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【巨人】 2つのトレード つづく
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DIME
2006年11月11日 05:42 visibility175
先日の日記では獲得した選手について言及しました。
今度は放出した選手について言及していきたいと思います。
入団
●小田嶋正邦
●谷佳知
退団
●仁志敏久
●長田昌浩
●鴨志田貴司
●仁志敏久は必要?
仁志に関しては既に述べてきたわけで、そのうえもう一回書いたりしたので今更改めて言いたい事はあまりない。
一点付け加えるとすれば、仁志をサードへコンバートをすれば穴を埋めることができるし出場機会を得ることが出来るからそれでいいんじゃないかという意見があった。これについて私見を述べておきたい。
残念ながら仁志敏久の能力はスラッガーとしては並か並以下ぐらいでしかない。サードとして起用するには正直に言って力不足なのである。
2004年にはパーソナルベストの28本塁打を放っているわけだが、これは単純にクリーンアップを打つ打者の本塁打数と比較することは出来ない。打席数が大きく違うからだ。実際この年の仁志敏久は648打席も打っている。
例えば同年チームには30本以上打った打者が4人いたわけだが、ローズは13.4打席に1本、小久保は12.4打席に1本、阿部は13.2打席に1本、高橋は15.9打席に1本のペースでホームランを打っているのに対して仁志は23.1打席に1本打ってこの本数だということになる。
本当に本塁打を打てる打者が1番に入ればソリアーノのように40本以上ぐらいはでないとおかしいのだ。
ちなみのこの23.1打数に1本というのは仁志の通算成績の中でこれでももっともいい数値であり、通算では38.6打席につき1本しか本塁打を打っていない。これは146試合制での規定打席に換算すればそれぞれ19.6本、11.7本となる。これが仁志の長打力である。
あくまで仁志の長打力の魅力はセカンドというポジションにあってはじめて「平均的セカンド」と比べて優れていることになりそこが魅力となる。サードやファースト・レフトのような強打者が居座るポジションの選手としてみれば魅力どころか長打力は不足しているとさえいえるだろう。
彼は「セカンド」という相対評価があってはじめて「長打が魅力の選手」となるのであり、絶対評価でみれば決して長打力のある選手じゃない。本人すらそれを勘違いしていたんじゃないかと本当に残念でならない。
まずはセカンドとして満足できてはじめて長打力が生きてくるのだ。基本は抜けていますけど応用だけは出来ますよって状態じゃあやっぱり使いにくい選手でしかない。
また、横浜への移籍会見を見る限りでもセカンドというポジションに本人は大きなこだわりを持っている事が伺える。
実際セカンドは完全に必要ないにしても他のポジションであれば全くもって利用できる場所がないとは限らなかった(守備固めとか怪我人のバックアップとか)わけだがそれは本人の意思に反した起用だろう。
ならば本人の希望するセカンドでの出場機会を求めて移籍させる。桑田真澄のときもそうだが、現役続行に対して執着のある生え抜きのベテラン選手に対してはその意思を尊重させるのもひとつの親心だし恩返しだろう。
●長田昌浩は必要?
トレードが報道された時点では鴨志田と誰か若手としか報道されず、しばらくたってからそれが長田昌浩であると明かされた。
このタイムラグから見ても読売巨人軍からすればぎりぎりの選択だったことがわかる。「必要か不要かって言われればもちろん必要だが、もっと必要な選手のほうが多かったから長田を出すしかないのか。。。」という苦悩が伺える。
放出に関しては巨人側だけの要求だけで成立するわけじゃないので非常に難しい選択となる。
まずオリックス側から要求されたのは、報道でも鴨志田プラス若手という表現方法だったし「若手野手」であったことが推測できる。 これに対して巨人側は「若手投手」だったのではないだろうか、その折衷として「若手」という表現になったのだろう。
正直言って脇谷亮太がまだシーズン通して1軍ですごしたこともない状況で脇谷に1軍レギュラーを期待するのは非常にリスクが高い、っていうか間違ってる。
まだまだレギュラーが固まったって言う状況ではないし、二岡智宏だってFAの最短取得は3年後だからこちらのレギュラーも心もとない。正直に言えばこんな状況では1人でも多く若手野手が欲しい。
それが現在の内野手、特に二遊間の状況である。
ただそうそう何もかもが希望通りに行くわけでもなくて、まだ来季の見込みで二岡智宏と脇谷亮太と名前の挙がる二遊間より、外野手のほうが悲惨な状況(昨年実績では3名あげることすらできない)にあるというのは前述したとおり。
オリックス側がもし「若手野手」を希望したのだとすれば亀井義行・長田昌浩・岩舘学しか選択肢がない。外野手を埋めるためのトレードで若手有望外野手を出しても意味がない(それなら亀井義行と心中した方がマシである)ので長田か岩舘しか結局選択肢がなかったことになる。たった2つしか選択肢がない。
なんとか岩舘学にしておいて欲しかったけど、阿部&後藤の二遊間が二人とも28歳ということを考えると年齢差からして26歳の岩舘でなく22歳の長田でなければオリックス側の要望=レギュラーの次世代としての若手に合致しなかっただろう。
あとは天秤に載せたときにどっちが重いだろうかってことになるわけだが、これは正答が存在しない問いかけである。2つの問題をできるだけ客観的に評価することは出来るとしてもその2つの問題を公平に比較できる「単位」がない以上ここから先は主観にならざるを得ない。
結局本当はどっちが重かったのかは未来になってみないとわからない。しかも単純に長田がオリックスで活躍して谷佳知が活躍できなかったとしてもそれ以上に脇谷や他の選手が巨人で活躍してしまえばどうせ余る選手だったことにしかならないわけで結局は評価は分かれる。
ただ後出しじゃんけんのようなことを言い出して悪いのだが、私としては「長田は余るよなぁ」と考えていたのも事実だったりする。
二遊間に関して言えば、二岡智宏・脇谷亮太が来季以降の中心として起用する腹積もりであろう。ここにドラフトで坂本勇人が決定済みで、円谷の入団が予定されている。
って事になると来季は1軍では二遊間は二岡・脇谷を2軍では円谷・坂本を優先的に起用することとなり、長田の育成がどうしても後手に回ってしまう。
坂本がどれだけ体が出来ているかは未知数だが、さすがに大卒の円谷に関しては間違いないし、だいたいドラ1クラスの素材があれば高校生でも1年目から2軍で試合には出れるものである。(今年で言えば陽、岡田、鈴木将がドラ1野手だったわけだが、陽や岡田は1年目からほとんどの試合に出場している。)
そして長田の現状は特に今年優先的に起用されながらも逆に去年よりも成績が悪かったことや年齢を考えると育成段階とすればまだまだ「場数」が必要な時期だといえる。にもかかわらず起用の優先順位は低い。そもそも本来ならば今年の優先起用で結果を出していなければならなかったわけだ。
そう考えると長田は「余って」しまう。っていうかむしろこの場合は「足りない」といった方が語弊がないかもしれない。
また年齢を基準としたときに5年後でみれば二岡智宏が35、 脇谷が30、円谷が27で坂本勇人が23となる。二岡に関してはFAを獲得しているので長期編成リストからはとりあえず除外して、順調に進んでいれば脇谷−円谷で二遊間を築きつつ、坂本をそろそろ抜擢しようかというところだろう、2ポジションに3名の若手がいることになる。
もちろん、そうそううまく行くはずもないのではあるけれど、もしうまく行ったとすれば「余る」のである。もちろん「控え野手」としては余ってなどいなくて若手内野手は不足しているのであるが、若手を抱えるのであれば最初っから控えであったりするのではなくてレギュラー候補を押しのけるような若手であって欲しいもの。
長田は今年ちょうど22歳、大学指名選手と同い年である。じゃあ長田を大学ドラフト指名選手としてみてみればどうだろうと考えたときに上位指名の選手と比べたら正直見劣りする。これに関しては巨人が育成に失敗しているということなので恥ずべきことであるが、それと長田の実力は別問題なのでここでは置いておく。
そしてチームでは内野手は最優先強化ポジションである。っていうことはここ2・3年ぐらいはドラフト上位指名選手は内野手が占めてくると考えられる。この時期から来季以降の話をするのは雲を掴むような話だが、現フロント陣に変わって以降基本的にチーム戦力に素直な(足りないところを重点的に補強する)ドラフトをやってくるのでこの点に関しては多分そうなるだろうし、それこそフロント自身が雲を掴む話などでなく事実としてわかっているはず。
たぶんこういう考えがあったんじゃないかと思う。繰り返しになるがあとはこれのどっちが大きな「錘」であるかってことだ。こればっかりは人それぞれだろう。
最後に一つ、長田昌浩は今年私がたぶん最も眺めることの多かった選手であると思う。長田昌浩と山本光将の2名のどっちかであることは間違いない。
正直私だって愛着のある選手だからできることなら残って欲しかったし期待もしていた。
でもファンが応援するのは選手ではない、彼が着ているユニフォーム、球団である。そこに私情を差し挟んではならないと思う。
とりあえず長田には頑張って欲しい。今年の状況から見れば非常に苦しいと思うがチームが変わることがいい方向に作用し、急成長してくれることを望む。
そして今しょうじき非常にむかついているのが「長田のような有望若手を放出するなんて」 という安易な声である。
そう言っているいったいどれだけの人が今年の長田を見ていたのかと思う。今年の長田がどれだけ苦しんでいたのを知っているのかと思う。今年の長田をほんとに見ていれば「有望」なんて枕詞をつけられるはずがないと思う。
外野手のときも言ったけど、勝手な論評は選手を狂わせる、実力以上の評価は自分を見誤らせる。選手本人からハングリーさ、危機意識を奪ってしまう。
「(執筆者の署名もないような)スポーツ紙記事で有望って書かれていた」「夕刊紙で有望って書かれていたから」ぐらいのレベルの知識で有望選手扱いするのはやめて欲しい。本人のためにもならない。
ただ巨人を批判するためだけに、“ベテランを取るためだけに「有望若手選手」を放出した”なんて言いたいがためだけに、そういう記事を鵜呑みにして巨人批判しようとするためだけに、若手の将来にマイナスになることをするのは本当にやめて欲しい。
●鴨志田貴司は必要?
私の評価基準で言えば、今年2軍でくすぶった若手の中で一番面白いと思っていたのは鴨志田貴司である。だから正直驚いたし失望もした。
ただ現有戦力評価で書いたように右腕投手は余りすぎである。鴨志田貴司という選択肢の是非は別として、トレードを行うときに「若手右腕投手」を選択するのはあまりに正しい。
となってくるとあとは「若手右腕投手」のなかでの優先順位の問題である。
じゃあ「若手右腕投手」とは具体的に誰だって話になるのだが、まずルーキーとハワイにいってる4人は除外して考えなければならないだろう。
となると年齢順に考えて
・西村健太朗
・真田裕貴
・鴨志田貴司
・野間口貴彦
・三木均
・酒井順也
・木佐貫洋
・久保裕也
となってくるが、まずこの中で現在1軍戦力になっている久保と西村は除外されるだろう。残りは6名。
次に1軍通算成績の実績で見れば
木佐貫洋:17勝10セーブ
真田裕貴:10勝2セーブ
野間口貴彦:4勝
三木均:0勝
鴨志田貴司:0勝
酒井順也:1勝
となってくるので上の3人が実績としては一歩抜き出ていると考えられる。
現時点での能力としてはあまり大きな差があるとは思えないが、実績があるとないとでは「可能性」があるかないかで言えば実績のあるほうが可能性は高いだろうと予測できるわけでトレード交渉においてはよりいい「カード」であるといえるだろう。
この3名の中の順位だが、まず入団から2年連続でイースタンでのチームの勝ち頭だった三木均は頭一つ抜けていると思う。今年もシーズン途中に2ヶ月近く離脱していながらリーグ3位の7勝をあげている。
本来ならば今年既に三木均は1軍に抜擢されていただろうと思うが、シーズン中の怪我離脱の時期が非常にタイミングが悪く、一番1軍で投手が足りない時期に離脱していた。
結局怪我から戻ってまたイースタンで勝ち始める頃には姜建銘がローテーションに定着し、連戦も減って先発の駒が必要なくなったために1軍で投げる機会は生まれなかった。
次に酒井順也と鴨志田貴司だが今年の実績からすれば私は文句なく鴨志田貴司をあげる。彼の今年の奪三振率14.4という数字はチーム内で頭一つ抜き出ている。
ところが酒井順也に関してはイースタンリーグのダントツのセーブ王だったりする。正直セーブ王って言うのはセーブが付く場面で優先的に登板させている結果としてついてくるものであり、チーム内に1名しか作れないのだから選手比較としては相応しくないと思うのだが、同時に7試合連続セーブなんてイースタンタイ記録もあげていたりするので一概にまったくの偶然と言えなくもない。
客観的に見れば酒井順也と鴨志田貴司はほとんど同列だといえるだろう。
となってくると、結局鴨志田貴司は現在の「若手右腕投手」の中ではもっとも優先順位の低い選手であるとされてもしょうがない。
鴨志田は「絶対評価」で素晴らしい投手だけれどそれ以上に実績のある投手が居る以上相対的にチーム内での立場は低くなる。
「若手右腕投手」を減らすことはチームにとって望ましいっていうか必要とされる作業であった以上、仕方ないかな、っていうのが鴨志田放出に対する私の見解である。
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んでここまで書いてきたわけだが、これはあくまで関係5名を評価しただけであってこれがそのままトレードの評価につながるものではない。
長田のところでもちょっと書いたが「この5名の評価がそれぞれどれぐらいの重さであるか」って言うのがわからない限り結局何ともいえない。
そしてこの部分に関しては千差万別だ。私は両トレードとも巨人側が得をしたトレードであると思ったがそれはあくまで私の見解に過ぎない。
最初にも書いたけど、あとはそれぞれの判断である。その判断をするときに私の見解がちょっとでも参考になってくれればうれしいかな。
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