【サッカー 甲府】 凍えそうな開幕に君は 勝利をどうこう言うの

 締めのコールリーダーF崎くんの挨拶がグズグズになってしまったのは、彼自身がきっとこの勝利を待ちに待ったもの、渇望してもいままで手に入れることができなかったものを手に入れた悦びの発露に他ならないのかもしれない。


 


 長い長いシーズンの始まり。そのシーズン初戦はどのチームもその一年を占う試金石となるのだが、このチームに限って言えばまったくもって当てはまらない。それは、甲府の宿痾というのは大げさか。海の向こう大リーグにはバンビーノ呪いなるものがあるそうだが、それに勝るとも劣らないジンクス。


 



 


 先日、大分でのホームタウンサミットでの懇親会(レセプションパーティー)での席で、栃木サポさんと話す機会があり、その場で、「甲府は開幕戦に勝ったことがありませんから、間違いなく勝ち点1は持って帰れますよ」と声掛け。すると、栃木サポさん「うちは、そういったジンクスを破る何かを持ってますから、甲府さんが勝ちますって」


 謙譲の美徳もここまでくればまるで、ほこ(矛)とたて(盾)。どちらのジンクスが勝つのかこれはこれで見もの。


 そして、結果はかような仕儀となりました。


 


 昨年のダヴィ。往年の切れはまるでなく、その巨体をもてあまし、あまつさえチームの足を引っ張りそれこそ、サポ仲間からは「ダヴィだこりゃ」と悪態をつかれる始末。


 それが、このゲームでの彼の動きと言ったら、流石に札幌、名古屋当時の迫力、瞬発力は見られないものの、あと3㎏落とせば間違いなくあの驚異的な彼が戻ってくるに違いない。彼が今季の得点王となるに違いないとサポーター皆が確信する。


 


 畳み掛けるような攻撃、攻守所を変えての攻防戦はこれぞJ2の醍醐味。サイドに力点を置く栃木に対し、甲府は中央に球を集める。再三両チームともゴールを脅かすものの、得点には至らない。攻撃に関して言えばほぼ完成形となった栃木のほうが一枚上手か。


 ホームでのゴールシーンはやはり小気味よいもの。それが昨年散々裏切られ続けたダヴィから生まれたのはえも言えぬ快感。


 


 選手の厚みも楽しい。堀米・井澤のアグレッシブさは今後使い続けることにより伸びていくであろうし、緊急避難的な登場とは相成ったが、佐々木翔の球際もまずまず。DFが落ち着かないだけに、佐々木の期待大。


 そして、高崎。浦和は良い選手を放出してくれた。その走りはたのもしい。サポ仲間と「高崎問屋町・井野・新前橋・前橋」「安中榛名・軽井沢・佐久平・上田・長野」彼がボールを持つことで饒舌となってゆく。サポーターはある意味鉄道マニア。


 


 曽根丘陵から御坂山地にかけての稜線が雨雲にかすむ。いや、その白さの彼方は雪か。小瀬で雨にたたられるとろくな結果にならないが、今日は違う。


 不可解なジャッジで克ちゃんを人身御供に差し出したおかげか、待ちに待った勝利。


 城福監督の笑みが、ビジョンに大きく映し出される。その中尾巻のマフラーの赤と青が曇った小瀬に明るさをもたらす。


 


 そして続く♪青赤La甲府 J1へ行こう♪のチャント。


 みんな、勘違いしていないか♪青赤La甲府 J1へ帰ろう 青赤La甲府J1へ戻ろう♪であることを。


 


 


 たまには、お茶らけた観戦記でもよいではないか。苦節十余年の勝利であるから。


 


 


 

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