2007年J1第2節 横浜FC-横浜Fマリノス 「New World, New Stage, New History」

  • おかき
    2007年03月11日 05:35 visibility165


「9年ぶりのダービーが戻ってきた」とマスコミは大声で喧騒し、
その声で「横浜」を名乗るチームのサポーターの身体は反応し、
平静を装っても体温は上昇していた。
同じ街にあるチーム同士の戦いとは、気持ちの戦い。外から
煽られなくても、心には重石を乗せられたかの様に、この日
この試合を思う度にグッと締め付けられ、時には嗚咽まで催す
程の緊張感がある。






しかし、私達はもうあの頃には戻れない。
「フリューゲルス」はない、「マリノス」もない。
この横浜の地には、横浜FCと横浜Fマリノスしかないのである。
横浜フリューゲルスと横浜マリノスが横浜ダービーを最後に
行ってからもう9年の歳月が流れたが、横浜フリューゲルスの
Fの名を受け継いだ横浜Fマリノスと、その思いから甦った
横浜FCの戦いは、9年ぶりの新しいダービーとなる。






その両者の気持ちがぶつかり合う試合となったが、横浜FCが
前半頭からこの試合先発に戻ったカズがいきなりロングシュートを
放った様に、最初から気持ちが入ったプレーを見せた。
数年前ならば脅威だったはずのマルクス・マルケスの両外国人を
和田・中島の両サイドが封殺し、主導権を握る。





その横浜FCがボールを支配していた前半7分。いきなり得点の
チャンスが訪れる。左サイドから戻されたボールを最終ラインに
いた山口が前線にフィード。このボールを小村が横浜FM河合に
競り勝ち、落としたボールを早川がループシュートでネットを
揺らし横浜FCが先制する。





その後も横浜Fマリノスは拙攻を繰り返す。個々でやりたい
サッカーが違うのか、パスが繋がらない、ボールに合わない。

そうしたプレーを繰り返している内に、マルケスが怪我で
退場。そして交代で入ってきたのは高卒ルーキーでありながら、
五輪代表にも選出されている乾。彼はそのまま右サイドに入った。
彼の投入で流れがFマリノスに傾き始める予感がする中で
前半を終える。




横浜FCは相手にボールを持たせても、苦労しないチーム。
昨年もこれで勝ってきた。つまりは横浜FCペースである。ただし、
危ないシーンは、2列で作ったブロックをすり抜けられる場合である。



後半は乾がその横浜FCの築くブロックをドリブルで
何度も突破するシーンが見られ、横浜Fマリノスの攻勢一色に
なったが、最後まで山瀬功、乾らの放つ横浜FCの3倍の数の
シュートは、横浜FCゴールを割る事はできなかった。
終盤には、前線に長身ハーフナーを投入するも実らず。
横浜FCの守備力の高さが横浜Fマリノスの攻撃を凌ぎきった。






新しい横浜ダービーマッチは、山口が「FCの歴史は
これから?そうですね。」と語る様に横浜FCの1-0の勝利で
その歴史が始まる事となった。



ただ、Fマリノスにも希望はある。若い世代が育っている。
乾を筆頭に、長谷川、ハーフナー、田中裕らはキレのある
動きを披露した。
横浜FCは日本代表経験者を擁しつつも、その多くは30代で
あり、若い世代が居ない事は今後への不安材料である反面、
そのベテランがどこまでやれるのか新しい楽しみもある。






さぁ行こう、青と白の衣を纏いし勇者達よ。
J1での初めての勝ち点と勝利を挙げたのだ。
新しい舞台の幕開けだ。新しい世界の目覚めだ。
新しい歴史の始まりだ。夜は今明けたのだ。




どれだけ勝とうとも忘れ去られ、奥歯をかみ締めた日を
忘れていないか?
「もう一つの横浜」と自分のチームを
形容した悲しき日々を忘れてはいまいか?
どうしてこのチームを好きになったのか
問い詰めた夜はなかったか?
その苦々しい過去とももうおさらばしよう。
これから私達は「水色の横浜」なのだ。








夜が明けて差す日の光。そして、男は外に出れば7人の敵がいる。
高木監督も試合前に明言していた様に、これから幾多の困難が
我々の前に立ちはだかるだろう。でも、もう飛ぶ事を恐れない。
ここで見上げた空は青いのだから。









chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。