清武さんが解任されて巨人はどうなるか

  • 舎人
    2011年11月19日 05:06 visibility1277
清武さんが解任された。もとより覚悟のことであっただろうし、この声明を行った直接的な原因である岡崎コーチの続投も球団に認めさせた訳であるから、成果がなかった訳ではない。それに今まで噂の段階で、どこまでが本当のことか分からなかった渡辺会長の権力の構造がつまびらかになったことも大きな成果だったと思う。

過去2度の日記で清武さんが守りたかったもの、訴えたかったものを私なりに解釈して話してきました。多くのマスコミが、ただ単に部下が上司に逆らったような報道をしていましたが、この問題はそんなものではない。読売球団という組織の矛盾とそれぞれの職分の在り方について問題提議したもので、コーポレートガバナンスの問題であり、(巨人の内規がどんなものか知らないが)内規に照らし合わせれば渡辺会長のコンプライアンス違反だったのだろう。このことについて渡辺会長側からは何の回答がない。渡辺会長の反論文にも今日の桃井オーナーの会見でも、その組織の矛盾や会長のコンプライアンス違反(内規違反)については何の回答もなく、ただ単に言った言わないという低レベルの問題に話をすり替えている。清武さんは法的措置に踏み切ることを視野に入れているようですが、おそらくこのことを清武さん側は問題点として突いてくるでしょう。そして、それに対抗する形で渡辺会長側は清武さんの取締役としての責任や守秘義務等を突いてくるのだと思います。

その裁判がどのような結果になるか分かりませんが、巨人は今後、嫌が応にも組織の構造を考え直すことになると思う。球団の中のそれぞれの職分がどのような権限をもっているかをハッキリとさせなくてはいけなくなる。渡辺会長がいる限り、オーナーは名ばかり、GMも名ばかり。だったら渡辺会長がオーナーに復帰して、GMなる職は巨人から無くせばいいのだ。それができないのなら、渡辺会長は球団から身を引かなくてはいけない。私は渡辺会長はそこまで巨人のことにこだわっていないと思う。おそらく、一連の問題が終息したら、会長職も球団の取締役も辞めてしまうのではないかと思う。

今回の問題のそもそもの出発点は清武さんと原監督の溝から生まれたものだったのだろうが、今後はフロントと現場の優先順位もハッキリと決めておくことになるだろう。清武さんはフロントは現場より上にあると認識していただろうが、原監督は対等、あるいはフロントは単なる兵站部隊に過ぎないと思っていたに違いない。そのことがいつしか両者に溝を作ってしまったのだと思う。普通に考えれば、フロントは現場よりも常に上でいなければいけないと思う。フロントは5年先、10年先を見据えてチーム作りをしなくてはいけないが、現場は目先の勝利を目指すものだからだ。

それぞれのメンツがあるから清武さんをこういった形で解任しなくてはいけなかったことまでは仕方ないと思う。しかし、彼の守りたかったこと、訴えたかったこと、今まで築き上げたこと、その理念、そういったものを全ては否定できないと思う。検証をして、今後の巨人のためになるものは新たに球団をリードする者が引き継がなくてはいけない。もしも、清武憎しで彼の築いてきたものを全否定するようなことがあったら、巨人は今までにない混迷の時代に突入してしまうと思う。資金が潤沢でビックネームを自由に連れてくることができた以前のような時代には戻れない。巨人も他の球団と同じように知恵と工夫でチーム作りをしなくてはいけないところにきている。そういった時代の1つの進路を清武さんは示していた。それに代わるもっと素晴らしいものを構築できるのなら、清武さんの築いたものを破壊し、新たなものを築けばいい。しかし、誰もそんなことは思いつかないだろうし、新しいリーダーが自分色を必死に出そうとしても、その難しさに躓いてしまうと思う。

清武さんは志半ばで巨人から離れることになってしまったが、巨人ファンは清武さんを惜しむ者とそうでない者の真っ二つに分かれいる感じです。時期を考えず、あんな唐突な方法で声明をしてしまったのだし、ここ2年、戦力を供給するという点で上手く行かなかったのだから厳しい意見が出ても仕方ない。しかし、彼が球団代表になる前を知る者としては今後のことを考えると恐怖を感じてしまう。今回の問題を教訓として今後の球団運営に生かしていけば、そんなに間違った方向に進まない気がするが、何の反省もしなかったり、清武さんの築いたものを全否定するようなことがあったら、年々ヒドいことになって行くと思う。育成もできない。補強に頼ろうにも長嶋さんの時代のように大型補強もできないために、中途半端な補強を繰り返し、やたらと平均年齢が上がっていく。現場は戦力不足を常に訴えてくるため、ドラフトで大物を狙おうとする。しかし、以前のように逆指名がないために、中途半端な即戦力をかき集めることに終始してしまう。そして、組織のトップの思い付きで球団が右往左往している。最悪のリスクシナリオを考えると、90年代の阪神のようになってしまうかもしれない。清武さんがいなくなってからその存在の大きさを感じるようなことが無いように祈りたいと思う。

3.11の前に戻れたらと思う人は多いと思うが、私はそれと同時に11.11の前に戻れたらと思ってしまう。守ろうとしたものは守れたにしても、失うものが多過ぎたよ。これで本当に良かったの?清武さん!私は悲しすぎるよ。

新GMの原沢さんは私と同郷出身という噂を聞いたことがあるけど、どんな人なんだろうなぁ・・なんだか熱意の人というよりもそつのない人のような気がする。清武さんほど独創力はなくても、きちんと信念を持ち、5年先、10年先を見渡せる人であって欲しい。

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