今年の原巨人で一番問題にしなければならないこと

  • 舎人
    2011年07月13日 00:48 visibility1126

3連勝でいい形で甲子園に乗り込んだものの、得意のスミ1で逆転負け。相変わらず、今年の巨人は波に乗れません。1点ビハインドで迎えた最終回、二死二三塁の一打逆転のチャンスを迎えましたが、これも新外国人フィールズが見逃し三振に倒れてゲームセットになってしまいました。このフィールズはなぜ一度もスイングせずに倒れてしまったのでしょう。能力のあるなしの前に、私にはまだ戸惑いと調整不足の印象が残りました。4日に来日してまだ1週間しかたっていません。しかも、当初は次のカードの15日からスタメンの予定だったのが、今朝の報知では岩田の登板する阪神との3戦目に早まり、さらに今日の試合からいきなりスタメンといった具合に前倒しで起用されたのです。このようにぶっつけ本番で起用されたのではいくらメジャーの経験があるとはいっても、すぐに結果を出す事は難しいでしょう。打てないからと言って責めたらフィールズがかわいそうです。そこまでNPBのレベルは低くありません。起用したベンチの側の責任だと思います。


 


ところで、いつもあれだけ選手の試合へ向けての‘準備’にうるさい原監督が、どうしてこの調整不足の外国人選手をスタメンで起用したのでしょう。そのあたりに今年の原巨人の最も問題視すべき要素が含まれている気がします。先週の日記で二軍から一軍に昇格する選手の基準がよく分からないと話しました。実は私はこのフィールズの起用もこの問題と同じものだと感じています。要するにファームの機能が信用されていないのです。少なくとも軽視されています。当初の予定通り、次のカードまで二軍で調整させてから起用したならば、フィールズだって日本のストライクゾーンや投手の特徴をつかむことができたでしょう。その方が効率いいに決まっています。また、不調をかっこっている小笠原ですが、7番なんかに置いておくよりもファームで調子が上がるまで調整させるべきです。しかし、ファームは全く信用されていない。全ては一軍で始まり一軍で行われなくてはいけないチームになっています。なんだか、いつまでも巨人だけはオープン戦のような戦い方をしているような感じです。これがなかなか巨人が波に乗れない理由であり、選手の士気が上がらない原因ではないかと思います。


 


昨年あたりから原監督は徐々にチームの全てを把握しないと気が済まなくなってしまった感じです。独善的ということですが、裏返せば、他の人の言うことが信じられなくなってしまったということです。そのために若手の育成から不調の選手の調整、外国人選手の把握まで、全て自分ではやらなくてはならなくなった。ファームの機能不全は原監督がファームにまで気が回らないからでしょう。自分の把握していないものはどんな報告があっても軽視されるか後回しにされるのです。それが、ファームが機能していない理由だと思います。ここに一軍昇格のよく分からない基準の答があり、今回のフィールズの処遇の訳があると思います。


 


どうしてこのようになってしまったかを考えると、すべては有能なコーチを放出して、原監督の周りを意見具申のできない子分のような人間で固めてしまったことに端を発していると思います。伊勢コーチや内田コーチを放出し、尾花コーチが去り、最期までうるさく言っていた伊原コーチもいなくなりました。その結果、思い通りのコーチ陣になったものの、なかなか結果が出ません。原監督は徐々にコーチに任せておけなくなり、自分のことしか信じられなくなってしまったのです。しかし、一人の人間の能力には限界があります。多くの事が原監督だけではどうにもならなくなり、監督のキャパを超えたことが機能不全を起こしてしまうようになった。私にはそんな風に思えます。原監督に責任があることはもちろんですが、このようなコーチ人事を認めてしまった清武代表にも責任があると思います。


 


コーチ陣をどうこうするという事はシーズン中には、なかなかどうなるものでもありません。しかし、ファームの機能回復と有効活用は喫緊の課題で、すぐにでもなんとかしなくてはいけません。現場に任せていても改善されないとすれば、それをフロント主導で決定づけるべきです。これまで現場にすべて任せてきて結果が出なかったのだから、フロント主導でなんらかのアクションを起こすべき。ファームで調子のいい選手は調子のいいうちに抜擢する。一軍で結果が出せない選手はいくら実績がある選手でもファームで調子は戻るまで調整させる。移籍してきた選手や獲得した外国人選手の起用もそう。選手の昇降格や抜擢が現場の無計画な思い付きでできなくなるようにするのです。ごく基本的で単純なことのようですが、これができないため混乱しているチームなのです。なんとかしなくてはいけません。


先日、日刊ゲンダイに小川ヤクルトの強さの秘密として、二軍の有効活用があるという記事がありましたが、こういったファームを活かしたチーム運営は大所帯の巨人こそがやらなくてはいけないものだと思います。


 


二軍監督が明かす 小川ヤクルトの快進撃の秘密 (日刊ゲンダイ 平成23年7月9日)


http://gendai.net/articles/view/sports/131444


 


おそらく今オフは成績はどうであれ大幅なコーチの入れ替えが必至だと思います。コーチ陣をどうするかは清武さんの責任が重大です。原監督は以前、三山という球団代表によって意に沿わないコーチ人事を押し付けられ退団までしています。頑固さとプライドの高さは筋金入りです。コーチ陣の入れ替えで清武さんがどのように原監督を納得させるのか注目したいと思います。


 


私は原監督はお神輿の上に乗っかっていれば実に有能な監督だと思っています。しかし、自分で動くと途端に冴えを失ってしまう感じです。来シーズン以降は耳に痛いことをはばからずに言ってくれる優秀なコーチ陣で固め、原監督自らは泰然自若として采配を振るって欲しいと思います。

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