほどチームとしての余裕はないかと思われます、それぐらいなら若手を1人でも多く入れたいでしょう。今年の時点で判断を下されるのであれば黒田哲史の不利は否めません。
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黒田に関しても予想通りといったところでしょうか。
彼に関しても伊達と同じように実力だけ見ればまだまだ活躍できる可能性があると思います。ただ少なくとも古城茂幸がいる現在の巨人では必要ないということです。
ほんとまだやれると思いますので、新しい球団が見つかることをいのるばかりです。
大須賀允
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大須賀允に関しては昨年までと比べてイースタンで岩舘・長田あたりに出場機会を奪われている点からあげました。実情としてはその2人が優先強化選手に指定されているだけであり、若手内野手と呼べる選手はこの2名だけで今年26歳の大須賀允でさえ3人目な内野手陣の惨状ではほぼありえないと思います。
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まさか大須賀允をここで切るとは思いませんでした。とはいっても今までの通算の2軍成績で見てもけっして良い成績を残しているわけではなく、他の球団であればこの成績なら間違いなく解雇されてると思います。
ちなみに今シーズンまでの2軍通算で打率.245、出塁率で.312。本塁打も打っているとは言え十川孝富以下ですから決して長距離砲というわけでもありませんから、タイプ的にもっともっと率が必要な選手でした。
ただ巨人の場合は上にも書いているとおり大須賀でさえ下から3番目の年齢でした。薄い野手陣をさらに薄くするのは決していい方法ではないと思うのですが、今年はどうしても積極的な解雇理由のある選手が少なかったので大須賀を切るしかなかったのでしょう。
このぶん大学・社会人から野手を少しでも補充しておいてほしいものです。
十川雄二
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十川雄二を選択した理由としては外野枠では亀井義行・矢野謙次という若手の有望株がいる上に現在優先的に起用されている鈴木尚広、西武で一時代を築いた小関竜也、実力どおりの力を発揮すれば球界を代表する選手である清水隆行・高橋由伸と選手層はそろっています。同様の理由は山本光将にもあてはまりますが、若手・中堅の矢野・亀井・鈴木がスラッガータイプでない上にチーム全体として右打者が不足気味である分十川雄二より状況が有利なので十川雄二をあげました。
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育成選手として再契約が予定されてるということなので何とも言いがたいところなんですが、やっぱり選手層が充実する中で十川雄二にまで与えられる余裕がなくなったということでしょうか。
亀井義行・矢野謙次・鈴木尚広あたりの年齢層がちょっと上の外野手がタイプとして被っているのも痛いし、左打ちが多いっていうチーム傾向も痛い。
正直なことを言えば、ここで育成選手として再契約するよりも他の球団の入団テストを受けてみる方が本人のためになるような気もします。
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- 事務局に通報しました。
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