辻内について、5月8日の全投球アップ

  • 舎人
    2011年05月11日 06:21 visibility1730








ようやく動画が出来上がったので、辻内について色々なことを振り返りながら話したいと思います。

 

昨年の9月以来、今回8か月ぶりに辻内の登板する姿を見ることができました。その率直な感想を言うと、ようやく一昨年の状態に近づきつつあるなというものでした。一昨年の状態とは何かと言うと、ストレートを見せ球にして、変化球で打ち取るという投球スタイルです。辻内は150キロを超えるストレートでガンガン三振を奪いまくる投球をするイメージがありますが、プロ入りして最も結果を出していた一昨年は、ストレートと変化球のコンビネーションによって打者を打ち取っていた投手だったのです。

 

しかし、辻内は150キロのストレートを投げられなくなったのではありません。それに頼ることを極力避ける投球を目指してきたのです。辻内のストレートというのは、重くて相手のバットをへし折るような威力を持っていますが、反面、球速の割になかなか空振りを奪うことのが難しい球質です。もちろん大きな武器ですが、少しでも甘くなると簡単に痛打をされてしまいます。言わば辻内のストレートは諸刃の刃のようなもので、辻内を助けもし、苦しめもするのです。これは澤村などにも同じことが言えると思うのですが、まとまって安定した投球をするためには、このストレートをいかに変化球と組み合わせるかが課題ということです。それを辻内の場合はストレートは見せ球にして変化球で勝負するということに、試行錯誤の末に気付いたのだと思います。

 

ルーキーだった2006年、イースタン初登板で五回を投げて12奪三振を奪った投球は、魅力的ではあるものの、これからどうなるか分からないといった不安定なものでした。力試しにはそれでも良かったでしょう。ところが、辻内が登板を重ねると誰も厳しい球には手を出さなくなりました。そして、苦し紛れに置きにいったような甘いコースのストレートだけを狙い打たれるようになってしまったのです。結局、このルーキー年は3勝止まりでした。

 

2年目の2007年は順調のキャンプインしたかと思ったら、肘を痛めてしまいます。これは予想外に重傷で側副じん帯の損傷で手術を要するものでした。3月の末に手術、そして3年に及ぶリハビリに入ったのでした。

 

ようやく復帰したのは4年目の2009年、辻内は5月の半ばからローテーションの軸となり、イースタンリーグにおいて7勝を挙げました。しかし、その時は先ほど話した通り、完全にルーキー年とは違った投球スタイルに変わっていたのです。投球の半分が変化球というものでした。結果を出し続けただけに、それが辻内の目指すべき方向性だったのでしょう。この年巨人は日本一になっていますが、この年の辻内の活躍は一年後の昨年、投手不足の頃だったら、おそらく一軍に引き上げられていたと思います。

2009年辻内奪三振19連発!




このスタイル変更に、多くの人は故障の後遺症だの、劣化だの言いました。しかしこれは大きな間違いです。辻内は故障による一時的なパフォーマンス低下はあったとしても、球速を出す能力は入団してからほとんど衰えてはいないと思います。色々な箇所をケガしているので、100%高校時代と同じとは断言できませんが、少なくとも肘の手術以降劣化したなんてことはありません。と言うのは、辻内3年目の2008年の8月、ようやく手術から実戦復帰した辻内を見たのですが、私はいきなり150キロのストレートを記録したのを目の当たりにしているのです。本当にびっくりしました。肘の手術とは何だったのか!?それもそのはずです。辻内のやった側副じん帯の再生手術(トミー・ジョン手術)とは球速には全く関係なく、むしろ球速が上がることすらままあるものらしいのです。4月末の日刊ゲンダイに同じ手術をした田沢の記事が載っています。


この手術は巨人では桑田が受けたことで有名ですが、実はグライシンガーもゴンザレスも受けています。



2009年はイースタンのローテーションに入り、7勝を挙げた辻内でしたが、昨年はまたも、故障をしてシーズンをほとんど棒に振ります。キャンプから音信不通になったら、ようやく5月に2試合イースタンで登板します。しかし、それっきりで、その後またも行方が分からなくなります。そして9月の半ばになってようやく復帰したのでした。9月12日のチャレンジマッチ、フューチャーズの一員として登板した辻内は140キロ台後半を連発して復活をアピールしていました。まるでルーキー時のような投球です。しかし、これはストレート一辺倒の投球でした。おそらく、自らのパフォーマンスを確かめるための登板で、実戦のための登板ではなかったのではないか。勝ち負けを気にせず登板したルーキー時のような登板ではなかったかと思います。

辻内祟伸 2010年9月12日




あまり知られていないのですが、このチャレンジマッチ以降の辻内はこんな感じでした。













結果はともあれ、次のシーズンの先発要員として辻内は期待されていたことが伺えます。そしてオフを挟みキャンプインとなる訳ですが、なかなか辻内の情報は伝わってきません。2月初旬のモバイル報知のG担ツイッターで辛うじてこんなことが書いてあった程度です。



 



その時点では、今年こそ無事にキャンプを過ごしていることが伺えました。



ところが、その後全くの音信不通に陥ります。どうやら足首を痛めて離脱したとのことでした。つくづく期待を裏切り続ける男です。



そうこうするうちにイースタンは開幕したのですが、ようやく辻内は3月23日のチャレンジマッチでフューチャーズの一員として登板したのでした。その後の辻内の登板はこんな感じです。













4月7日の試合を某所でレポしてくれた方はありがたくも辻内の球速を次のように報告してくれています。













また、4月27日の試合のことは翌日の報知新聞の紙面に載り、順調に復帰してきていることが伺えました。











この記事は辻内の球速が130キロ台しか出なかったことのみがクローズアップされた感がありますが、実際は球速をアピールすることよりも、より実戦で戦うことを模索している姿を伝えたものです。具体的な目的を持って練習していることが伺えて非常に安心しました。



さて、ホンダ戦で投げた辻内でしたが、という内容でした。相変わらず四死球が多く、制球に苦しみました。しかし、かつてのとんでもない暴れ馬のような投球ではなく、いい所に行っていながら惜しくも外れたものが多かった感じです。、足の故障の影響からかまだ本来のものではないものの、これは徐々に上がってくることと思います。変化球は抜ける球も見受けられるものの、一昨年よりもキレが良くなっています。動画を見比べれば一目瞭然なのですが、上体が以前より沈み込み、どっしりと投げ込んでいることが伺えます。この日奪った三振はいずれも変化球でした。高めに浮いて結果オーライの三振もあれば、低めに上手く決まって奪ったものもあります。これが全て意図した形で決められるようになれば、一軍での登板だって見えてくると思います。







ともあれ、辻内が無事に5イニング見られたことは何よりでした。動画は3日かけて全投球に全て球速表示を付けて仕上げました。えらい大変な思いをしましたが、そのおかげでエンコードをする長い長い待ち時間で色々なことを振り返ることができました。辻内の投球には巨人の若手ファン全員の関心が集まります。試合経過で400以上もアクセスがあったことは未だかつてありません。これから先、辻内がどんな投手になって行くか分かりませんが、一緒に見守っていただきたいと思います。



辻内崇伸 2011年5月8日






















































































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