巨人の2015年ドラフトを振り返って(中) 選手各論その1 ドラフト後に評価を上げた桜井たち指名選手

  • 舎人
    2015年12月17日 02:50 visibility2365
前回は巨人のドラフト全体のことをまとめてみましたが、今回は各選手のことをまとめて行きたいと思います。今年は過去最多タイの指名人数でした。内訳だけを見ると左右の投手はもちろん、捕手から内外野まで、非常にバランス良く指名したと思います。しかし、その指名選手たちの面々は、なんだか聞いたことのない名前の選手ばかりで、ファンとしてはワクワクしない、不満の残る結果だったのです。しかし、ドラフト後に1位指名の桜井が神宮大会で奪三振の大会タイ記録に輝いたり、2位指名の重信がリーグの首位打者に輝くなど、実はメームバリューより真の実力に基づいたナイスな指名結果だったのでは!?なんて意見まで聞かれるようになりました。

 前編でも話しましたが、彼らは最終学年に上がるまでケガで離脱していたり、直近のリーグ戦までパットしなかったりで、どうやら評価が追い付いていなかったり、まだ評価が定まっていない選手だった感が強いのです。今回はその指名選手たちが具体的にどんな選手なのかを、各種の資料を参考にして考察して行きたいと思います。最後にプロ入り後の活躍予想を付け加えてありますが、私の勝手な予想ですので気にしないでください。

本当ならこの回で終わりにするはずでしたが、なんと途中で記事のリミットに達してしまいました。今年は指名人数が多かったですし、昨年よりもさらに資料を加えたので仕方ありません。したがって今回は後編の「その1」です。1位指名の桜井から6位指名の巽まで。残りの選手と兄弟型については次回話したいと思います。

野球太郎(ドラフト直前大特集号)2015年9月24日発売
アマチュア野球(ドラフト2015)2015年10月7日発売
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)2015年10月7日発売
野球人(Vol6 ドラフト候補選手最強名鑑号) 2015年10月14日発売
スポーツ新聞各紙 評価は10月22日紙面(報知は21日)、寸評は10月23日紙面
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)2015年10月28日発売
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)2015年11月28日発売

 野球太郎(◎→◯→△→なし)
 アマ野球(AA→A→BA→B→C→なし)
 日刊スポ(特A→A→B→C→なし)
 スポニチ(A→B→C→なし)
 報知(横綱→大関→関脇→小結→前頭1~15→なし)
 サンスポ(A→B→C→なし)
 デイリー(特A→A→B→C→なし)
 トーチュウ(特A→A→B→C→なし)

ドラフト1位 桜井の各誌寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:◯
・どんな選手?/昨年までは好投手タイプのイメージが強かったが、最終学年になりボールの強さが大きく増した。その一方で変化球が抜けることが多く、そこで苦し紛れのストレートを狙う打たれることも少なくない。変化球の精度向上こそ、プロでの活躍を左右する。
・プロでの成功イメージ/威力あるストレートと変化球のコンビネーションが冴え渡り、隙なしの投球でノーヒットノーラン。
・プレーヤータイプ/高崎健太郎(DeNA)
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:B
関西を代表する本格派右腕。クセの無いフォームで安定感が光る。
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
3年春季リーグで90イニング以上を投げ抜いた右の鉄腕。3年の春の大学選手権1回戦(対奈良学園大)では150球を一人で投げ抜いた。140キロ台の伸びのあるストレートに、チェンジアップ、スライダー、カーブを駆使してタイミングを外す。球威があり、球団スカウトの評価は高い。
野球人 評価:外れ1位相当
・4年間の歩み/今春のリーグ戦、同僚・西川大地(4年・180cm80kg・右投右打・高知高)と共に防御率1、2位で0点台。〈好敵手〉との緊張感とぎらせぬ3年半。1年秋から主戦格で投げ、3年秋の2.94以外全て防御率0点台か、取られても1.11。コンスタントな結果が続けられることが能力の高さだ。昨秋までは特にフォームにムラも見えたが、今春は7分の力で〈9〉の球威を出せる〈大人のパワー〉を獲得。差のない腕の振りからカーブ、スライダー、チェンジアップを交えた緩急は本物だ。
・おせっかい進路指導/ピンチのマウンドで〈100%〉が発揮できるからプロで使える。適性は先発。立ち上がりから変化球同士の緩急でカウントを重ねられる技術があって、両サイドも〈ど真ん中〉も使える制球力と勝負度胸。中盤までを任せられる投手になれる。
日刊スポーツ 評価:A
1年秋から頭角現し、3年春の関西学生リーグではMVPをはじめとする3冠に輝いた。制球力、キレともに評価高く体力も◎
スポニチ 評価:A
最速150キロにスライダー、チェンジアップ、カーブなど球種豊富
報知 評価:関脇
2年春から主戦としてフル回転したタフネス右腕。最速150キロ直球に多彩な変化球を操る
サンスポ 評価:B
スタミナに絶対の自信を持つタフネス右腕
デイリー 評価:A
最速150キロの直球に多彩な変化球を交え、バランスの取れた投球をする右腕。3年秋にはU-21日本代表にも選出された。先発タイプで体の強さも魅力。
トーチュウ 評価:A
最速149キロの直球を軸にバランスの取れた投球をする右腕。3年秋にはU-21日本代表にも選出された。先発タイプで体の強さも魅力。
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
MAX150キロで大学通算27勝を挙げ、昨年はU21侍入り。1年目から先発ローテ候補。
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
・どんな選手?/昨年に比べると、見違えるくらい、打者の手元までボールが伸びてくるように変わった。左打者に対するチェンジアップが効果的な一方、右打者に対する投球に苦手意識があり、高めにスライダーが抜けて苦しむ時がある。その悪い部分が顔を覗かない時は、隙のない投球。
・未来予想図/安心してカウントの取れる変化球が身につけられれば、先発で活躍ができるはず。プロでいえば高崎健太郎(DeNA)タイプで、もう一皮むければ面白い。

桜井という投手は高校時代にすでにドラフト候補に名前が挙がっています。2011年の野球小僧によると、コントロールと緩急に優れた先発タイプの投手ということで、鍛え方次第ではエースになれる素材とのこと。評価は◯でした。その時から巨人のスカウトはずっとマークをして来たようです。私はU-21の代表として3年次の桜井を目撃しているのですが、その時の印象はまるで現在打撃投手をしている栂野のような感じに思えた。140キロ届くか届かないかの球速に、カーブを始めとする緩急を使い打たせて取るタイプの軟投派です。しかし、 桜井は3年次と4年次の間で、どうやら大きな脱皮があったようです。このままの球速ではプロ入りが叶わないと思った桜井は、球威を増すことを目的として体重を増やすことに取り組んだようです。1日5食のノルマでアンパンとりんごジュースの摂取によって、体重は75キロから81キロに。それによって球速はそれまでの145キロで頭打ちだったものが、150キロに迫るものになったのだとか。しかし、この体重増加は桜井の投球感覚を狂わせることになったようです。かつての桑田さん、最近では宮國もそうですが、急激な体質の変化は歪みを生むものです。それまではコントロールに絶対的な自信を持っていた桜井は、変化球の抜けに苦しむようになったのです。それがようやく感覚が掴めるようになり、自分の思い通りの投球が出来るようになったのがドラフト直前のリーグ戦だったようです。野球太郎や野球人の評価は正に春季リーグ時点での桜井を評してのことではないか。アマチュア野球や週べは好投手イメージだった3年次までの桜井についてのコメントのように感じます。

桜井はドラフト直前のリーグ戦で大活躍しMVPに選ばれました。さらにチームを全国大会へ導き、東北福祉大戦で神宮大会奪三振タイ記録。その試合をネット中継で見た私の目には、桜井が栂野のような軟投派ではなく、久保を強化したような本格技巧の投手に思えました。投球フォームが流れるようにきれいですから肩ヒジへの負担も少なく故障もあまり起こらないのではないかと思います。スタミナも期待できそうです。1年時からコンスタントに成績を伸ばして来た安定感も好感が持てます。


































































































気になるのはプロ入りしてからの成績ですが、同じ関西学生野球リーグから過去にプロ入りした選手と比較すると、通算勝ち星でも防御率でも、桜井が最も優れているようです。ドラフト時は、事前の評価があまり高くなかったこともあり、どうしたものかと思いましたが、その後の情報や、神宮でも活躍を見るにつけ1位指名に相応しい気がしてきました。1位指名を野手で行かなかった方針には疑問が残りますが、即戦力投手という期待には十分応えてくれる予感がします。もしかしたらルーキーにして二桁近く勝つ可能性もあるでしょう。ただ、先輩の金刃がそうだったようにルーキー時が全盛だったなんてのは困ります。プロ入りの抱負として語っていたように、山本昌さんのように太くて息の長い投手になって欲しいと思います。



































































































ドラフト2位 重信の各誌寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:△
彼がチャンスメークすることで、WASEDA打線は動き出す。広い守備範囲を誇り、盗塁でも相手を撹乱。
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:B
抜群の脚力は大学球界随一。打撃も年々向上し、パンチ力が出てきた。
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
50メートル5秒8の脚力を誇る早大のリードオフマン。4年春はリーグ最多の9盗塁をマークした。打席ではバットを短く持ち、コンパクトなスイングで広角に単打を打ち分ける。早実時代は三塁を守ったが、早大では出場機会を求めて外野手に転向した。3年秋には打率.404でベストナイン。
野球人 評価:なし
コメントなし
日刊スポーツ 評価:B
大学球界屈指のスピードスターで3年秋にベストナインを受賞。巨人鈴木尚のようにスペシャリストになれる足の持ち主
スポニチ 評価:C
50メートルは5秒7の俊足で盗塁技術も高い。打撃は広角に打ち分ける
報知 評価:なし
盗塁技術に優れた50メートル5秒7の足のスペシャリスト。粘りのある打撃も魅力
サンスポ 評価:B
50メートル5秒8を誇る巧打のトップバッター
デイリー 評価:なし
早実2年夏に甲子園出場。スピード感あふれるプレースタイルはアマ球界屈指。脚力は特Aクラス。将来の1、2番候補。
トーチュウ 評価:なし
高校時代は内野手だったが、足と打撃を生かすために外野手に転向。4年春はリーグトップの9盗塁をマークしリードオフマンとして優勝に貢献
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
50メートル5秒7の俊足の持ち主で確実性のある打撃と堅実な外野守備で青木宣親二世。野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
鈴木尚広級の足で魅了
・どんな選手?/快速・強肩の好選手で、東京六大学通算でも3割を超えているアベレージヒッター。この秋からは、強打者に変貌し長打力がついてきた。当てるだけではなく、強く振って、左方向へも打ち返せる。
・未来予想図/スカウトが鈴木尚広(巨人)級と評する走塁を武器に、好守・強打と三拍子揃った選手を目指す。タイプ的には、大学の先輩である青木宣親(ジャイアンツ)が理想像か。順調に成長すれば、10年巨人の中堅手は安泰に。

重信は早稲田実業高の2年生時に甲子園に出場し、タイムリー三塁打を放っています。その頃は三塁手だったとか。しかし、高3のドラフト時には候補としてどこにも名前が挙がっていません。おそらく誰の目から見ても即プロ入りできる選手で無かったことが明白だったことと、進学を決めていてプロ志望届けを出さなかったのではないかと思います。かくして早稲田大に入学した重信でしたが、層の厚い早大野球部です。なかなか試合に出してもらえません。重信はサードないしセカンドの選手だったものの、サードには楽天から指名された茂木がいましたし、セカンドには昨年ロッテから1位指名された中村がいたのです。仕方なしに重信は出場機会を求めて外野に転向するのでした。そうして重信はようやくスタメンで試合に出るようになったのでした。するとシーズンを重ねるたびに成長を見せ、3年秋には打率.404で初のベストナインに輝きました。しかし、4年春は理想のバッティングを追い求めるあまり打撃フォームが固まらず、やや生彩を欠きます。しかし、夏場から秋にかけてひたすらバットを振り込み打撃フォームを固めたのだとか。それまでのミート中心の打撃からパンチ力も兼ね備えるバッターに成長したのです。

私は巨人の2位指名は東海大菅生高の勝俣ではないかと思っていました。今年の高校生野手の中ではピカイチだと思っていました。3位指名以下ならプロ入りお断りなどという宣言は巨人の囲い込みではないかと思っていた。また、勝俣でなかったら、慶応大の谷田を指名すると思っていた。勝俣の魅力には劣るものの、監督になった由伸の直系後輩ということもあり、彼に背番号24を与えれば話題性も十分だと思ったのです。しかし、巨人は2位指名に重信を選んだ。春のリーグ戦までの重信は、どちからというと脚力だけの評価が先行した一芸選手だったと思います。1位指名や2位指名は、レギュラーを期待して指名する順位だと思います。ドラフトでは、走攻守がそれぞれ基準のレベルに達している選手が選ばれる訳ですが、上位で選手を選ぶ場合、その中でも特に重視すべきは「攻」つまり打力だと思う。守備走塁の選手が打力を付けるのと、打力のある選手の守備走塁を鍛えるのとでは、どちらがレギュラーに近いかというと、私は後者だと思うからです。したがって、昨年の岡本の1位指名は理に適った素晴らしい指名だと思ったのですが、今年のこの重信の指名は、大いに疑問を感じたのでした。

しかし、重信はドラフト後にリーグ戦で首位打者とベストナインを獲得し、評価を裏付ける活躍をしました。それまでは一芸選手だと思われていた選手の総合力を見抜いて指名に至ったのだとしたら、正に慧眼に値しますし、私は何も言いません。しかし、実際は総合力を期待しつつも、レギュラーに届かなかった時の“つぶし”を考えていたのではないかと思う。つまり、レギュラーが無理だった場合のことを考えて指名した。上位指名での失敗を怖れ、最低でも一芸選手としてなら戦力になるとして重信は選ばれた気がするのです。3年前の大累の指名も似たような感じで、守備走塁だけは間違いなく戦力になるだろうという“つぶし”の打算があった指名だったと思います。今年は岡本のように、打力だけを評価してでも上位で指名に踏み切るだけの選手がいないと判断したのかもしれませんが、そういった“つぶし”を考慮に入れた指名方針では、小粒な選手ばかりが集まることになってしまうと思う。指名された全ての選手が成功する訳がありません。だから、成功確立よりも、モノになった時のスケールの大きさをもっと重視した指名をして欲しい。重信には指名された以上期待するばかりですが、この指名にはそんなことも思ったりしました。

重信の評価は春の段階までだとしたら△やC評価で終わっていたでしょう。明治大から競合して阪神が獲得した高山が◎や特Aが主だったのに比べると、重信の評価は悲しいほど低いものです。しかし、こと3年秋以降の成績は高山に決してひけを取るものではありませんし、盗塁に関しては比較にならないほどの成績を残しています。秋のリーグ戦終了時に評価されたとしたら、太郎の△も◯になり、アマチュア野球のBもBA程度にはなっていたのではないかと思ったりします。




























































































さて、重信のプロ入り後の活躍予想ですが、先輩の青木に比べると重信の方がやや上の成績だということが分かります。どうも東京六大学リーグの選手というのは話題性があって上位指名されている選手が多いものの、それほどの活躍をしていない印象があります。そんな中で青木の存在は異質な気がします。重信のプロ入り後の活躍は自分次第だということだと思います。青木のようにプロ入り後何段階もレベルを上げ首位打者や20本以上の本塁打を打てるような凄いバッターになるのか、話題先行でいつの間にかその他大勢に埋もれてしまった先輩たちのようになるのか注目して行きたいと思います。私の予想は将来のレギュラー候補とだけ記しておきたいと思います。




























































































ドラフト3位 與那原の寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:◯
・どんな選手?/長身から投げ下ろす速球も打者に容易に捉えられてしまうなど、まだまだ発展途上。それでも投球の引き出しが多く、試合中にどんどん投球の幅を広げられる対応力、応用力の高さを感じる。単なる素材型では片付けられないセンスを秘めている。
・プロでの成功イメージ/時間はかかるだろうが、段階を追って伸びていき、いずれは1軍で活躍できるまでに育つのではないだろうか。
・プレーヤータイプ/井能翔一(DeNA)
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:なし
コメントなし
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
コメントなし
野球人 評価:2位相当
・3年間の歩み/未完の大器と見ていた。ちょっと違っていたようだ。今夏の予選、146キロに迫る角度十分の速球で三振を奪う豪快な投球から、降雨再試合の翌日は、力をセーブしその代わりスピンを効かせた速球とスライダー、スプリッドで凡打の山を築かせて完封。〈隠〉と〈陽〉ぐらい違った別人のピッチングをやってのけた。結構、技術も持った大型本格派。独特の〈トルネード〉も背中を返すためのグラつきも無く、ひねりをそのまま球威に転化。未完どころか〈完成度〉の進んだ剛腕だ。
・おせっかい進路指導/長身、大型なのにフィールディングの裾さばきが軽いし、三塁打にできる体のスピードもあって、クイックもこなす。不器用さがないし野球が上手い。もちろん体力アップは必修科目だが、〈情勢〉次第で「繰り上げ1位」もありうると見る。
日刊スポーツ 評価:C
長身から繰り出す最速148キロの直球は威力抜群、落差あるスプリットとともに三振も重ねる。トルネード気味のフォームも特徴
スポニチ 評価:B
長身を生かした直球は最速148キロを誇る。将来のエース候補の素材
報知 評価:前頭10
スケール感あふれる最速148キロ右腕。今夏の沖縄大会では延長雷雨再試合を連日完投で制す
サンスポ 評価:B
丈夫な体を持つ琉球ビッグトルネード
デイリー 評価:B
トルネード投法からキレのある直球を投げ込む大型右腕。最速148キロの直球に落差のあるカーブが武器。体格にも恵まれ、高い潜在能力を秘めている。
トーチュウ 評価:A
トルネードからキレのある直球を投げ込む大型右腕。最速148キロの直球に落差のあるカーブが武器。体格にも恵まれ、高い潜在能力を秘めている。
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
190センチ89キロの立派な体躯で琉球の“大魔神”。武器は最速148キロ直球とフォーク。
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
意外とテクニカルな投球
・どんな選手?/恵まれた体格をダイナミックに使える。無名校の逸材。しかし、けして素材型とは言い切れない、頭のよさを感じさせるピッチングスタイル。試合が進むにつれ、配球を変えていく引き出しの多さを持っている。
・未来予想図/まずはプロの体力づくりや環境に適応に適応するのには、数年はかかるものと考えられる。また合わされやすいフォームやボールの質を、いかに改善していけるか。将来的には井納翔一(DeNA)のような先発投手に。

巨人というのは沖縄の投手が好きなようで、宮國・平良に続いて右の大型右腕を獲得しました。しかし、単なる素材型の投手ではないようです。與那原の評価を高めたのは夏の予選での投球だったようですが、150キロ近い剛速球を投げる一面と、緩急自在の投球をする姿を、引き分け再試合で披露したことによるのです。剛柔併せ持った好素材といったところでしょう。特に評価の高いのは安倍さんで、野球人の中で「繰り上げ1位指名もあり得る」と言っているほか「素質には藤浪(阪神)クラス」とまで言っています。

大きな舞台で活躍した訳ではないですし、秘めたポテンシャルは素晴らしいものの、鍛えてなんぼの選手ではないかと思います。そういった意味では今年指名された選手の中で最も楽しみな存在です。沖縄の子は心が優しいですし、どうやら一人っ子らしいのが気になりますが、大きく育ってジャイアンツのエースになって欲しいと思います。トルネードだったらやはり野茂さんでしょう。山下スカウト部長は高校時代の野茂さんよりも上だと言っています。活躍予想はすばり5年後に二桁勝利です。

ドラフト4位 宇佐見の寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:◯
・どんな選手?/高校時代は森和樹(元巨人)や船越涼太(王子)とともにプレー。大学入学後に「大きく打て」という佐藤清監督の助言もあり長打力が開花した。二塁送球2秒を切る強肩も武器。大学日本代表にも選ばれ、ユニバーシアードでは3打数3安打を記録した。
・プロでの成功イメージ/持ち味である打撃を最大限に伸ばして、まずは2軍のレギュラーをいち早く掴みたい。
・プレーヤータイプ/日高剛(元オリックスほか)
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:B
故障を乗り越え大学選手権で復活。打てる捕手として注目度は高い。
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
力強いスイングで鋭い打球を飛ばす、プロ注目の打てる捕手。二塁送球は2秒を切るほどの強肩だ。3月の大学日本代表合宿の練習中に左目に投球を受けて3カ所を骨折。2カ月の自宅静養を強いられて春のリーグ戦は欠場したが、秋は復活。阪神など複数チームが注目している。
野球人 評価:3位相当
・4年間の歩み/高校時の同僚・船越涼太遊撃手が現在、社会人・王子でドラフト候補の〈捕手〉に台頭していることについて訊いた時の反応がおだやかだった。もっとガツガツしたところがあってよい。もっと角や牙があってよい。たとえば、ダックアウトからポジションへの行き帰りには若者らしいフットワークがほしいし、ホーム突入阻止の瞬間には〈怒り〉があってよい。真ん中低目のツボにハマった時の長打力や、腰が割れてパワーポイントをしっかり持ったスローイング。光るものはあるのだが。
・おせっかい進路指導/勿体ない。自分の持っている捕手としての才能。使える若手捕手が欠乏しているプロ野球の現状そういうことに気づいていれば、野球が変わってくるはずだ。捕手は実戦でしか上手くなれない。試合に出られる環境でもうひと勉強を。
日刊スポーツ 評価:B
1年時からリーグ戦全試合でマスクをかぶり、ベストナインを獲得し頭角を現した。長打力にも定評のある強肩強打の大型捕手
スポニチ 評価:B
広角に長打が打てる打撃買われ大学日本代表入り。強肩も持ち味
報知 評価:前頭8
大学日本代表の大型捕手。長打力があり、強肩強打。好きな選手は巨人・阿部
サンスポ 評価:B
逆方向への長打が魅力の強肩強打の捕手
デイリー 評価:B
3月の大学ジャパン合宿で顔を骨折し、今春リーグ戦は棒に振ったが、6月の大学選手権で復帰した。全国舞台で強肩強打をアピールした大型捕手。
トーチュウ 評価:B
3月の大学ジャパン合宿で顔を骨折し、今春リーグ戦は棒に振ったが、6月の大学選手権で復帰した。全国舞台で強肩強打をアピールした大型捕手。
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
飛距離と打球の速さがある千葉出身の左の強打者は阿部慎之助に重なる。大学ジャパン。
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
阿部そっくりのムード
・どんな選手?/今年の大学球界を代表する大型捕手で、強肩・強打のバランスがとれている。特に打席での雰囲気は阿部慎之助(巨人)そっくりなのも興味深い。まだまだレベルが高いところで揉まれた経験が少ないため、警戒心が欠けたところを見透かされ、盗塁を許したり、と注意力・集中力などの維持に課題を残す。
・未来予想図/攻守で一軍で通用するまでには数年かかりそうだが、それた誰もが通る道。素材のよさを磨けば阿部の後継者になれる。

宇佐見はかつて森とバッテリーを組んでいたことのあることに巨人とは僅かながらの縁を感じます。ドラフト前は阪神が最も熱心に追いかけていたようです。夏場までだとしたら、今年巨人から指名された選手の中で最も高い評価を受けていたかもしれません。しかし、大舞台での活躍が乏しく、素材の良さを評価されてのもので、プロ入り後の活躍も、本人の頑張り次第ではないかと思います。性格面のことを複数誌でコメントされていますが、これものんびりとしたリーグでプレーして来たことによるのでしょう。

素材の良さが本物だとしたら、後は鍛えるだけです。現段階では河野とどっちが上か図りかねる感じですが、まずは一軍の3番手捕手の座を掴んで欲しいと思います。3年後の一軍定着を予想します。

ドラフト5位 山本の寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:なし
コメントなし
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:B
コメントなし
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
高い身体能力を生かした守りは東京六大学リーグ屈指の技術。守備範囲も広く、高校までピッチャーだった肩の強さも売りだ。今秋は3本塁打を放つなど、パンチ力も発揮している。イケメンの慶應ボーイにはプロのスカウトだけでなく、女性ファンも熱視線を送る。
野球人 評価:5位相当
・4年間の歩み/今年のドラフト候補の打者で、140キロ後半の速球を力負けせずに弾き返せるのはこの選手だけではないか。投球の勢いに臆せず踏み込んでバットを叩きつけていく迫力は文句なしの〈プロ仕様〉。堅さはあるが強さで対抗できる。スイング軌道のバリエーションは増やしたいが、〈合わせる〉だけならハードパンチャーの名がすたる。豪快な空振り見せられるほうが相手バッテリーは怖い。フィールディングだって〈上体勝負〉。少々のタイミング遅れは地肩の強さでねじ伏せる。これだけパワー勝負できる遊撃手は今のプロにはいない。
・おせっかい進路指導/そうはいっても小回りが利いてすばしっこい遊撃手が好きな日本球界。敏捷性を心がけたい。センター返しの意識で振れば、彼のパワーなら左中間長打間違いなし、プロならその線で。
日刊スポーツ 評価:B
俊足と強肩を生かした堅実な守備が売りの遊撃手。打撃でも広角に打ち分ける能力を持ち、走攻守3拍子を兼ね備えている
スポニチ 評価:C
走攻守3拍子そろった遊撃手。即戦力ながら伸び代も十分ある
報知 評価:なし
走攻守まとまった遊撃手。1番打者ながら今秋は3本塁打を放ち、長打力にも磨きがかかった
サンスポ 評価:B
広い守備範囲とシュアな打撃が光る遊撃手
デイリー 評価:なし
1年春からリーグ戦に出場し、大学トップレベルの守備力でチームを支えてきた。パンチ力のある打撃も評価が高く、逆方向にも強い打球が打てる。
トーチュウ 評価:なし
1年春からリーグ戦に出場し、大学トップレベルの守備力でチームを支えてきた。パンチ力のある打撃も評価が高く、逆方向にも強い打球が打てる。
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
ポスト坂本勇人。50メートル6.0の俊足と遠投115メートルの強肩を生かした遊撃手に魅力。
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
高い守備力で一軍をつかめ
・どんな選手?/安定化抜群の遊撃守備は一級品で、それほど盗塁はしていないが、走力もプロでも上位レベル。対応力に課題はあるものの、リストの強さを生かし、捉えた打球は遠くに飛んでいく。
・未来予想図/まずは守備からチャンスが与えられるだろうが、ヘッドスピードも鋭く、持っている潜在能力は想像以上。その才能を開花させることができたら、坂本勇人をコンバートさせることができるかも。イメージ的には大洋・横浜で活躍した進藤達哉。

山本は知る人ぞ知るといった選手で、ドラフト前まで、ほとんど候補として注目されていなかった選手のようです。せいぜい強肩を生かしたショートの守備が注目されていただけではないか。したがって野球太郎には評価はおろか、名前すら挙っていません。同じ慶応大だとしたら指名漏れした谷田や日ハム5位の横尾の方がずっと注目されていたと思います。しかし、その山本が谷田や横尾を差し置いて慶応大では一番先に名前が読み上げられたのです。この5位という指名順位は、レギュラーとしての総合力よりも一芸に秀でた選手を指名する順位でもあります。その点で山本の守備の一芸は、谷田や横尾の総合力よりも上だと評価されたのではないかと思います。

しかし、山本は学生時代最後のリーグ戦でベストナインを獲得し、決して一芸だけではないというアピールもしました。本塁打も3本です。私が見た早慶戦の中継ではライトのあわや逆転本塁打かという大きな飛球を放ちました。おそらく相当リストが強いのでしょう。ショートの守備も安定しており、肩の強さが特に際立っていました。まずは守備から使われると思いますが、打力次第でレギュラー争いに加わる可能性もあると思います。そのためには変化球に対する対応力を身に付ける必要があると思います。






































リーグ戦での通算成績を見ると、この山本も桜井や重信と同じようにここに来て力を付けて来た選手だということが分かります。活躍予想は3年後の一軍定着&レギュラー争いの可能性もありといったところだと思います。

ドラフト6位 巽の寸評
野球太郎(ドラフト直前大特集号)評価:△
全身フル活用した奇麗なフォームから球が伸びて評価もうなぎ上り。夏は10回を投げて被安打1のみ
アマチュア野球(ドラフト2015)評価:B
コメントなし
週刊ベースボール(2015ドラフト大展望)
コメントなし
野球人 評価:4位相当
・3年間の歩み/実は、私の最大の〈隠し玉〉だった。この4月、早稲田実業・清宮幸太郎の公式戦でデビューを見に行った日、1つ前の試合で投げていた〈背番号14〉がこの投手。これほどバディーバランスの優れた大型左腕がなぜエースじゃないのか…立ち上がりの制球がフラフラッと。それでも指のかかった時のクロスファイヤーの食い込みとタテのスライダーの急激な割れ方。球筋と体格は〈プロ〉だ。エンジンがかかってきたら打てない…と思っていたら、夏はいつの間にか〈プロ注目〉になっていた。
・おせっかい進路指導/〈背番号1〉を背負って投げる緊張と充実感を高校でもっと味わってほしかった。実戦のマウンドで投げるのが〈普通〉のことになるまで、もうしばらく勉強、修行してみては。ここ一番の場面で踏みとどまれる心身の強靭さを養うために。
日刊スポーツ 評価:B
目立った実績はないものの、フォームが高評価の左腕。鋭く縦に落ちるスライダーは打者の左右関係無く三振を奪える
スポニチ 評価:C
無駄のない投球フォームから伸びる直球繰り出す。飛躍の期待大
報知 評価:なし
成長著しい大型サウスポー。最速146キロの直球にスライダー、カットボールで三振の山を築く
サンスポ 評価:B
スタミナ抜群で力強い直球が武器の大型左腕
デイリー 評価:なし
均整のとれた体からしっかりと腕を振って、球威ある最速143キロの直球を投げ込む。縦のスライダーにもキレがある。伸びしろ十分の大型左腕だ。
トーチュウ 評価:C
最速143キロの直球と縦のスライダーで空振りの取れる大型左腕。気持ちが強く、打者に向かっていくスタイル。負けず嫌いなのもプロ向き。
週刊ベースボール(2015ドラフト総決算号)
146キロ直球もさることながら楽天・松井裕樹ばりの縦スライダーに魅力。先発タイプ。
野球太郎(ドラフト総決算&2016大展望号)
スカウトが惚れた高い素質
・どんな選手?/全国的には無名も、関係者の間では密かに話題になっていたサウスポー。ボディーバランスに優れ、柔らかい腕の振りから繰り出す、140キロ台のストレートと切れ味鋭い変化球を合わせ持つ。課題は制球力と精神面の未熟さ。
・未来予想図/レベルの高い野球に順応するのに、少し時間を要しそう。そこをクリアし、体ができれば、素材は確かなだけに大化けの予感。将来の1軍戦力への期待も高まる。イメージ的には松葉貴大(オリックス)。

高校時代の実績は乏しいものの、素材の良さを買っての指名のようです。各誌の評価を総合するときれいな投球フォームから繰り出す140キロ中盤のストレートと、楽天・松井裕のようなタテのスライダーが武器の本格派の左投手のようです。実績がないということは、バックボーンがないということ。トーナメントのタイトな環境の中で揉まれた経験が乏しいことは、少なからずハンディだと思います。巽がプロ入り後、成功できるかどうかは、それを自覚しているかどうかだと思います。素材だけだったら、林イーハウという投手は素晴らしい投手だった。しかし、投手として最も感覚が成長する時期に、彼は同学年の選手たちが過ごすのとは違う環境の中にいた。タイトな中で揉まれ、磨かれるべき感覚が未成熟なままで年数が経ってしまった。余計な心配かもしれませんが、素材買いの選手にはそんな心配を感じるのです。

この順位では球団も、ダメで元々。何が何でもモノになってもらわないといけないなんて考えていないでしょう。したがって、私の活躍予想も0か100です。3年以内にユニフォームを脱ぐ可能性もあるし、チームに欠かせない存在になる可能性もある。もしも、成功するとしたらリリーフタイプのような予感がします。

(続く)

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