【サッカー 甲府】 欲望のレベル上げればちょっとやそっとじゃ満たせないけれど

 昨年の今頃であるなら、きっと公園内の桜も少しは花開いていたであろうに、今年のそれは未だつぼみかたし。桜のつぼみもかたければ、相手チームも未だつぼみかたしの状態。だからか、ここにきて花守・桜守(監督)を変え、若い功労者(山口新監督)を据えたが、劇的な変化は見られなかった。相手は横浜FC。場所はニッパツ三ッ沢球技場。


 


 日差しは確かに春の陽光なのだが、スタジアム内はここの主(あるじ)のチーム状態を表すべく北風が吹く冷たいもの。


 


攻撃の引き出しの多さはやはり甲府。中盤から流れるようにトップにボールが流れていく。相手DFを翻弄するように、いとも簡単に抜いていく。フィニッシュまでうまい具合につながっていく。ただ、つながりそしてシュートまで持っていくのだが、死屍累々無駄打ちの山を築く。その都度ゴール裏に長嘆息が響く。


 選手が、そしてサポーターが渇望してやまないゴールは、前半終了が近くなってきた頃。


 それは、今日のゲームにて渇望しているだけでなく、チームがサポーターがそしてその選手自身が待ち焦がれていたもの。FW9高崎寛之の足から生まれた得点。


 


 後半に入っても、積極的な攻撃が続く。福田、柏、高崎、そしてダヴィ。放つシュートそれが枠をとらえることができない。


 逆に、横浜FCにダイレクトにつながれ、荻のファインセーブで事なきを得たがひやっとする場面も。


 


 待望の追加点は、やはりダヴィ。綺麗に決まり更なる得点の予感。


 ただ、予感は予感、現実にならず。そのまま長い長いアディショナルタイムを経て試合終了。


 相性の良いニッパツで2-0の完封勝ち。今季初の完封勝ち。サポーターは狂喜乱舞。


 高崎の初得点も生まれ前節山形戦の悪夢を払しょくし、良いリスタートが切れた。心地よい疲労感を持ってニッパツを後にした。


 


 って、満点の論評でこの観戦記を〆るわけにはいかない。


 甲府のシュート数は22本、コーナーキックは14本とどちらも横浜FCの4倍。そのどれもが吹かすだけの、破れかぶれの無駄打ちなら仕方がないが、そのほとんどが惜しいものばかり。1-0でも勝ちは勝ちなのだが、このゲームに関して言えばもっと多く得点できたはず。それこそあと3~5点の上積みができたに違いない。


 それは、横浜FCが勝負をあきらめずに最後まで走りぬいたことで、どこかで得点が入ったらどう転んだかわからないゲームになったかもしれない。言い換えれば横浜FCの連携の悪さに助けられたゲーム。


 だからこそ、もっと貪欲に得点できたはず。


 なまじっか、得点の味、勝利の味を知ったから、そう快楽を知ったからこそちょっとやそっとじゃ満たせなくなっているし意識も肥大しているから。


 


 そして山口新監督、新しいチーム作りが始まる。強豪復活横浜FCの欲望レベルを振り切れるカギをあなたが握っているのだから。 


 


 

























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