シナリオどおりの敗北

谷澤はやはり秀逸なプレーヤーだった。投入直後の小馬鹿にしたようなフェイント。随所に見せた独特のボールタッチ。そして最後の、マーカー(渡辺)を完全に振り切っての逆転弾。お立ち台でのチーム愛に溢れたパフォーマンス。まさに「谷澤劇場」で幕を閉じた。


 さて。

 カターレのサポーターを名乗る限り、今節の終盤は絶対に忘れてはならないシーンとなった。
 1-1のスコア。ロスタイムを4分残し、ヒデのスピードに乗った飛び出しから得たCK。
 もちろん、ここまでも互角に試合を展開していたからこそ、ビッグキリングの予感を漂わせていたのだが…。
 上位相手に劇的な勝利を期待したわたしたちが見せられたのは、まったく意味の無いコーナーでの時間稼ぎだった。しかも、粘り無くこのボールを奪われてしまう。
 自慢にもならないが、この瞬間に逆転される状況が目に浮かび、私はすでに頭を抱えていた。「私たちは勝つつもりはありません、攻めるつもりはありません」と意思表示をしてしまった下位チームが、4分間も耐えられるわけが無い。
 目の前でこの瞬間をみてしまった現地組の悔しさ・憤りは想像に余りある。

 言わずもがなだが、リードしているわけでもなく、最終順位やトーナメント勝ち残りを決める試合でもない。ただ、目の前にある勝ち点「1」を抱え込みにかかった貧乏根性。

 もちろん、一番後悔しているのはこのプレーに絡んだ選手たちだろう。私のもっとも好きなプレーヤーである木本は、今夜は眠れない夜を過ごすことだろう。いや、そうであってもらいたい。私たちはいま、屈辱にまみれた「最下位」なのだから。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。