序盤の雑感(本文)
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DIME
2008年05月06日 16:15 visibility81
えーまぁはっきりいってしまえば、一軍の結果なんてものは30試合かそこらを見て判断しきれるもんじゃないと思っているわけで。ぶっちゃけ今年優勝できると思ってないし。
いつものとおり、私の興味は2軍にあるわけですよ、全然情報ないけど。ほんとどうにかしてよあの無意味な公式サイト。
ただ、全体としての数字を見る限りでは非常に良い傾向が出ています。何よりまず若手の起用です。
しばらく前に書いたとおり、今の巨人、特に野手においての全ての原点は2006年シーズンにあります。あのシーズンの結果で「今の巨人には優れた若手など居なかった」という事はとっくの昔に指し示されているんです。
これも前にも言いましたけど、補強するから育たないっていうのは順番が逆です。育つ選手が居ないから補強する必要を感じて補強するんです。結果として育たないのは予測が外れなかっただけのこと。
で、それを受けて、2006年のシーズンオフを起点として巨人の改革は始まっているんです。まぁ2006年シーズンそのものが「起」であって、そこで発生した結果を「承」けて動き出したわけですから、正確にはシーズンからと言うのが正しいと思いますが。
で、前述の日記にも書きましたがそれを受けてどう変わったか。「2006年シーズン時点で所属していたかどうか」を境目にして2軍で起用される選手の顔ぶれがまったくもって変わったんです。
2007年の2軍において、野手の全3457打席のうち1543打席、実に44.6%がその2006年より後に入った野手、つまりルーキーで占められました。
で、今年。5/5現在で全部で949打席、このうち野手の打席は914打席です。このうち556打席が2006年と2007年のドラフトで入った選手です、率にして60.7%。2006年オフに入った小田嶋を足せば、648打席で、70.9%。
付け加えればこの2年で入った捕手は伊集院峰弘しか居ません。2軍の主戦捕手は既存の星、實松、加藤です。なので捕手を除いて内外野手としてみると全部で815打席、そのうち555打席(68.1%)が2年目までのルーキー、648打席(79.5%)が2006年シーズン時点で居なかった選手です。
怪我人さえなければ7〜80%はこの2年に入団してきた選手が占めると書きましたが、藤村大介が怪我離脱していてこの数字ですから十分でしょう。
この2年で、二軍はユニフォームが同じだけで全く別物のチームになったといっても過言ではないと思います。
ここからどれだけ1軍に入ってくる選手が出てくるかはわかりません、プロ野球の世界はそんな生易しい世界ではなくチャンスが与えられる2軍とは違い、1軍とは競争の果てに勝ち取るものです、補強の中の育成以外の選択肢にも躊躇のない巨人であればなおさら。
ただチームとして果たすべき役割はこれで十分果たしていると思います。ここから先は本人の問題です。坂本勇人のように駆け上がるか、脇谷亮太のように与えられたチャンスさえ活かし切れないか、どうなるかは本人の力でしょ。
機会は与えられなければなりません。しかし与えられるものは機会でしかありません、結果はチームでは与えられません。チームが与えられるとしても極僅かで、自分で勝ち取れるものと比べれば何の助けにもならないでしょう。
そして、一年目からこうやって試合に出場し続けられるだけの基礎体力を持っていること、をドラフトでの指名基準として重要視し、かつその見極めがある程度うまくいっている事も評価してしかるべきだと思います。
中井大介や加治前竜一、特に中井大介がチームで打席数が最多というのは非常に良いですね。もちろん開幕当初は内野手が足りずに使わざるを得なかったという事情もあるでしょうが、高卒一年目からほぼ毎試合出続けている、それだけでも高卒ルーキーとしては及第点です。
藤村大介は怪我してしまいましたが、この2年のドラフトで指名した高校生野手、伊集院は捕手なので例外として、田中大二郎、坂本勇人、中井大介がこうやって出場し続けられるだけの体力を持っているという選手をしっかり指名しているというのは、案外難しいことです。
もちろん「出場しなきゃ成長しない」って事もないですけどね。出場することが成長の全てだとも思いません。かといって出場することがどうでもいいはずも無いと思いますけど。1年目から1軍出場した場合を除いて2軍での出場なしでいきなり1軍のレギュラーになる事はまれです。
加治前竜一は大卒ですからそれぐらいの基礎体力はもってくれていないと困りますけどね。
注文を付けるとすれば、四球が極端に少ない選手がいるところですかね、特に田中大二郎。去年はそれほど四球が選べてないわけでもなかったんですけどね、早めに矯正しておいて欲しいものですが。
IsoDで0.100とは言わないんで、0.080ぐらいは欲しいところです、そう考えると選手のほとんどが物足りない数字です。
1軍もそういう傾向が見受けられるんですが、チームとして出塁することの重要性に対する認識が甘いのではないかと思います。
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投手の方は、チームとしての失点率2.96(5/5現在、以下同じ)はイースタンで頭ひとつ抜けていますのでうまくやっていると思います。
疑問が残るのは先にも書いたように、やはり投手の起用方法です。金刃憲人、福田聡志、久保裕也、バーンサイドあたりは1軍での先発候補としてローテーションを組んで先発としての調整をさせるのは正しいです、1軍に備えて2軍では2、3名はこういう投手が必要です。
そっちはいいんですけど、古川祐樹とか、東野峻とかにも先発させているという事、これはいただけない。
せっかく1軍に抜擢としたとしても、2軍で東野峻に先発をさせていたのでは、中継ぎとして使えるかどうかは蓋を開けてみないとわからない、実際1軍では1回だけの登板でうまく使いこなせずに再降格しましたし。
上にあげた時にまず中継ぎから入るってわかっている投手は2軍でも中継ぎとして使っておくべきだと私は考えます。
たぶん2軍首脳陣は1軍ほど日程が混んでいない2軍で、期待する投手に安定して機会を与える為に、プロスペクトはタイプに関わらず先発させるという方針を持っているんだと思いますけど、これは間違いだと思います。
下で先発の調整で投げてきた投手がうえに上がっていきなり中継ぎの調整で投げられるとは思いません、よしんば投げられるんだとしても、同じ調整が出来るなら同じ調整をさせておくに越したことはないでしょう。
そういう目的意識がしっかりしているチームは、上で先発で使うつもりの投手が先発する試合以外は、頭から全員が中継ぎ投手だとした起用をしてきます、具体的に言えば2〜3イニングずつでころころ変えてきます。私はこちらの戦略が正しいと思います。
一昨年かその前ぐらいからずっと書いてることだと思いますけど、この点もいつまでたっても変わりません。先発完投という古い幻想から抜け出せないんですかね。
先発完投というのは守られるべき理想でもないし、伝統でもないんですよ。勝つ方法というのは伝統じゃないんですよ、戦略です。勝てる中で手法を選ぶのは自由ですが、手法を選ぶ為に勝利が蔑ろにされていいはずがありません。
銃が広まったにもかかわらず、銃のない前提で組み立てられた戦法にこだわった武田騎馬軍団が壊滅したように、戦略的大転換があったにもかかわらず、過去の栄光にすがるのは伝統を守っていることでもないし、アイデンティティを守ることでもない。アイデンティティを履き違えているんです、「強い」事が武田のアイデンティティであって「騎馬軍団」がアイデンティティではなかった。騎馬だから恐れられたのではなく、強いから恐れられたんです。
先発完投か投手分業制か、この議論は既に過去のものです、今の結果を見ればもはや議論の余地はありません。今は「分業のバランス」の最適化を目指す時代に入っています。そんな時代に刀で弾丸を叩ききることを目指したいのならばマンガかアニメの世界でも行くべきでしょう。
話が逸れました。1軍ほどではないにしても、5月、6月の時期は週に4〜5試合は組まれています、雨天中止の影響も受けやすいのも確かなのですが、そこまで試合数が少ないわけでもありません。
同じような試合日程で、ロッテや日ハムは出来ているんですから、出来ないはずがない。早く変わって欲しいところですね。
選手個人としては、深沢和帆が手の位置を変えたらしいとか聞いたのですけど、今現在どういうフォームになっているのか見てみたいですね。
上野貴久も春キャンプで腕の位置を下げていましたので、左腕で同じような選手が二人居てもしょうがないという考えもあるでしょうが、2軍で幾ら同じようなタイプが揃ったとしても、1軍で使えるかどうかが本当の問題ですからね、二人ともまだそこに到達していないのですから、被ってるとかどうこう言える水準にありません。
深沢は投手としての年数が短いのでいろいろ試行錯誤するのは悪いことではないと思いますし、上野は横手だった時期もあるのでこちらも変えることが考えなしだとも思わない。両名とも理由はちゃんとあります。
久保裕也は結果だけ見るといいんですけど、公式HPの主観はいりまくりの記事ではあんまり良く書かれていないんですよねえ、判断できません。金刃憲人はあげてみないとわからないかなぁ、2軍では抑えられたとしても1軍でどうかは使ってみないとわかんないタイプだと思います。
古川祐樹、木村正太あたりは良く頑張ってるんじゃないでしょうか。古川に関してはとりあえずルーキーとしてある程度起用されている事だけで評価できます、結果としては奪三振率も低いし、四死球も多い、まだまだではありますが。木村正太は一昨年の良かった頃に戻ったのかな、あの時点では私は東野より木村のほうに面白さを感じていたんで、戻ってくれたのだとすれば楽しみです。
- favorite8 visibility81
- 事務局に通報しました。
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