巨人がなかなか育てられなかった高卒左腕 田口麗斗のプロ初完封の記録!

  • 舎人
    2016年08月05日 02:52 visibility1372
順番からすると火曜日の観戦記をアップしなくてはいけないのですが、あれからずっと帰宅できずに旅の空の下にいるために作業ができません。そちらは動画の編集が終わってから更新しようと思っています。

さて、昨日は田口が見事にプロ初完封を成し遂げましたので、例のごとく1球ごとに記録をとっておきました。


平成28年5月7日(土) セントラル・リーグ 巨人対中日(東京ドーム) 

一回表 
大島:カウント1-2からショートエラー出塁(134キロS、129キロS、136キロB、外角131キロ) 
近藤:カウント1-1から投犠打(133キロB、135キロF、真ん中120キロ) 
一死二塁 
エルナンデス:カウント2-2から空振り三振(119キロS、122キロF、138キロB、138キロB、低め127キロ) 
ビシエド:カウント1-2から見逃し三振(121キロF、124キロF、138キロB、インロー139キロ) 
大島残塁、一回終了 

二回裏 
平田:初球セカンドゴロ(外角135キロ) 
高橋:カウント0-1からセンター前ヒット(119キロS、アウトロー122キロ) 
堂上:カウント2-2からセカンドゴロ(135キロF、133キロS、124キロB、137キロF、140キロF、125キロB、アウトロー119キロw) 
杉山:カウント0-1からライトフライ(134キロS、低め120キロ) 
堂上残塁、二回終了 

三回裏 
大野:カウント1-2からセカンドゴロ(S、126キロS、119キロF、120キロB、アウトロー115キロ) 
大島:カウント0-2から投ゴロ(127キロS、128キロF、低め124キロ) 
近藤:初球セカンドフライ真ん中139(キロ) 
三者凡退、三回終了 

四回裏 
エルナンデス:空振り三球三振(120キロS、132キロS、低め121キロ) 
ビシエド:カウント2-2からサードゴロ(140キロS、122キロB、138キロF、127キロF、127キロB、内角125キロ) 
平田:カウント1-2から空振り三振(121キロS、143キロS、124キロB、外角140キロ) 
三者凡退、四回終了 

五回裏 
高橋:カウント1-1からライトフライ(121キロB、115キロS、真ん中119キロ) 
堂上:カウント2-2からサードライナー(107キロB、124キロS、119キロB、119キロS、119キロF、インロー128キロ) 
杉山:カウント2-2からショートゴロ(138キロB、139キロS、138キロB、136キロF、138キロF、139キロF、インハイ128キロ) 
三者凡退、五回終了 

六回表 
木下:フルカウントから空振り三振(124キロB、118キロB、118キロB、138キロS、135キロS、アウトハイ142キロ) 
大島:初球レフトフライ(アウトロー109キロ) 
近藤:フルカウントから空振り三振(S、124キロB、123キロS、123キロF、124キロB、130キロF、インロー121キロ) 
三者凡退、六回終了 

七回裏 
エルナンデス:フルカウントから空振り三振(137キロS、137キロB、119キロF、138キロB、136キB、低め141キロ) 
ビシエド:初球ショートゴロ(低め121キロ) 
平田:フルカウントからサードゴロ(138キロB、139キロS、137キロF、127キロB、140キロF、126キロB、123キロF、124キロF、アウトロー122キロ) 
三者凡退、七回終了 

八回裏 
高橋:カウント0-1から左足に死球(137キロS、137キロ) 
堂上:カウント0-1からファーストフライ(138キロF、高め117キロ) 
福田:カウント2-1からファーストゴロ併殺打(120キロB、118キロB、119キロS、高め118キロ) 
八回終了 

九回表 
木下:初球サードゴロ(低め121キロ) 
大島:カウント1-2からライト前ヒット(127キロB、125キロF、126キロS、アウトロー123キロ) 
近藤:カウント2-0からセンターフライ(132キロB、135キロB、真ん中133キロ) 
エルナンデス:カウント1-2からセカンドゴロ(126キロSw、109キロSw、129キロB、インロー124キロ) 
大島残塁、試合終了、5対0で巨人の勝利! 
勝ち投手田口、負け投手大野

田口麗斗プロ初完封!
九回 球数116球 打者30人 被安打2 与四球0 与死球1 奪三振7 失点/自責点0 MAX143キロ ストレートの平均球速137~138キロ

田口はナゴヤドームとすこぶる相性が良かったということで、最初から自信を持って投球していたと思います。上背が171センチしかなく、ストレートのほとんどは140キロに届きません。しかし、球持ちの良さと、スライダー系とシュート系の変化球を同じ投球フォームから投げることができるので、打者が狙い球をなかなか絞り込めない。さらに、20歳とは思えないほどのクレバーさで、打者を翻弄しています。課題だったスタミナも、このように最後まで投げ切ることができるようになったのですから立派なものです。

もっとも、ドラフト評論家の安倍さんは田口のことを即戦力だと言っていました。また、「すぐに出てきたとしても、体の大きさからしたら長いことプロで活躍するのは難しいかもしれない」と話しています。このあたりのことは気になりますが、安倍さんはヤクルトの石川のこともプロ入り前に同じようなことを言っていたので、フラグになってくれたらなんて思ってしまいます。

それにしても、これでチームトップの7勝目です。何はともあれ、堂々とした巨人の一枚看板に成長したのではないかと思います。若手投手が台頭してきたということ自体が注目すべきことなのですが、私はさらに田口が高卒左腕だったということに注目しています。巨人は土壌的に幾つかの傾向があり、ドラフト制度以降、社会人右腕と高卒左腕はなかなか大成した投手がいないのです。社会人右腕では入来の35勝3セーブが最高ですし、高卒左腕では岡島の38勝50セーブが最も良い結果です。確かにこの2人は一時は主力でしたし、まずまず記憶にも残る投手ではありました。しかし、二人ともキャリアの途中で放出され、ユニフォームを脱いだのは他球団でした。大成とはいえません。

社会人右腕では1985年入団の広田が通算29勝と頑張っていましたが、1980年以降で通算30勝以上の勝ち星を挙げたのは入来たった1人。それ以前でも亡くなった小林繁さん(通算139勝)しかいません。高卒左腕はさらに酷いもので、岡島以外に巨人出身で戦力になった高卒左腕というと林しかいないのです。その林も今となっては微妙な成績。

ドラフト制以降の巨人入団の高卒左腕投手

1967年
D4位  山田直政 一軍出場なし
D14位 三平孝広 一軍出場なし
1970年
D1位  湯口敏彦 一軍出場なし(変死)
1972年
D6位  恒村勝美 一軍出場なし
1980年
D2位  駒田徳広 投手としては一軍出場なし(入団直後打者転向)
1985年
D3位  渡辺政仁 投手としては一軍出場なし(10年目に打者転向)
1991年
D6位  羽根川竜 9試合、0勝0敗(巨人時代は一軍出場なし)
1993年
D3位  岡島秀樹 549試合、38勝40敗50セーブ
1995年
D4位  大場豊干 一軍出場なし
2003年
D5位  十川雄二 6試合、0勝0敗(3年目に打者転向)
D7位  林 昌範 現役 421試合、22勝26敗22セーブ
2005年
高D1位 辻内崇伸 一軍出場なし
2007年
高D3位 竹嶋祐貴 一軍出場なし
2008年
D2位  宮本武文 一軍出場なし
2011年
D1位  松本竜也 一軍出場なし
D2位  今村伸貴 現役 30試合、6勝5敗
2012年
育D1位 田原啓吾 現役 一軍出場なし
2013年
D3位  田口麗斗 現役 31試合、10勝11敗
2015年
D6位  巽 大介 現役 一軍出場なし
育D6位 橋本篤郎 現役 一軍出場なし


私が調べた限り、1965年のドラフト制導入以降、巨人に入団した高卒左腕は20人でした。しかし、このうち一軍で勝ち星を挙げた投手はたったの4人だけだったのです。湯口事件のショックもあり、高卒左腕自体をなかなか指名しなかったり、指名したとしてもドラフト下位でしか指名しなかったので、モノになった投手がいなかったのも仕方ないと言える面もあります。しかし、2005年の辻内以降は、比較的積極的に上位でも指名しています。しかし、ドラフト1位の辻内と松本、2位の宮本が揃いも揃ってモノにならないとは!?まるで呪いのような出来事です。

田口にはこの巨人の抱える負のジンクスをぜひとも突き破って欲しいと思います。そして、50勝や100勝を挙げ、ドラフト制以降初となる高卒左腕の大成投手になって欲しい。その頑張りは2学年上の今村や1つ上の田原啓吾、後輩の巽の大きな刺激になることでしょう。そういった高卒左腕輩出の土壌が出来上がるのであれば、ぜひとも今度のドラフトでは1位指名に履正社高の寺島君や花咲徳栄の高橋君を指名すればいいと思う。

ドラフト制以前の巨人は高橋一三という大エースがいた。さらに、草創期には中尾碩志という200勝投手がいた。二人とも高卒左腕だったのだ。田口は今の時代のトップランナーとして、いつか彼らと並び称せられる存在になってくれたらと思う。決して夢じゃない!頑張れ田口!

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